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【WEB版】ナナイロ雷術師の英雄譚―すべてを失った俺、雷魔術を極めて最強へと至るー【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第一部

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14.ごちゃごちゃうるせえ

「そ、そろそろ離れてくれる?」

「あっ、ごめんなさい」


 ふぅ、やれやれ。

 いろんな意味で頭が疲れたな。


「さぁ行こう。もうすぐ受付が始まるよ」

「うん!」


 俺たちは横に並んで歩き始めた。

 すでに魔術学校の校舎は見えている。

 空からみた全体像と、地上の正面から見る景色は、違った印象があるな。

 さっきよりも校舎が大きく感じられる。


「受付は正門から入ってすぐだよね?」

「ああ。参加者が多いから、毎年闘技場で一旦集合するって聞いたな」

「今年も多いのかな~」

「例にもれず多いだろ。最低でも千五百……多ければその倍って年もあったかな」

「うぅ……大丈夫かな」


 自信なさげに顔を伏せるシトネ。

 母数の多さを改めて感じると、誰だって不安になるか。

 たぶんこれが普通の反応なのだろう。

 適当なことは言えないが、森での見事な治癒魔術を思い出す。


「シトネなら大丈夫だろ」

「え?」

「さっきの治癒魔術の一つでわかる。相当な訓練をしてきたんだなーってことはさ。それに頑張ったんだって自信が持てなきゃ、合格なんて出来ないと思うぞ」


 なんて偉そうに言っているが、あの頃の落ち込んでいた自分にも当てはまる。

 まったく耳に痛いセリフを言えるようになったな。

 自分を棚上げして、だけどさ。


「リンテンス君……ありがとう。君は優しい人だね」

「べ、別に他意はないからな」

「えっへへ、お陰で少し安心したよ」


 それは何より。

 と、思いつつ俺たちは正門を潜った。

 黒い鉄柵で囲まれた敷地内への第一歩は、大した意識もせずに踏みしめる。

 そして、たぶんこの辺りからだったのだろう。

 周囲の視線が多くなったのは。


 だだっ広い敷地内の道を真っすぐ進み、主の校舎手前で左に曲がる。

 さらに進むと、訓練に使われる闘技場にたどり着く。

 コロシアムと呼ばれる円形闘技場であり、実技訓練など様々な行事で使われるとか。

 ちなみにそのさらに奥へ進むと、人工の森と湖があって、そこも訓練場の一つとなっているらしい。


「リンテンス君あそこ!」

「ああ、受付だな」


 闘技場前に簡易テントがずらっと張られている。

 各テントに受付の職員が配置され、名前とかその他の情報を用紙に記載する。

 一応受験料を取られるが、微々たる金額だ。


「おはようございます。こちらにお名前と生年月日、居住区を書いてください」

「はい」


 俺とシトネは並んで用紙を記入した。

 一年は三百六十五日、一から十二の月に別れ、各月の平均は三十日。

 ちなみに今日は四月一日。

 用紙の記入は同時に終わり、二枚重ねて受付のお姉さんに渡す。


「確認しますね。シトネさんと、リンテンス・エメロード君?」


 後半の家名が少々上がり気味な発音だった。

 お姉さんは俺の顔をじっと見つめる。


「あなた……エメロード家の……」

「はい」

「……そう。確認が取れましたのでこちらをお渡しします。試験開始時には必ず闘技場内へ入っていてください」

「わかりました」


 微妙な空気のまま、お姉さんから参加証を貰う。

 そのまま受付を離れて闘技場に向うが、後ろからの視線が刺さるようだ。

 すると――


「リンテンス君って貴族だったの?」

「え、ああ……一応な」

「一応?」

「色々あるんだよ」


 名前の後ろに家名がついているのは、貴族の家柄に属する者だけだ。

 加えてエメロード家は名門の一つ。

 今ではいろんな意味で有名となり、王都内で知らない者も少ないだろう。

 特にこの学校には……


「おい見ろよあれ」

「ん? あ、もしかしてあいつが例の神童?」

「元だよ元神童。今じゃ一種類しか属性が使えない落ちこぼれだってさ」

「一種類とか……よくそれで試験を受けようとか思ったな」


 笑い声が聞こえる。

 陰口もチラホラ耳に入る。

 わかっていたことだが、やっぱり気分が悪いな。

 ため息もいつもより大きく出る。


「はぁ……」

「ねぇ、リンテンス君……みんながさっきからその……」

「ああ、俺のことだよ。元神童の落ちこぼれ。五歳までは十一種の属性が扱えて、神童なんて呼ばれてたんだけど、雷に打たれてからは雷属性の魔術しか使えなくなったんだ」

「そ、そうだったんだ……ごめんなさい。変なこと聞いちゃって」

「別に良いよ。今はそんなに気にしてないから」


 実際あまり気にしてはいない。

 他人にとやかく言われようと、実力を見せつければ良い。

 この後の試験で、それを嫌と言うほど教えてやる。

 それにあの手の連中は相手にするだけ無駄だ。


 と、最初は思っていたんだ。


「ていうかあれ、隣にいる奴もやばいな」

「あー思った? 先祖返りだよな。動物の耳と尻尾って……臭いんじゃない」


 なぜか陰口の矛先がシトネに向く。

 先祖返りであることは、現代では快く思われていない。

 人間になりそこなった半端者。

 知性より本能でしか動くことのできない劣等種族と呼ばれている。

 彼らがシトネに向ける視線は、彼女をあざ笑い馬鹿にするものだった。


「あいつの従者か? さっすが貴族、面白いおもちゃを持ってるな」

「ぅ……」


 シトネの悲しそうな瞳が見える。

 そしたら――


「まったく……ごちゃごちゃうるせえなぁ~ 陰口しか言えないなんて、とんだ腰抜け共だな」


 俺の口は無意識に、彼らに対して悪態をついていた。

 これにはシトネも驚いて、しゃべった自分自身も驚いている。

 相手にするだけ無駄だと、わかっていたはずなんだけどな。


「言いたいことがあるなら堂々と言えよ。それとも後が怖くて言えないのか? お前たち程度じゃ、どうせ試験には受からないんだから安心しろよ」

「リンテンス君?」

「てめぇ……俺たちに言ってんのか?」

「さぁな。でも反応したってことは、自覚があるってことだろ?」


 ニヤリと笑う。

 男たちは怒りで眉間にしわをよせ、中途半端に激昂する。


「ふざけてんじゃねーぞ! お前こそ受かると思ってんのか?」

「当たり前だろ。俺のほうが強いんだからな」

「はぁ? 馬鹿を言って――」

「どうせすぐにわかるさ。受験者……いや、この学校で誰が一番優れた魔術師なのか! それを証明してやる」

「リンテンス……君」

「そうだろ? シトネ」

「……うん!」


 ちょっとは元気になったか。

 対して周囲の奴らは俺への敵意をむき出しにしている。


「はっ! だったら見せてもらおうじゃねーか!」

「心配しなくてもすぐわかると言ったろ?」

「ちっ……後悔させてやる」


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