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黒い悪魔



「何してんですか!!」

「え?」


いきなり怒鳴りつけられしばらく硬直していた俺は一つの物音で現実に引き戻された。


ガサガサ


さっきまで聞いていた悪夢のリズム。ゴブ剣も気づいたようで直ぐに周りのゴブリンになにやら命令を出す。命令を受けたゴブリン達は俺とゴブ剣を中心にして外に向いて棍棒やら何やらを構えた。

音から数は1匹だと思うが茂みが邪魔で姿が見えない。

しばらく時間がたった。

突如、シャアアァァ!と枯れた声を出して俺の目の前のゴブリンに飛びかかった。そのゴブリンは咄嗟に手で頭を守ったが長い牙が深く刺さる。悲鳴を押し殺し歯をくいしばる。

すると驚いたことにゴブ剣がそのゴブリンの噛まれている腕ごと切り落とした。突き落とされたデカゴキブリは背中を打ち怯むがすぐに立て直しそのまま、また茂みに隠れようとする_____が、茂みの前にゴブ剣の剣が襲う。どうやら先回りをしたようだ。

ボキバキャブチプチ

切ると言うか叩き潰した音がなって、デカゴキブリが吹っ飛ぶ。そして運が悪いことに、後ろにあった鋭いの木の枝にグサリと刺さる。

...どうやら死んだらしい。ピクリとも動かず、目も虚ろになった。

ゴブリン達は急ぎ右腕がなくなったゴブリンの血止めを開始する。

一連の流れを見て動けなくなった俺は未だデカゴキブリが噛み付いて離さない腕を見ていた。


すると突如その手が接触部分を中心に黒くなっていった。よく見ると体に刺さっている木の枝も、いや木の全体が黒く侵食されている。


ゴブ剣達は予想をしていたのか応急処置を終わらたゴブリンを担いで早々に逃げて行った。なにがなんだか分からなくなりゴブ剣にこっちだ!と叫ばれ、迷ったすえにここに留まると言うわけにもいかずついていくことにした。

木々の間をうまくとうり抜けるゴブ剣の後に必死についていく。

しかしやっぱり気になり後ろを振り返る。そして、後悔した。

黒い悪魔と化した木に一つの出っ張りが現れる。それは徐々に増えて、大きくなっていく。

ついには______

「ピギャァァァァァア!!!」

「ピギイイアイイアア!!!」

「がぁァァァァァアー!!!」

数えきれないデカゴキブリが産声をあげた。

甲高い鳴き声が木々に反響し、森全体に響く。


うがっ!


慌てて耳を塞ぎ、前を見る。

耳を塞ぎ、なお聞こえるこの声は人間で言う赤ん坊の叫び。そして赤ん坊の叫びには必ず動くのは親だ。

今回の場合、親は、

「グギャァアー!!!!」

「プギョオォォォオオオ!!!!」

いた。

遠くから断末魔のような返事が返ってくる。

しかし遠い。できたでほやほやの方もまだ叫ぶばかり。こっちが逃げる時間はある。

そう考え走るスピードをさらにあげる。


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


________地鳴り


そうとしか思えないほどの揺れが足元を襲った。しかし、地鳴りのような音を出している場所は足元ではなかった。方向は後ろ、場所は赤ん坊の更に後ろの木々の向こう。


振り返らない。絶対に。振り返ってはいけない!

耳から手を離し、手を振って走る。

少しでも、少しでも速く走って、少しでも遠くへ逃げたいから。



後にその判断は正しかったと知ることとなる。

それは今あの場にいたら骨まで食いつぶされていたと予想するしかないからである。




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