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ゴブ剣とゴブリン達


ここはとても静かで有名な森。爽やかな風が吹き木々が踊り、鳥がこっそり歌う。

ほらあの鳥もまた楽しい音楽につられてやってきましたよ?

__チュン、チュン、ヂュン、ヂュ...ン、..........。


木の枝に止まり、歌い、あろうことかパタリと死んだ哀れな小鳥。いや、小鳥だけじゃない。ウサギのような小動物から熊のような大きい動物も同じ。()()()寝ている。永遠に終わらない夢を見て。


ここは静かな森。そこに入れば最後、生物は声を出さずに死に絶える。

森の名は〈静夢森〉。

呪われた世界の一部。


------------------------


目を覚ますとそこは森の中だった。そんなこと言われたら、お前は信じるか?

俺は信じる。そらぁ、目が覚めたらそこは水深100mの海にいて死にかけたことがあるからな。

まあ、そんな生徒との思い出話は置いといて。俺は今森の中を走っている。そして優しい自然に包まれ大変居心地がよい。いや、よかった。


ドドドドドド!!

いやな足音が更に大きくなる。

()()()走りながら、そっと後ろを振り返る。そして瞬く間にバッと前を向く。顔は汗や冷でびっしょり。

足音の正体は醜い顔を持った小さい子供の大群。しかし相手はどっから持ってきたのか当たったら、おいおい、振り回したらダメだろ〜。だけではすまないだろうと思われる剣を持っており、更に言うと着ている服が非常に不潔アンド臭い。数は10人程度で肌が緑色だ。目が血走っており明らかに敵意がある。

まあ、ここまで言ったら嫌でも考える。

____あれ、モンスターじゃね?人間じゃないよね?てか、あれゴブリンやん。ゲームでみたことある。じゃあ、ここ地球じゃないやん。あれ、転生か転移かどっち?転生がいいなぁ。かっこよくして欲しい。




どれぐらい走っただろうか。いつの間にか足音が聞こえなくなっていた。

息切れが激しいが大したことではない。それよりゴブリン(仮)にやられっぱなしじゃ、気に食わない。と言いたいけど怖いから逃げよ。

「まず森を抜けないとな。木に目印を付けて進めば迷うこともないし、あのゴブリンとかも逃げの一択で行こう。さあ、遠足の始まりだ!」

元気よく歩き出した、小さな子供のように。

その先が森の更に奥だと言うことは黙って置こう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜4時間後〜

「おい、おい!おいおい!おぉーい!!」

教創は見覚えのある木を見上げながら叫んでいた。

「どうなってんだよーッッ!」

叫ぶ理由はなにか?__4時間歩き回って見つけた物は木のみだったことか?__魔物が気持ち悪いことか?__夜が近づいていることか?

いや、おそらくあれだろう。__4時間前に迷わないように印を付けた木にやっとたどり着いたことだろう。しかし収穫が無かったわけでもない。なぜならその木の裏に何故か最初は見つからなかった洞窟のようなものがあったからだ。

それはいかにも怪しい洞窟。半径2メートルの広場に不自然に岩がボコっと出ており、入り口ですよーと言う雰囲気をドボドボと出している入り口がある。中は真っ暗でみえないがそれを見た教創の表情はすぐになんとも言えない表情になり、その後の行動も速かった。

そのままスタスタと洞窟に近づきゲシゲシと蹴る、殴る。

やっぱり怒りが勝ったようだ。


気が済んだら、一旦考えることにした。

この洞窟のこと、この世界のこと。そして自分の体の異変について。

そうなんだよなあ。俺の体すごいことなってるの。殴った時(洞窟を)に見えたんだけど、俺の体が黒色になっているんだよな。そんで、背も縮んでるんだよな。気になってよくよく調べると、髪も超薄くなってるの。あれ?涙が…。

あと、今気づいたんだけど服が無いの。パンツも。あれ?耳がとんがってる?

あー、なるほどね。俺、分かっちまったようだ。

どうやら俺はダークエルフに転生したのかもしれない。いや、したんだ。そうだとしたら…や、やばい興奮してきた!魔法とか使えんのかな?!やっぱあれか?剣技を使いながら魔法も使うあれか?ダークエルフの肌の色ってなんか()()に薄い黒を混ぜたようないろなんだな!

ガサリ!

不意に草を押し倒す音が聞こえた。もう魔物の襲撃にも慣れたものでバッと洞窟の後ろに隠れる。

ガサガサガサ

その音は徐々に近づき数が増えていく。

ガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ

いや、多すぎない?

そしてその正体はついにその顔が見える距離まで来る。

「ヒィッ!」

思わず声が出る。

そこに現れたのはゴキブリ...と言ってもいいのだろうか。いや、それ以上に気持ち悪い。知ってるゴキブリより全体的大きく、1メートル近くある。おまけに触角が長く、口の周りにある無数のキバが不規則に動いている。そして、それが数え切れないほどの数。

おえっ、吐き気がする。

多少、虫も大丈夫だったんだかなぁ。いや、あれ別物だな。

大きな緊張そして未知への思考、そのせいで周りをみていなかったのかもしれない。

だから気づかなかった。背後の存在に。

肩を引っ張られようやく気づいた。

声を出さないように手で口を押さえつけられ、至近距離で目を覗かれる。

まるで動かない頭を回して状況を確認する。

目の前にいたのはゴブリンだった。片手には剣も持ち未だこちらを覗く。しかしあの時のゴブリンではない気がする。相変わらずの顔でゴブリンなど見分けもつかないが何となくそうだと思う。

よく見たら後ろの茂みにゴブリン達が身を潜めている。

俺は剣持ちのゴブリン(次からゴブ剣と呼ぶ。ネーミングセンスを問う事なかれ。)にグイッと手を引かれ茂みに隠れさせられる。

うぺっ草が口に入った。

気づくとゴブ剣達はあのデカゴキブリを見ていた。その視線はデカゴキブリにバレないように控えめだが見てる者からすれば殺気が十分に込められていらことが分かる。

それから1分程の時が経ち、デカゴキブリの行列は終わった。

念のためそれから1分ほど隠れていたが何もなかったのでふうっとため息をつく。そしてチラッとみる。大変お怒りなゴブ剣さんを。

ギロッ

ゴブ剣がこっちを睨む。そして顔を近づけて、

「何してんですか!」

「へ?」

叱られた。




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