希望と始まり
1年
教師になってからたった年月だ。
普通の大学を出て教師になって、普通の人生を送ってきた。(未結婚)
ちなみに名前は西村 教創
ただ、少し違うと言うならばそれは.....生徒だろう。
何が違うのかと言うと.....いろいろだな。
自分の教室の扉を開ける。
次の瞬間頭上から何かが降ってくる。
扉に黒板消しを挟むなんて言ういたずらを思った人もいるかもしれないが、そんな生やさしいものではない。落ちてきた物はナイフ。それも小さなナイフではない。日本では持っているだけで犯罪の大型ナイフだ。
それをまるで慣れた仕草で掴む。
そして何もなかったかのように入ろうとするーーーが、目の前に釘バットを持った、あきらかに姿がヤンキーですよと丁寧に物語っている数人が待ち構えていた。
その一人と目が合う。
次の瞬間、ヤンキーがいっせいに釘バットを振りかぶってくる。
しかし、それらの間を上手く抜けて行き教壇の上にのぼる。避けられたことが悔しいのか怒りをあらわにしたヤンキー達はまたいっせいににたたみかけようと迫ってくる。しかし、腕時計を一目見るだけで迫り来る釘バットから逃げようとも、反撃しようともしない。ヤンキー達の武器の距離が1センチをきったとき、
キーンコーンカーンコーン
緊迫した中ゆっくりと学校でよくあるチャイムが鳴った。
ピタリ
先生に己の武器があと1ミリで当たると言うのにそんな音がなるぐらいに固まったヤンキー達は舌打ちをしながら釘バットを下ろし、自分の席へ戻って行った。ヤンキー達が席に座わると同時に、
「起立!!!!!」
地面が揺れたのではないかと勘違いしそうなくらいの大きな声で命令がかかる。その命令にだれも逆らわずに素早く立ち、
「気を付け!!!!!!」
次の号令で、さっきまで釘バットを先生に振りまくってた人とは思えないくらい完璧にピシッと背筋を伸ばす。
「礼!!!!!!!!」
ブオーン!!!バサバサバサ!ガラガラ!ドーン!!ドシャァ!!
頭を下げた時の風圧だけで書類が飛んで行き、その傍で生徒の一人がこっそりなにかの装置を作動させ、、、、
「着席!!!!!!!!!!!」
バシッと座る。それはもう椅子がギシギシと軋むぐらい。ちょっとヒビがある。いや結構ヒビがある。シクシク。
そう考えながらさっきの戦後の休憩をとっていた。
しかし、生徒というのは先生に構いたいもの、教師に休憩などなかった。
ガチョン
上からそんな変な音がなり、俺はそっちの方に目線を向ける。
そこには現在進行中で落ちてくる岩があった。
やばいと避けようとした瞬間、
「「「「「「あ、手が滑ったー!」」」」」」
などと大根役者ですか言いたくなるのような棒読みを聞かされ、生徒全員が鉛筆やボールペン、消しゴム(消しゴムから鋭く尖った突起物が見える)などを投げてくる。
それも見て、思わずはぁとため息を吐き、先にきた生徒の物を全て残らず片手で取った。
しかし、生徒の顔は歓喜に満ちており、
かかった!
生徒の全員が一斉に思った。
そう、これが狙いだった。
生徒の物を取る。たったこれだけのロスでもう上から落ちてくる岩からは逃げられない。しかも、片手は使えない。
ヤバイと思ったのか先生の顔には焦りが見え、これをたくらんだ生徒は至福の表情を浮かべる。
しかし、生徒の思惑はてんで外れることになる。
ドッシャァァンッ!
空いている方の片手で自分の体の約3倍もある岩を支えた。代わりに地面の教壇が潰れていた。
普通なら支えることも出来ず潰れる。だが片手でそれを成し遂げた。それだけで先生の実力が分かるはずだ。頭おかしい。
まあ、その後も色々(全て生徒の攻撃)あり、生徒の色々が終わった頃にはHRの時間は終わっていた。次は授業だと言いたいところだが教室はボロボロ、先生は青筋、生徒も何故かボロボロ、というとても勉強できる状態ではなかった。しかも生徒には今から地獄が待っていた。それは……先生の説教。
先生への攻撃を諦めたこの教室にいる全ての生徒が教室からの脱出を試みた。しかし、教室の全てのドア、窓は開かなかった。さっき先生に釘バットを振り回していたヤンキーの一人が開かない扉は押し潰せ!などという意味が分からない訓戒を呟きながら釘バットを窓に叩き付ける。
バリィィン!
ーーーーーーという音が響きわたると思われたが、響いたのは、
ドッカァァン!
ーーーーーーーという大砲の発砲音のような分厚い音が響いた。
その硬さに全員が唖然としていると突然先生が動きだす。
ゆらりゆらり、顔を下に向け、まるで生気の無いお化けのようだ。
静かな、ほんとに静かな行動なのに、生徒の皆が全然壊れない窓などに攻撃をいっせいにやめ、先生の方にギギギと顔だけ向け、完全固まった。
先生の表情は見えないが青筋だけはくっきりと見えたからだ。それで十分だった。
一瞬の沈黙
先生が動いた。
ヒュッ
………キレの良い音がなると、みんなはお縄にかかっていた。
その後、2時間以上の暴力…もとい、ご指導を受け、部屋を片付け、ようやく授業が始まった。すでに皆、満身創痍である。先生以外。
しかし、これが日常、全員が死にかけの顔しながらも普通に教材を出している。先生の顔も優しい笑顔に戻っている。
キーンコーンカーンコーン
まのびしたチャイムの音を聞き、先生の声に耳をかたむける。死にかけの顔で。
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ここは世界中から集まった問題児が勉強するところ、学校の名前を西村家、通称、人殺し学校。
その名のとうりここは俺の、西村 教創の家だ。
山奥にある西村家は二階建てで、下が教室でここで勉強、食事をする。他にも生徒の寝泊まりする部屋でもある。二階は全て西村の私室だ。(西村は職員室と言っている。)生徒は6人、世界中から集まったから黒人や白人また黄色人種もいる。もちろんその中には日本人もいる。
その子達は身元不明、名前不明、年齢約12才、全員俺が世界中を旅してたときに拾った子供達だ。
拾った時はナイフや銃を持って食べ物を出せと脅してきた子供もいた。その時はまだ6歳も満ていなかった。悲しいものだ。世界中にはこのような子はたくさんいるだろう。しかし、たかが俺一人でどうにかなる問題でわない。ただ、そんな言い訳を盾に逃げていては飯が不味くなる。
で、救ったはいいが字も書けない、計算も出来ないではこの先、生きていけないのは確実だった。だから母国である日本に帰り、学校を開いたわけだ。しかし、困ったことにもともと殺しを普通にしていた子供にはこっちの常識など通用しない。
日々本気で殺してくる。もう勉強のためじゃなくて俺を殺すためにいるみたいだ。最近は作戦まで立ててるみたいだ。
まあ、殺されないために俺も努力してるがな。
そんな感じで命ギリギリの楽しい生活を送ってたある日、先生は全てが終わり、生徒は全てを失う、
なにもなかった一日が訪れた。