( 3話 )友情
僕とショウは静かな廊下を走っている。廊下には誰もおらず僕たちの走り音しか聞こえない。不安を抱きながらも、教室に到着する。ショウが勢いよくガラガラと教室のドアを開ける。いきなり開けるもんで僕は少しドキッとした。扉の開く音で先生に目線が向いていたクラスメイトたちが一気にこちらを向く。少し恥ずかしい気持ちになったがショウはお構いなく
ーーショウ「先生遅刻しちった!ワリィ〜許して〜…ね?」
と目をキラキラさせながらクラスメイトの前で言う。担任の先生のダイゴ先生は呆れた顔でため息をつきながら
ーーダイゴ先生「わかったーわかったー今日だけ!今日だ!!!け!!!は勘弁してやる。次遅刻したら免除なしな。わかったか〜?」
ーーショウ「おおー!物分かりがいいねダイゴ先生はサンキュー!」
ダイゴ先生が僕に目線を合わす。
ーーダイゴ先生「ソラお前もいつも遅刻してるから少しは早めに登校しろよ。今日は一応遅刻にしないでやるが。」
ーーソラ「はい。わかりました。ありがとうございます。」
僕は素っ気なくそう答えた。
僕たちが席に着くと、 ダイゴ先生が剣技テストの話を始めるが、僕はさっきのヒナタとの喧嘩で頭がいっぱいになっているため、話が入ってこない。ダイゴ先生がテストの話を終え、 どうこう考えていると、後ろからショウが
ーーショウ「ヒナちゃんに謝りにいくんだろ?1年生のテストが先だから、頑張れでもなんでもいいから応援しに行くって言ってこい。おれもついて行ってやるから。な?!」
ーーソラ「わかったよ!あ!あと1年生が先にテストなんだね?」
ーーショウ「おいおい?大丈夫か?さっきダイゴちゃんが話してただろ?」
ーーソラ「あ、ごめん聞いてなかった。」
ーーショウ「まぁそれほど、ヒナちゃんのこと考えてたわけだ。お前まさか?!シスコンだな?!」
ーーソラ「違うよ!変な言いがかりつけないでよ。」
ーーショウ「とにかくヒナちゃんの教室行こうぜ!」
ーーソラ「うん!」
ホームルームが終わり僕とショウはヒナタの教室に向かうことにした。1年生の廊下を歩いていると、たくさんの女子生徒がショウに声をかけている。さすがは2年生の成績1位である。それに顔も整っている。そのため、女子生徒から壮絶な人気である。色々な足止めを食らってやっとヒナタの教室に着いた。近くにいた女子生徒に声をかける。
ーーソラ「すみません。あそこにいるヒナタを呼んでもらえない?」
すると女子生徒 は僕だとわかって少し嫌そうな顔をされながらも、わかりました言い、ヒナタを呼んできてもらった。なぜだか、ヒナタは嬉しそうな顔をしてこちらに来る。よくわからない。
ーーヒナタ「にいぃ〜〜!!!なんでなんでなんで???なんで私の教室に来たの?」
と ニッコリした顔で言われた。さっきまでの喧嘩はどこに行ったのやらと思った。ここでさっきの喧嘩の話を持ち込むのは火に油注ぐことになると思い、あえて話さなかった。するとおれの横を割ってショウが顔を見せる。
ーーショウ「ヒナちゃんの応援をしに来たんだよ〜」
ーーヒナタ「ショウさんー!え?!それ本当?!嬉しい〜〜!!!私頑張るから応援しててね!」
ーーソラ「僕らは観客席で応援しとくからヒナはいつも通りの成果を発揮してね。」
ーーヒナタ「うん!!!」
ヒナタは満面な笑みでそう言った。それを見たショウは少し笑っていた。僕たちは1年生の教室を後にした。廊下を歩きながら、僕はショウに聞いた。
ーーソラ「ショウ、さっきなんで笑ってたの?」
ーーショウ「え?おれ笑ってたか?見間違いじゃねぇ〜?」
ニヒヒと笑いながらショウは答えた。
ーーショウ「お前らが仲直りしてるところ見てホッとしたんだよ。」
ショウが何か小声で言ったが、僕はショウが何を言ったか聞き取れなかった。
ーーソラ「え?なんか言った?」
ーーショウ「何にも〜〜」
少しはぐらかされた 。そんな話をしながら、僕たちはヒナタの応援のために闘技場に向かった。