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真夏の憂鬱
「おーい、二条。帰るぞ」
それは、とても暑い夏休みで。委員会やらなんやらで。登校させられた、可哀想な『僕』だ。
クーラーの効いた部屋で、のんびりアイスでも食べながら、課題のことをふと頭の隅に考えるのが、学生としての夏休みっぽさがあるだろう。何が悲しくて、猛暑日に学校に来なくてはならないんだ。
「あっつ…」
先を行った友達を追いかけて教室を出たが、廊下の熱気が身体にまとわりついて、思わず足を止める。少し目眩を感じた。
「二条。そんなに嫌なら、雨でも降らせて涼しくしろよ」
「ったく。さっさと歩け!この雨男!」
「はぁ…別にわざと降らせてるわけじゃないって…」
友達が言う雨男というのは、自分の運の悪さにあった。僕が楽しみにしている日は必ず雨になる。根拠も証明もありゃしないが、高確率で雨が降るため、先生でさえ把握している状況。
そして、僕のテンションが高いと雨が降る、とクラスの中で共通認識が出来上がった。
更に極めつけがその名字にある。まあ、それは良いだろう。
からかうそいつらを追いかけて、僕は階段を駆け下りた。