真紅の騎士団
大蛇との戦闘から数日後、全王国騎士が集められた。
そしてその場に王が現れ、こう口にした。
「先の出来事は皆知っていると思うが、奴は群れでかかって敵う相手ではない。そこで私は七人を選抜し、『真紅の騎士団』を結成しようと思う。先ず七人だけで挑む理由は、王都の守りを疎かには出来ないから、そして無駄な死を重ねたくないからだ。」
力強く言葉を発する王に誰もが心を打たれた。
「それでは、メンバーを発表する。一人目は王国騎士団団長、イスカ・イランダル。」
あちこちから拍手が聞こえる。すごい人気だ。
「二人目、ルルカ・アドラベル。彼女は十八歳ながら、槍の腕は素晴らしいものだった。」
「三人目、セグネル・アドラベル。彼は唯一の刀使いで、伸びしろの塊のような人物だ。」
「四人目、ザークフレト・ファーニル。彼の剣の腕は王国騎士団トップクラスだ。あと、個人的に面白い。」
「五人目、アギリス・マクザイン。弓の命中率はまだ低いが、接近戦もできる点を評価した。」
「六人目、クルムルハ・グンナ。彼女は隠密行動に長けていて、動きも俊敏。偵察などに向いている。」
「七人目、ユリアニア・ローザ。彼女は魔法使いでありながら、王国騎士団に入ってくれた。そしてその腕も申し分ない。」
七人が発表され、安堵する者もいれば、不信感を持つ者もいた。しかしそれも次の言葉ですっかり消え去った。
「ちなみに高い技量を持ちながら、選ばれなかったのは妻や子供がいるものだ。なぜなら家族を悲しませる事だけはしたくないからだ。なお、王国騎士団の指揮はガイア・エルニル副団長に任せる。そして選ばれた者は城に来るように、以上だ。」
そして場所は王城に移り変わる。
「ふぅ、やっぱり真面目な話は疲れるなあ。」
ため息を漏らしながら不満げに話す。
「はい、では君たちが選ばれたという訳なので、新しい武器を渡したい...所なんだがあの怪物に敵う武器は神話級の物でなくてはならないと思うんだ。ああ、その理由だけど、あの『ファブニール』は神話の化物なんだ。後はわかるね。」
「神話には神話を、ですね。」ルルカが代弁する。
「そうそう、それでこの国の王にだけ伝えられる伝説があるんだ。『フォルトの端に七つ宝物が眠る』というね。」
「つまり、その国の端の都市に行って宝を回収すればいいのですね。」
「そう、でその都市というのが、アルノム、サイナト、アリナス、ブートゲイン、ライラナク、ニーズガルナ、ハフェンズ、の七つなんだけど、噂によると、それぞれの場所に霊廟やら神殿やらがあるらしい。俺はここが怪しいと睨んでるわけさ。」
大陸の地図を広げながら自慢げに言う。
「でも一つ問題がある。いつからある物かが定かでは無いから鍛冶屋に鍛えなおしてもらう必要があるかもしれない。」
「それは構いません。腕のいい鍛冶屋が知り合いにいるので。」
名前はクルーラン・アスリスタ。最近会ってないから明日ぐらい会いに行ってやろうかな。
「おお、それは助かる。」
「では出発はいつにしますか?」ユリアニアが口を開く。
「できるだけ早い方がいいからなあ。よし、三日後にしよう。それまでは自由行動でいいよ。」




