表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

試験ー②

私たちが着いた頃には既にかなりの人数が試験の始まりを待っていた。剣を振るう者、隣と話をする者、昼寝をする者までいた。

少し遠くには試験官と思われる王国騎士。

そちらに視線を動かした時、驚きのあまり釘付けになってしまった。慌ててセグに話しかける。

「ちょっと!あの一際でかい騎士って団長じゃない?」

「え、マジ?あの剛腕って呼ばれてるイスカさん?」

見つけて驚いたようだ。目も口も全開になっている。

しばしの沈黙。


「でも何で団長さんなんかがこんな所にいるんだ?試験なら他の騎士だけで十分だろうに。」漸く落ち着きを取り戻したのか、こちらに話しかけてくる。

「さあね。今回のは団長さんが直々に試験をして下さるのかしら?」

「おっ、そりゃ面白そうだな。」阿呆かこいつは。私達なんかが団長の相手が務まるわけないでしょうに。


少しの時間が経ち、王国騎士から試験の説明が始まった。

どうやら今回は集まった人たちの中で二人組を作って戦うらしい。驚くべきはここからだ。

なんと相手は王国騎士団が団長、イスカ・イランダルが務めるらしい。なんとなく予想は出来ていたが。そして更に、合格基準は団長次第で、戦う中で相応しいか否かを判断するらしい。


「まぁ、そんな感じだ。皆のもの幸運を祈る。」

ガッハッハと団長は笑い、話を終えた。

「ねぇ、どうする?私たち二人で組む?」

「まぁそれが妥当だな。」

他に知り合いがいないし、いたとしてもここまで息の合う人は居ないだろうという事で。当然の結果となった。

周りにはまだ決まっていない人がいるらしく、ガヤガヤと騒いでいる。そんな中、一際目立つ人物が一人。

「誰かオレと組む奴はいねぇかあ?オレと組めば絶ッッ対合格できるぜぇ。」木の上に登って大声で叫んでいる。

「なんだアイツ。あんなの怪しすぎるっつーの。第一、団長相手だっていうのにそんな自信どこから出てくんだよ。」

セグの言うことはもっともだ。あんなのを信用する人などいないだろう。

案の定、誰も興味を示さない。

「あれ?おかしいなあ。じゃあいいよ、残り物と組んでやるよ。」拗ねたのか木から降りて座り込んだ。


そして数分後、ペアが決まった。しかし、今回は奇数だったらしく、一人が余った。もちろんあのアホだ。

しかし彼は、「一人でイイっす」と言ったのだ。

ここまでくると、流石に面白い。気になって仕方が無い。アタマの構造が。

まぁそれは兎も角、試験が始まった。挑んで行く組はどんどん落ちていく。次は私たちの番。緊張で手の震えが止まらない。

そんな時、セグがポンポン、と肩を叩いてくれた。

「あんまり考えず、気楽に行こうな。」その一言と無邪気な笑みで緊張は吹き飛んだ。

「そうね、よし、頑張りましょう。」

今まで見ていて振りのパターンはだいたい分かった。単調な攻撃パターンだが、凄いのはその腕力。大きな戦斧を振り下ろし、地面にめり込んだにも関わらず、そこから横薙ぎまでの動作が武器の重みを感じられない程速い。まさに「剛腕」だ。


「セグネル・アドラベル、ルルカ・アドラベルのペアです。よろしくお願いします。」真剣な挨拶に団長は頷きで答える。

「うむ、いい眼差しだ。そして一つ問うが、そなたらは兄妹か?」

「はい、養子ではありますが、小さい頃から一緒に暮らしています。」セグが迷わず答える。

「そうか、では始めるとしよう。」

その瞬間、雰囲気が変わった。体が震えているのが自分でもわかる。まさに野獣のそれだ。でもここで踏ん張らなくてはならない。そう自分に言い聞かせ、槍を強く握る。

「どこからでもかかってくるがいい。」その一言で、戦闘は始まった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ