何か違うけど、まぁいっか
ちょこっと、自分が憧れるシチュエーションを.....
(//∇//)。読んで、きゅんっとしてもらえたら嬉しいです!
真夏でも騒がしい駅の前の大通りを脇にそれ、左、右と曲がって5分位歩いたところに隠れるようにひっそりと建つ喫茶店、いわゆる隠れ家喫茶がある。
セミの鳴き声で騒がしい外の音が少しも聞こえない店内は、外の焼けるような暑さとは違い、ほのかに涼しいかな?という感じになっている。
そんな店内は常連の近所のおじいさんが一人、その奥さんのおばあさんが一人、今日初めて来た30代位のおじさんが一人、計三人のお客さん。
カウンターの中では強面のまぁ見ようによってはイケメンかな?と思われるおじさんが新聞を読みながら、自分で入れたコーヒーを飲んでいる。
そんな店内のカウンターで振り子時計のカチコチという音を聞きながら、チラチラ時計を確認して今か今かと待ち構えて誰かを待っている女の子が一人。
時計のボーンという音がなって直ぐにカランコローンっと扉が開く音が聞こえ、パッと顔を上げる。
「いっらっしゃいま...なんだぁ~圭太かぁ~」
「こんにちはーおやっさん、なんだとはなんだ美里」
私のお父さんに挨拶してから、なんだぁ~と反応してしまった私に突っ込みを入れてくる圭太。
「だって、昨日話した瞬間にこの時間に図ったように来るんだもん!」
「そ、それは...」
「まぁでもこの時間に来ないから、今日は来ないかなぁ~圭太なに飲むの~」
少し口を尖らせながら文句を言ったら、圭太は顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。それを不思議に思ったけど、それよりも今日来なかった最近常連のお客さんのことを考え、落ち込んでしまい、圭太の扱いも適当になってしまう。
「なんだ!その適当な扱いは!!俺は少し、気になったから........」
最初の勢いを無くしてだんだん声が小さくなっていき、キョロキョロしだす圭太に首を傾けながら、とりあえず冷えている水を渡す。
「あ、ありがとう。今日のケーキと紅茶のセットで頼む」
「ありがとうございま~す。少々お待ち下さい」
水を一気に煽ってから注文する圭太に笑いながら返事をし、準備に取りかかる。
「美里は夏休み中は毎日手伝いするのか?」
「う~ん、まだ考え中だよ~...っと...どうして~」
「いや、...あの~さ、夏祭り...一緒にどうかなぁ~って思って...」
「う~ん、今年はあの人を誘ってみようかなぁって考えてるから無理かなぁ~」
紅茶は朝作って冷蔵庫に冷しているのを出し、コップに注ぎ、今日のケーキはこれまた朝作ったレモンの酸味が少し効いているロールケーキを切ってお皿に盛り付けをしている最中に聞かれ、そう答えた。
ケーキと紅茶を渡そうと圭太の方を見たら、この世の終わりのような顔をして固まってしまっていた。
「はい!どうぞ!!今日のも自信作だよ~ロールケーキはレモンクリームを使ったロールケーキで、紅茶はストレートね!ケーキの甘さにスッキリとした紅茶でとっても合うと思うよ!」
固まっている圭太にどうせいつも聞いてないからいいかと思い、圭太の前にケーキと紅茶を並べてから、そのままケーキと紅茶の説明をした。説明を終えた後、直ぐにバンッと大きな机を叩く音が聞こえて、びっくりしながら圭太の顔を見たら、おもいっきり睨まれて「あの人って、昨日話してた奴か!!」と怒鳴られてしまった。
「しー!!他のお客様びっくりしてるよ!大変申し訳ございません」
圭太に注意した後、お客さんに誤った。お父さんが席をたち、コーヒーを持ちカウンターから出て行ったので、お父さんに任せれば大丈夫だとは思ったけれど圭太を睨んでしまう。
「ご、ごめん」
「も~静かにしてよね~だいたい何でそんなに反応するのよ~昨日話したじゃない、さっきの時間にいつも来るお客さんが気になってるって!」
「う、だから、昨日聞いたから、そいつを確かめに来たんじゃないか。そうじゃなくても、ほぼ毎日この店には通ってるよ」
「そうだけど、いつも来る時間違うじゃない。こんな昼間には来たことほとんどないでしょ!いつも私とお母さんが変わる夕方頃か、夜の八時頃に来るじゃない。それに何で圭太が確かめに来るのよ!!」
「そ、それは、気になったからで...」
「も~圭太に話さなきゃ良かったよ~」
何でこんなに圭太が私が気になっている人を気にするか分かんなくて聞いても、要領を得ない答えだったので、少しふて腐れて話さなきゃ良かったと言ってしまう。
「そんなこと、言わないでくれよ!何でこんなに気にしてるか少しも分からないのか?昨日の夜にいきなり部屋に来て、いつもお昼の一時に時計の金が鳴るのと同時に入ってくる、少し年上くらいの優しそうで知性的な雰囲気の男の人がカッコいいんだけど、どうしようって、私の紅茶を飲みながら本を読んで、三時になったら「ありがとう。美味しかったよ」って声をかけてくれるんだ~って、嬉しそうに話してるの聞いて俺が何も思わないと思ったのかよ!俺は、..俺は、美里の事が好きなんだよ!!!」
「っえ!」
最初は静かにまっすぐ私を見ながらゆっくりと、最後の言葉は声を上げて少し早口で言われ、言われたことに頭がついてこず、混乱してしまった。
混乱してあっちこっち視線を向け、最終的には下を向いてしまった私は、圭太の顔をチラッと見て圭太が、顔はもちろん耳まで真っ赤にしているのを見て、私まで真っ赤になってしまった。
「な、何で、圭太今まで何も言わなかったし、それにそんな態度とってなかったじゃん!!」
そんな風に圭太に言ったところで、後ろから頭をパコーンと叩かれ振り返ると、お母さんが仁王立ちで腰にてを当てて立っていた。
「何言ってるのみーちゃん!!今まで、圭太くん凄いアプローチしてたじゃない!あれで気づかないから、どんだけこの子は鈍感なのかと思ってたけど、まさかここまでだとは思わなかったわよ!だいたい、好きでもない子を夏祭りに誘うと思うの!?」
「いやぁ~だって、幼馴染みだから、優しくしてて、それで誘って来るのかと思ったんだもん!」
お母さんの剣幕にびびりながらも、鈍感と言われて少しムッとしてしまい、唇を尖らせながら抗議したら、後ろから「今までの俺報われない」と聞こえてきた。
「とりあえず、みーちゃんも圭太くんも家の方に行って話して来なさい!」
「は、はい!ありがとうございます!おじゃまします!!ほら、美里行くぞ!」
お母さんに家に行けと言われ、そのまま圭太に手を捕まれて家の方に向かった。手を繋いでいることによりさらに顔が熱くなっていった。
お店のカウンターの中にある入り口から家に入りリビングまで来たところで、立ち止まった。
「あのさ、さっきの私のこと好きって言ったの本当?」
「本当だよ!嘘言ってどうするんだよ!!」
「そっか、...それって女の子としってってことなんだよね?」
「当たり前だろう!いつも色々ひたむきに頑張って、家の手伝いも嫌だと言ったことなくてむしろ進んでやってくところとか好きで、そんな好きな子がいっつも薄着でいるのを見て、理性保つの大変だったんだからな!今だって、顔赤くしていつもより可愛くて結構ヤバい」
「な!!いつもそんなに薄着じゃないもん!!今だって七分丈の長袖だよ!」
圭太から可愛いって言われたのが初めてで、好きなところとか言われて恥ずかしく、そんなことしか返せなかった。
そんな中「あ~もうだめだ!」と言いながら圭太が抱きついてきて、心臓が凄いドキドキしてしまった。抱きつかれたことによって、圭太の心臓の音も聞こえてきた。
「圭太、凄い心臓ドキドキいってるよ?」
「うるさい!緊張してるの!」
恥ずかしさをごまかすために話したのに、さらに恥ずかしくなってしまい、圭太の胸に顔を押し当てていた。
「美里、俺美里の事が好きです!大事にするし、幸せにもするから付き合って下さい!!」
胸に押し当ててた顔を少し離したら、圭太も少し離れて、私の顔をのぞきこみながらまた告白してくれた。そのことが嬉しくて、でも素直になれなくて「それじゃあ、プロポーズみたいだよ」って言ったら「一生離す気ないから同じことだよ」と返されてしまった。
「美里、返事は?」
「う~、...はぃ」
恥ずかしくて、小さくなってしまった返事に、それでも圭太は聞き取っていて、とても嬉しそうな顔になって、顔が近づいて来て、あっと思ったときには唇が触れていた。
恥ずかしくて、顔が真っ赤になってるのを感じたけど、圭太の顔を見たらまぁいっかって思えるほど圭太が笑っていた。
それをお父さんとお母さんに見られていたようで、お父さんは圭太に拳骨を落としていた。そでも、幸せそうな圭太の顔に呆れてしまったが、お母さんの「おめでとう」の言葉に素直に「ありがとう」と返せたのはやっぱり圭太の事が好きだったからだと思った。
そるから私はお菓子の専門学校を卒業し、その後そのまま家の喫茶店の経営を手伝った。圭太は私が専門を卒業してから一年後に大学を卒業、中小企業に就職をした。圭太の卒業を期に結婚式を挙げ、そのまた一年後には双子の女の子を出産した。
あのときには想像してなかった未来で、もしかしたら違った未来もあったのではないかと思うけれど、今はとても幸せだから「まぁいっか」って思っています。
Fin
後日談とか書けたらいいなぁと思っています・・・。