夢の中の出来事
私は、なにかから逃げるように全体が青いトンネルの通路を走っていた。
私の目の前を案内人の役目をしている銀の鈴を赤い首輪につけている黒猫が走ってゆく。
私が少し急げば十分見失わないスピードで走ってくれている。
私にすっかり懐いている証拠だった。
追っ手はまだ随分と遠い。
しかし捕まったら確実に死ぬ。
だから走るしかないと確信した。
すると、私は突然トンネルの落とし穴に落ちた。
さて、ここは一体どこなのか。
真っ白な空間。真っ白過ぎて怖いと思った。
そこに黒猫はいなくて、
人間の男の子がいた。
そして右手を差し出している。
「さぁ、君の右手を差し出して。人生を分け合うために」
ちょっと待った。人生を分け合うっつっても、今会ったばっかしでしかも突然すぎるだろう。
ふとあの黒猫のことを思い出してもしかしたらあの黒猫の化身かもしれないと思った。
「じゃなきゃ君、確実に死ぬよ。あるいは予定より早く確実に死ぬよ」
「は、早く死ぬだって??しかも確実?」
この男の子は直感的に嘘つきではないと思った。
私はおもむろに右手を差し出して、本当か嘘か確実なことは分からないまま現実の世界に引き戻された。
その時だった。
その男の子の背後に、落とし穴に落ちる前に前方の遠くで微笑んでいた謎の少年がいた。
彼は、どういうわけか、たくさんの人を引き連れていた。
私は挟み撃ちにされていたのだ。