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神代杏奈の怪異調査FILE  作者: Allen
逸話の王/天秤の剣/斬神の巫女
108/108

総括












 ども、Allenです。

毎度おなじみ、完結後の総括です。


 ここまで『神代杏奈の怪異調査FILE』を読んでいただき、ありがとうございました。

もしも先に最後の方を読んでみようと思っている方でしたら、ネタバレ注意です。

それでも構わない方はこのままお進みください。


 今回も、ここで少しだけ話をして、本作を締めくくらせていただこうと思います。

本作に関しては今後の展開に向けての繋ぎのようなものなので、あまり深い内容にはなりませんが、どうぞよろしくお願いします。

ラインナップとしては、以下の通り。


・ストーリーに関するコメント

・キャラクターに関するコメント

・次回作の話


 恒例でこのような内容に関して話していきます。

ではまず、ストーリーから。











・ストーリーに関して


 コンセプトは『日常と非日常の狭間』、そして『脇役から見た主役の物語』。

これまでの作品が常に非日常の世界に身を置いていたのに対し、本作では普段は日常の世界で生きているキャラクターたちがメインでした。

中でも主人公である神代杏奈は、日常に対して並々ならぬ執着を持っている。

日常を大切にするからこそ、非日常の世界に対して真剣に取り組んでいく。

しかし杏奈は中心にはいますが、決して主役と呼べるような人間ではありませんでした。


 ジャンルはホラーでしたが、これまでの作品から続いている話だったので、あまりホラーらしい感じにはなりませんでした。

本気でホラーを書くなら零シリーズのような感じにしたいところではありますが、今回はこんな感じに。


 姫乃と賢司、テリア、そして浩介。主人公となり得る人間を放置して杏奈を主人公としたのには、いくつかの理由があります。

まず一つが、杏奈が誠人の妹であった点です。

彼女はその立ち位置故に、力に対する知識や理解がありました。

そのため杏奈の視点ならば特異な相手であってもある程度の耐性をもって冷静に観察する事が出来た訳です。

また、杏奈には『日常を愛する』という性質がありました。

兄が失踪し、戻ってきても非日常の世界の住人になってしまっていたために、杏奈は日常というものの脆さと尊さを知っています。

そのために、必死になって怪異と相対していたのです。


 怪異という存在に関しては、少し扱いが難しいものでした。

魔法的なものが存在していない地球で、普通にそういうものや妖怪やらが存在しているはずがない。

もしも《欠片》を除いて不可思議な力が存在しているのであれば、エルロードが利用しない筈がありませんでしたし。

なので、他世界には利用しがたい力、その世界の大多数の共通認識、『情報』から成り立つ存在というものを考えました。


 三上町に現れていた怪異は逸話の王、市ヶ谷英一の《欠片》によって完全に操られていましたが、『情報』というのは元々世界に存在している概念です。

なので、市ヶ谷英一の存在が無くても、怪異は生まれるし存在する事が出来ます。

ただし、その頻度は大きく落ち込む事となるでしょう。


 実際には魔法など存在しないのに、杏奈の祝詞は通用していた。

仮に本物の妖怪が存在した場合、彼女の力は全く役に立ちません。

現実世界にまで影響を及ぼせるようになってきた姫乃ならばともかく、本来の杏奈は完全に無力な存在。

それなのに仕組みさえ分かれば、杏奈でも対処する事が出来る。

これが、怪異という存在の面白いところだと思います。


 超越者シリーズなのでやっぱり超越者は出てきましたが、今回は超越名などは出てきませんでした。

が、姫乃に関しては回帰リグレッシオン肯定創出エルツォイグング、そして超越ユーヴァーメンシュまでしっかりと設定は存在していたりします。

というか、最後の戦い際には、姫乃は無意識のうちに肯定創出エルツォイグングを使用していました。

その領域まで達してなければ、例えあれだけ弱っていたとしても、超越者を殺す事なんて出来なかったので。

これらのネタはしばしお蔵入りですが、次回作以降で登場する可能性があります。











・キャラクターの話


・神代杏奈


 今回の主人公。

そして主人公でありながら脇役という器用な立ち位置。

日常を、友達と過ごす当たり前の日々を何よりも大切にしている。

だからこそ、自分の友達が非日常の世界に関わらざるを得ないと知ったとき、躊躇うことなく踏み込んでいきました。


 メインメンバーの中では非常に微妙な場所を担当していました。

参謀をするなら賢司がいるし、遊撃をするなら友紀がいる。

正直あんまり役に立たないのですが、人をよく観察しているため、対人関係での緩衝材の役割をよく果たしていました。

杏奈にとって姫乃が精神安定剤でしたが、他の全員にとっては杏奈が精神安定剤。


 日常が何よりも大切で、自分にとっての日常の中にいるものが大好き。

だからといって非日常の存在を完全に認められないわけではなく、自分の『日常』を脅かす存在を許せない。

割と尖った精神性をしていたので、力さえあれば回帰リグレッシオンぐらいにまでは達していた可能性が無きにしも非ずです。


 さばさばした性格の反面、他人の事情に踏み込む事に対して臆病な部分を持っています。

その為にいつも足を踏み出すのが遅く、その為にいくつかの事を取り零してしまっています。

杏奈の責任というわけではありませんけれども、浩介に関しては踏み出すのが早ければ多少展開は違っていたかもしれません。











・篠澤姫乃


 賢司を主人公とした場合のヒロイン。

まあ、姫乃自身かなりの主人公属性を持っていますが。

大切な人を護りたい、大好きな人を護りたい。今まで護ってもらった分、全てを護り通したい。

そして、その為に磨き上げた力を、誰にも否定されたくない、何だかんだで我の強い性格です。


 メインアタッカー、主なキャラクターの中では三人目の霞之宮剣術の使い手。

怪異に対してまともに攻撃力を発揮できる人間は少ないので、そういう意味でも非常に活躍できました。

ただし『大切な人を護りたい』という性質上、弱点を非常に多く抱えている事になります。

超越者になりかけた存在なので精神力は非常に高いですが、性質上一人傷つくだけでも錯乱してしまうかもしれません。


 弱い自分が嫌で、護られてばかりの弱さを認められなくて、強さを求めた。

そうして力を着ければ着けるほど『護りたい』という思いは強くなり、ついには超越者の領域に足を踏み入れられるレベルになりました。

超越ユーヴァーメンシュに至るには現状に対する怒りという要素も必要ですが、それに該当するのは『積み重ねた努力を否定されたくない』というものでした。


 姫乃は、杏奈に対応するような性格をしています。

普段は気が弱く、他人の意見に流されがちなところがある反面、いざという時には躊躇う事無く危険な場所へと踏み出してゆく。

杏奈とは、互いが互いに憧れるような、そんな関係でした。











・嶋谷賢司


 姫乃をヒロインとした場合の主人公。

あまり矢面に立つ事が無くても、全員の意識の中心近くにいる、そんなようなキャラクター。

二兎を追うものは一兎をも得ずと言いますが、賢司は三も四も追いながら全てを取り逃さぬように頭を働かせるような人物です。

あまりにも多くのものを背負っていたが故に、視点としては前に出てくる事はありませんでした。


 仲間たちの中では司令塔の役割を果たしていました。

テリアが後方で収集した情報を現場で生かすのが賢司の役目です。

ただし直接的な戦闘手段は持たず、身体能力も杏奈と似たり寄ったり。

姫乃と交換したらもっと主人公らしかったかもしれません。


 浩介の事を救いたい、テリアの事を手助けしたい、姫乃の事を護りたい。

多くの事を願い、そして取りこぼさないように必至に戦っていた賢司は、杏奈の視点からではあまりその様子を見る事は出来ませんでした。

それでも全ての事に対して真摯に、真剣に取り組む姿は、杏奈にも眩しく映っていたようです。


 かつて友紀に言われた言葉から、賢司は姫乃の想いには気付いていました。

青少年らしく意識されれば意識してしまい、結果として杏奈の想いには気付く事はできませんでした。

だからこそ、今度は『二人で幸せになるように』という杏奈の願いに対して、真剣に取り組んでいくことになるでしょう。











・篠澤友紀


 姫乃の兄、パーティのムードメイカー。

恐らくメインメンバーの中で純粋に主人公じゃないのは彼だけ。

常に姫乃の味方であり、道化を演じながらも姫乃の事を案じ続ける、縁の下の力持ち。

結構コロコロとキャラが変わっていましたが、根幹だけは常に揺らぎませんでした。


 怪異との戦いにおいてはあまり役に立ちませんでしたが、いなければいないで困る所に位置しています。

あまりなれていない味方の護衛をしたり、物資を調達したりと、目立たないけれど役に立っていました。

あと、怪異に対して大げさに怖がるものの、実際にはそれ程恐怖心を抱いていませんでした。

もしもの事があれば真っ先に動く事が出来る人物であり、それ故に目立たなかった感じです。


 姫乃の事を何よりも大切に思い、護ってきた人物。

ただし過保護という訳ではなく、姫乃が一人前になれる事を常に意識していました。

姫乃が、そしてその周囲が幸せになれるように。その意識を持っていた友紀にとって、杏奈の思いは悩ましいものだったでしょう。


 必要とあらば不良を演じ、必要とあらば道化を演じる。

全てが完全な演技だという訳ではなかったのですが、友紀は常に姫乃を護るのに最適な自分であろうとしていました。

その役目の一部を賢司に託した後も、彼なりの方法でその在り方を果たしていく事でしょう。











・テリア・スリュース


 裏の主人公とも呼べる、話の根幹に関わってきていた少女。

幼馴染メンバーではないにもかかわらず出番はかなり多く、そしてある意味では中心にいた人物。

冗談は言うし、常に軽く笑みを浮かべているけれど、本心ではあまり余裕が無い。

怪異を相手にする時とそうでない時のギャップは大きかったと思います。


 役目としては主に情報収集担当。

しかし元々持っている知識量も大きく、その分結構賢司の仕事を取りがちではありました。

怪異に対してはどこか憎しみにも近い感情を抱いていたため、積極的に手を出してしまう面があったためでしょう。

自分の分は弁えているため無茶はしませんが、必要とあらば危険な事にも手を出す性格をしています。


 市ヶ谷浩介に救われ、彼に対して憧れのような感情を抱いてきた。

それは恋であったと言っても過言ではありませんが、テリア自身それが報われない想いである事は理解していました。

なので、恋を諦めた仲間として、杏奈に対しては若干の親近感を覚えています。


 最終的には浩介に対する想いが憧憬であったと振り切り、自分の怪異に対する執着に決着を着けました。

葵を幸せにするという目標を手に入れ、空っぽだったテリアはようやく失っていたものを手にする事が出来たのです。

各自成長は見せましたが、未来に向かって強く前進し始めたのは彼女だけでしょう。











・次回作について


 次回作については、今度は二作同時連載を考えています。

一つは、VRMMORPGモノ、もう一つはダークファンタジーモノです。

どちらも超越者シリーズに連なるもので、特にVRMMOの方は今作の続きとなります。

主人公は変わりますが、杏奈たちは再び登場します。

そんな現代にVRMMOがあるのかと聞かれれば、大体いづな姉さんのせいです。

もう一方のダークファンタジーについては、再びオリジナルの世界を作り、そこを舞台にして行こうと思います。

こちらはハードな話で、それなりに人死にも出る予定なので、対するVRMMOの方はまったり行く事になるでしょう。


 またそれとは別に、超越者シリーズの情報を纏めるページを作ろうと思います。

舞台裏の短編や設定集などを載せていくので、『こんな内容が知りたい』というのがありましたら、時間があれば書いていきたいと思います。

舞台裏設定である姫乃の超越なんかも載せておこうかと思いますので、気になる方はどうぞ。

また、予告しておいた煉VS誠人はそこで公開する予定です。











 では、再び長くなりましたが、『神代杏奈の怪異調査FILE』はここで完結となります。

ここまで読んでいただき、まことにありがとうございました。

よろしければ、また次回作でお会いしましょう。


 ではでは。





















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