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pAst  作者: 氷雨
8/8

六刻半

何故か閑話。


李安さんの処にきてからもう三日目になる

彼は本当に気さくで、部下たちや時折訪れる客人たちも凄く好かれていた。

来る人は全て、彼に相当懐いて...彼に服従しているようにも見える程だ




ここでちょっと、彼について簡単に紹介しよう。


まず、基本的に彼は自由だ。

風のように透き通っていて、優しく吹いていると思えば、凄まじい嵐となって試練を与えてくれる

凄まじく抽象的な説明だけれど、7割程はあっているので問題はない。うぬ。


そして、彼は凄くいい人だ。

面倒見が良いのか、はたまた適当に笑っているのかは解らないが、凄く優しい。

だからこそ、俺がきちんとしなきゃって思う時がある。





それは、彼はどこか抜けているから。



例えば、昨日ここに訪れたセールスマンっぽい奴相手に、優しい顔で色々と購入していた

通常の二、三倍は高い値段の食べ物や米、更には怪しげな骨董品も買う始末

あれは焦った。

にこりと笑顔で退散してもらい、買ってしまった米があろう事か腐っていたので、せめて肥料にと畑に捲く



が、彼は凄く恐ろしい一面ももっている。

あの後、彼に腐っていた事や、胡散臭い骨董品はあの人の言うような代物ではなかったと告げると、




「あの糞親父…。_____今度会ったら潰そうな、玲。」(蕩けるような笑み)

「え、あ…うん。」




顔を強張らせながらも、是の言葉を発した僕は賢明だったろう。

もし断っていたら、修行と称してストレス発散されかねない。彼は横暴な所もある




ふぅ....。あげて行ったら切りがないな。

精神的に疲れた俺は、中の良い李安さんの弟子の1人にあいに行くことにした。




























俺の友達は奇妙な奴だ。

突然、楓さんが家に訪問して来た時に預けられた奴だ。名前は玲。字なは教えてくれていないらしい。

アイツに最初あった時、この俺がビビったぐらい、彼の貼付けたよそ行きの笑顔(鉄仮面)は完璧だった


表情が豊かに見えるよう、目尻の皺は数本立ち、口元も穏やかに、そして上品に開かれている

唇から除く白い歯も、健康的で好印象を受けるが、間者をやったりする俺には、目が笑っていないのが解った

が、楓さんに見せる無邪気な笑顔はまさしく本物で、もしかして隠し子かな.....とか思ったりもせんでもない。



俺達が仲良くなったきっかけは、今でも覚えている

あれは確か、預けられて半日程経った頃だったかな。

アイツは書斎で1人、本を読みふけっていた。

真剣な眼差しで見つめる本は、兵法の書。

驚いた。アイツや俺達が読むにはまだ速い、李安様のしたためたその書を見ていたのだから。


しかし、驚く暇もなく、思い出すのも恐ろしい出来事が起こる





ガタンッ


ドアが開き、俺よりももっと前に入門した李安様の弟子の1人、賈淵(かえん)が入って来た

槍の腕が凄いらしく、李安様のお気に入りと呼ばれる者の1人でもある奴だ。

が、傲慢な態度や見下すような視線から、皆彼を嫌っている。

そんな奴が、未だ現れたばかりの玲に何用だろう。


興味がわいて、書斎の窓辺に近づいた。

丁度茂みが良い所に在ったので、少々ちくちくしながらも耳を傾ける

すると、何かが倒れる音とともに、賈淵の怒号が飛んだ。



「お前みたいな奴が、どうして俺よりも強いんだ!!!そんな細い体で、一体何が出来る?」


「え、何々何が起きた?ちょっと落ち着け、落ち着け、俺。俺なんかやった?やってないよねうん大丈夫」


「お前を、お前を、、、李安様は凄く才能があり、俺よりも強いだろうとお褒めになっていた!!!!何故だ!!!!」




なんか嫉妬に狂った女みたいな感じだな、賈淵。そして玲も巻き込まれたみたいだ

大変失礼ながらも、女の修羅場程怖い事は無いと思っていたが、男の修羅場は色んな意味で大変だ。

玲の焦った声と、賈淵の詰め寄る声が飛び交い、しまいには






_____キィンッ


鋼と鋼が擦れ合う音まで聞こえた


「ちょ、あった奴にいきなり刃向けられる俺って何だ!?」


「五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿い五月蝿いぃいいいいいいいい!!!!!!」


幻聴か、本当に言ったのか、死ねぇえええええええええええいという叫び声があがり
































音は、止んだ







































静寂が、俺の体を強張らせる












「く、ぁ....っ」


「はぁ。何で俺が死ななきゃなんねーんだよバーカ。」


「おいおい玲。あんまり本性表さないでくれって言っただろう?」




賈淵の首は、何処にそんな力があったのか、玲の細い腕にがっちり締め上げられている

右足は大きく広げられて、賈淵の太く引き締まった太ももにぎちぎちと突き刺さっているし

あぁ、痛そうだなぁなんて思っていたら、玲が窓辺に歩み寄り、




「テメェ見てねーで止めろや」


と、にっこり笑顔で言われた。勿論目は笑っていない。

俺との出会いは、こんな最悪な結末で終わる。


本性を知っているからか、賈淵と俺には素で居る

賈淵はあの日から、「おぉ兄者!!!」と言って崇拝しているようで、玲はいつもそれを片手で止めている

一回首目がけて拳を炸裂させた所為で、賈淵はあやうく天に召される所だった。





「おい、馬鹿稀衣。」


「玲、お前その腕のさきって賈淵か?」


「あぁ。突っ込んで来たから腹ぁ殴ったら突き刺さって取れなくなった。引っ張って」


「いやそれ貫通じゃね!?待てよ、引っこ抜くのにちょっと抵抗が」


「兄者ぁあああああああああああああ!!!!!!うぐはっ」


「もっと深く突っ込んでほしいか、ぁあん?」


「突っ込んでるから!!!!!突っ込んでるから!!!!!血ぃ出てるから!!!賈淵死んだフリしないとホントに神の近くに逝っちゃうよ!!!!」





こんな毎日も、悪くはないけれど。




呼んで下さりありがとうございます。

これで賈淵君は変態、玲は冷酷、稀衣は突っ込みですね!!!!

次回もだして行きたいです。

李安さんについては未だ未だ謎がいっぱいですが^p^

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