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異世界のんびり刑務官~異世界で無双?そんなの俺は求めてない。ただ安定した生活がしたいだけなんだ!  作者: 楊楊
最終章

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82 女王陛下の過去

 女王陛下は話始めた。


「この国を作ったアルフレッドには三人の妻がいた。一人は人間、一人は猫人族、そして我だ。人間の妻との間に産まれた子たちは皇族となり、猫人族の妻との間に産まれた子たちは野に下り商人となった。ミケたちがその子孫だ」


 これは驚きだ。ミケが皇帝の血を引く者だったなんてな・・・


「残念ながら、我は子を成すことはできなかった。だからこそ、他の二人の妻の子供たちを誰よりも愛した。我が「嘆きの塔」に留まり、この国を見守ってきたのはそうした理由からだ」


 女王陛下は、懐かしむように語った。


「ここで少し話が逸れるが「嘆きの塔」の話をしよう。センパイも知っていると思うが「嘆きの塔」は、ただの収容施設ではなく、いわゆる教育機関のようなものだ。我が配下であるフェイたちがスカウトした者を勤務させていたのだ。サイショウさんもその一人だ」


 全くそんなことは知らなかったけど・・・


「流石にセンパイには驚いたぞ。わざと変な噂を流し、表向きは閑職として扱われていた「嘆きの塔」に希望して勤務するとはな。だから最初はセンパイのことを疑い、フェイたちが総力を上げて調査したが全く怪しい所がなかった。しかし、長い時間接するにつれて、センパイが崇高な思いを持っていることが分かった」


 俺に崇高な思いなんてない。ただ、安心安全な生活がしたいだけなんだ。

 というか、俺は初手で選択を間違えてしまったようだ。


「センパイの家族も調べさせてもらった。センパイに劣らず皆が優秀で志の高い者だと分かったから、スカウトさせてもらった。まずは閑職と呼ばれる部署に配置させ、頃合いを見てアトラスに異動させた。当然、こういった国の事情も知っている」


 どうやら家族がアトラスにやって来て、女王陛下の仕事をしているのは俺の所為だったようだ。


「もしかして、フィリップ兄さんもですか?」

「奴には言っていない。悪い奴ではないが・・・察してくれ」


 フィリップは女王陛下にも、残念な奴認定をされているようだった。


「話を戻すと、この国は年々悪くなっている。長く続き過ぎたからかもしれん。皇族は傲慢になり、官僚や軍は腐敗が蔓延している状況だ。ここ何代かの皇帝は就任の挨拶に来ない者もいたし、我もだんだんと国の運営には疎遠になっていった」


 少し言葉を切って、女王陛下が続ける。


「ドリエストが皇帝になり、頻繁に我に相談に来るようになった。そこで我は驚愕した。事態は深刻で、我もドリエストも打てる手はすべて打ったが、結局根本的な解決には至らなかった。滅亡する未来も、そう遠くはない」


 何だって!?

 オンボーロ帝国がなくなってしまえば、公務員といえども無職になってしまう。俺としては、何とか延命させてほしんだけど・・・


「オンボーロ帝国はアルフレッドが作った国だ。我にも愛着はある。何とか救いたい。そんな時、センパイが現れた。フィオナ嬢を救い、リオネッサの無実を証明した。フィオナ嬢が常々『センパイに頼めば、すべて上手くいきます』と言っていたのだが、我もいつしか、そう思うようになっていた」


 女王陛下は俺に向き直ると頭を下げた。


「頼む、センパイ。この国を救ってくれ」


 あれ?なんかおかしな流れになっている。

 女王陛下も俺のことを勘違いしているし・・・


「あ、あの・・・俺はしがない刑務官で・・・国のためにできることなんて、無いと思うのですが・・・」

「つまり、刑務官として国を救ってくれるということだな?」

「えっと・・・いえ・・・できるだけ善処しますが・・・はい・・・」


 癖で曖昧に答える。

 相手が官僚なら空気で察してくれるのだが、女王陛下には通用しなかった。


「ありがとう。ではよろしく頼むぞ」


 ヤバい流れになってしまった。



 ★★★


 俺はその足でルートナー伯爵を訪ねた。

 現状を把握するためだ。


「陛下から聞いておる。一応簡単に資料をまとめておいたぞ」

「ありがとうございます。それでは拝見します」


 小一時間、資料と格闘する。

 どう考えても詰んでいる。オンボーロ帝国は大陸で最大領土の大帝国だが、財政は火の車だ。要因は様々だが、大きなものは三つ。皇族や貴族の無駄遣い、官僚の腐敗、軍事費の増大だ。


 特に軍事費は深刻で、植民地や属国の反乱対策でかなり財政を圧迫している。

 自分たちが利益を得るために植民地や属国にしているのに、それが原因で財政を圧迫していたら世話がない。財政が厳しいから植民地から搾り取り、それが原因で反乱が頻繁に起きる。そうなると軍事費が更に掛かるという悪循環に陥っている。


 俺が途方に暮れていると、ルートナー伯爵が声を掛けてくる。


「流石のセンパイでも厳しいか?」

「そうですね・・・正直、ここまで酷いとは思いませんでした」

「そうか・・・じゃが、それを何とかするのがセンパイじゃ。期待しているぞ」


 俺に期待されても・・・


 絶対にこの国を立て直すなんて無理だ。しかし、流れ的に素直に無理とは言えない。だったらどうする?


 しばらく考えた俺は、ある案が浮かんだ。

 これならいけるかもしれない!!

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!

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