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異世界のんびり刑務官~異世界で無双?そんなの俺は求めてない。ただ安定した生活がしたいだけなんだ!  作者: 楊楊
最終章

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81 皇帝の今

 あれから2週間が経った。今のところ、国からは正式な発表はなされていない。

 俺はというと、皇帝陛下が住んでいるゴブリンの集落に視察に来ている。顔見知りのゴブリンがいたので、事情を説明した。


「おい!!ドリおじさんを呼んで来てくれ。使徒様が用件があるそうだ!!」


 トラブルを避けるためと、皇帝陛下本人の意向もあって身分は隠しているのだが、皇帝陛下を捕まえて、「ドリおじさん」って・・・

 知らないって怖いな。


 しばらくして、ゴブリンたちと共にトラクターゴーレムに乗った皇帝陛下が現れた。


「センパイではないか。何か用か?」

「視察に参りました」

「そうか。ではトラクターゴーレムに乗りなさい。私の畑に案内してやろう」

「は、はい・・・」


 俺は皇帝陛下の運転するトラクターゴーレムに乗り込む。

 ゴブリンたちには外してもらって、皇帝陛下と二人っきりだ。流石に緊張する。


「陛下・・・お変わりはないですか?」

「もう私は陛下ではない。ただのドリおじさんだ。センパイもドリおじさんと呼んでくれ」

「流石にそれは・・・」

「まあ、徐々に慣れてくれ。ここでは一介の囚人だからな。それと今の生活には満足している。私の人生で一番充実していると言っていい。見てくれ、私の畑を」


 皇帝陛下に案内された場所には、ジャガイモ畑が広がっていた。


「私のスキル「成長加速」で作ったんだ。センパイの目から見てどうだ?」

「凄いと思います」

「私のことは心配しなくていい。ゴブリンたちとは上手くやっていけると思う」

「分かりました。今後は一月に一度、定期的に視察に来るようにしますね」


 そこからは皇帝陛下に色々な畑を案内された。本当に心からこの生活を気に入っているようだった。


 別れ際、皇帝陛下に言われた。


「少し私の話をしよう。私は元々皇帝になどなる予定も、能力もなかったのだ。ただ、消去法で私になったのだがね」


 皇帝陛下が言うには、時の皇太子がかなりのポンコツで更に他の兄弟も軒並みクズだったらしく、陛下が皇帝になってしまったそうだ。


「私としては、辺境伯令嬢か小さな属国の王女と結婚し、公務に口出しをせずに細々と畑を耕す予定だったのだが、人生とは、つくづく上手くいかないものだな」


 仕方なく皇帝になってしまった陛下は、自分の能力のなさに打ちひしがれたという。


「皇帝になってからは、不安で不安で仕方がなかった。だから私はヴィクトリア様を頼ることにした。センパイは気づいているだろうが、「嘆きの塔」に何度も訪れて、ヴィクトリア様と面会していたのだ」


 初耳だ。

「嘆きの塔」に何度も面会に来ていた謎の人物は、どうやら皇帝陛下だったようだ。


「ヴィクトリア様の助言に従って公務をこなしていたが、仕事をすればするほどオンボーロ帝国の現状が酷いものだと分かった。官僚や軍の腐敗、属国や植民地の反発、傲慢な外交政策・・・もう手遅れと言っていい状態だった」


 そんなにこの国はヤバいのか?


「私もヴィクトリア様もできることはしたと思う。しかし絶望的な状態は変わらなかった。まだ私の代は騙し騙しやれば何とかなるかもしれんが、ウイリアムが皇帝となればすぐに積年の問題が噴出するだろう」


 安心安全な生活を目指すを俺としては、できるだけ長く騙し騙しやってくれと思ってしまう。


「今回の件はいい機会だったと思う。アンドリューには迷惑を掛けることになるがな。親としてはアンドリューには、のんびりと料理でも作る人生を送らせたかったが・・・無能な皇帝の私には、今の状況を変えることはできないからな」


 とにかく、アンドリュー皇子を支えるしかないってことだな。


「それはそうと、センパイに礼を言わねばならんな。あの馬車ゴーレムのお蔭で命拾いしたからな」


 皇帝陛下に言われてはじめて知ったのだが、馬車ゴーレムは改良を加えられて、短時間なら飛行できるようになっているらしい。それで崖から馬車ごと転落しても、無事だったようだ。


「それはよかったです」

「皇帝を退いた私に大した礼はできんが、野菜でも持って帰ってくれ。それと悪いが、アンドリューにも持っていってくれ」

「分かりました」



 ★★★


 視察を終えた俺は管理棟に戻った。

 管理棟に戻ると女王陛下から呼び出しを受けた。


「今後のことについて、センパイとは一度じっくりと話し合わねばならんと思ってな」

「そ、そうですね・・・」


 どう考えても、厄介事に巻き込まれる感じがする。


「センパイは今後どうすればよいと思う?」

「その前に俺は話の全体像が見えてません。ですので、分かるように説明してもらいたいと思います」

「全体像とは?」

「そうですね・・・陛下の生い立ちとか、なぜ俺の父や兄がここにいるかなど・・・」


 少し考えて、女王陛下は言った。


「少し長い話になるが、話してやろう」


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