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異世界のんびり刑務官~異世界で無双?そんなの俺は求めてない。ただ安定した生活がしたいだけなんだ!  作者: 楊楊
最終章

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79 プロローグ

 とうとう俺は理想の職場を手に入れたようだ。

 最近の仕事は基本的に上がってきた書類にサインするだけだ。偶に帝都に行って手続きをしたり、ちょっとしたトラブルがあれば、その対処をする程度のことはあるけど。

 後はこの生活を定年まで維持することに全力を注ぐべきだな。


 最近の俺は過去の教訓を生かして、情報収集に努めている。

 これまでの経験上、トラブルの初期に積極的な対処をしなかったことが大きなトラブルになってしまったと反省したからな。

 生粋の事なかれ主義者の俺は、面倒だと思いながらも週に一度は冒険者ギルドに顔を出しているし、アンドリュー皇子の元にも定期的に顔を出している。

 アンドリュー皇子はというと、ほとんどの執務を刑務所内から雇用した文官に任せて、自身は厨房に立っている。訪問の表向きの理由は刑務所出身者の視察ということになっている。


「総督の仕事なんて、上がってきた書類にサインするだけですからね。僕がいなくても何とでもなります。それよりも新メニューの開発のほうが重要ですよ。僕は生粋の料理人ですからね」


 俺は安心安全な生活を目指し、アンドリュー皇子は料理人としての理想を追っている。

 目的は違うけど、相通じるものがある。

 なので、退職後もそれなりの関係が築けているのだ。


「何かお変わりはありませんか?力になれることであれば、協力しますよ」

「ありがとうございます・・・でも、今言えることはありません・・・」


 少し奥歯に物が挟まったような言い方が気になったが、これ以上聞けない雰囲気だったので、その場を辞した。


 総督府の後は実家に向かう。

 というのも、父も兄のマイケルもアトラスやニューアルトモの有力者だから自然と情報が集まる。なので、定期的に食事会を開いている。今日はフィリップが仕事で来られないようだけど、フィリップから情報をもらうことはないから関係ないけどな。


 食事の後、父が神妙な顔で言う。


「アレクよ。近々大変なことが起きるだろう。何があってもいいように準備だけはしておけ」

「一体、何が起こるというのでしょうか?」

「それはだな・・・」


 父が答えに窮しているとマイケルが会話に入ってきた。


「これは家族にも言えないことだ。フィリップが今日ここにいないのも、それが関係している。近々公になることだから、今言っても大きな問題にはならんのだが、規則は規則だからな・・・察してくれ」


 どうやら知らないのは俺だけのようだ。

 一体何が起こるっていうんだ?



 ★★★


 もやもやした気持ちを抱えながらも2週間が経過した。

 いつも通り、安心安全な生活を送っていたのだが、驚きのニュースが飛び込んできた。


 冒険者ギルドに顔を出した時、ギルド内が騒然としていた。

 ギルマスのドゥウェインさんも大慌てで、あれこれと指示を出していた。


「おお、アレク。いい所に来た。実はお前からも情報を仕入れたいと思っていたんだ。できる範囲でいいから情報を教えてくれ」

「えっと・・・一体、何の情報でしょうか?」

「分かっているくせに・・・まあ、いくら何でも話せないよな・・・だが、俺たちにも公表できる情報があれば教えてくれ」


 全く言っている意味が分からない。

 俺は騒がしくしているギルド職員や冒険者の会話に耳を傾けた。


「おい、聞いたか?皇帝陛下が御隠れになったそうだぞ」

「視察中に馬車が崖から転落したらしいが・・・」

「安否はまだ分からないらしいぞ。それで冒険者にも捜索依頼が・・・」


 皇帝陛下がお亡くなりに・・・

 俺はパニックになりながらも、ドゥウェインさんに質問をする。


「ギルドがどの程度の情報を把握しているかを教えてもらえませんか?」

「なるほどな・・・こちらにどれくらい情報が洩れているかを調べに来たんだな?他ならぬアレクの頼みだから教えてやろう。けどこれは貸しだからな」

「いきなり貸しとか言われても・・・」

「硬いことを言うなよ」


 そうは言いながらも、ドゥウェインさんは詳しく情報を教えてくれた。

 冒険者ギルドでは噂程度の情報しか得ていないと前置きしたうえで、今掴んでいる情報を教えてくれた。


「帝国南部に皇帝陛下が視察に出られた際、何者かの襲撃に遭ったようだ。その時、皇帝陛下の乗る馬車ごと崖から転落したみたいだ。必死に捜索をしているようだが、乗っていた馬車は見つかっていない。2週間程前の出来事らしいが、国の上層部もいよいよ隠しきれなくなったみたいだ」


「そうなんですね・・・」


「ということで、アレク。何かあれば頼むぜ」


「分かりました。俺はこれで失礼します。色々と忙しいので・・・」


 俺は誤魔化すように言って、冒険者ギルドを出た。

 俺はすぐに刑務所に戻るかどうかを考えたが、刑務所はこんな情報に無頓着だ。バネッサ所長なんて「そんなことくらいで、大騒ぎするな」とか言いそうだしな。


 なので、俺は父が勤務するダンジョン管理局に向かうことにした。

 ダンジョン管理局で、受付をすると受付嬢に言われた。


「局長はアトラス刑務所に会合があると言って出かけました」

「ありがとうございます・・・では失礼します」


 なぜ、父が刑務所に?


 そんな疑問を抱きながらも、俺は足早にアトラス刑務所に戻るのだった。

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