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異世界のんびり刑務官~異世界で無双?そんなの俺は求めてない。ただ安定した生活がしたいだけなんだ!  作者: 楊楊
第五章 副所長のお仕事

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71/89

71 トラブル

 完全に油断していた。

 アンドリュー皇子は真面目で常識もあり、性格も温厚だ。どこかの馬鹿皇太子とは全く違う。それに勤務も週一回だし、絶対に問題は起きないと思っていたけど・・・


 まあ、悔やんでも仕方がない。とりあえず対処をしなければ・・・


 順を追って話すと、アンドリュー皇子は囚人たちからも慕われていた。

「料理人」のジョブを生かして、各集落で料理を振る舞ったり、各集落の特産品を使用した新メニューを開発したりしたことも大きい。

 なので、俺もアンドリュー皇子に付きっきりではなく、ほとんどの指導をフィオナ嬢に任せていた。

 フィオナ嬢も囚人たちからは、ゴーレム教の巫女として認識されているしな。


 だが、今回はそれが裏目に出てしまった。

 フィオナ嬢とアンドリュー皇子は、アラクネ族やケンタウロス族、リザードマンやフロック族などの人間と姿形が大きく違う種族の「刑務所の外の世界を見てみたい」という要望を安請け合いしてしまったのだ。


 俺だって、彼らの希望は叶えたい。

 しかし、エルフやドワーフのような感じで外に出すと、確実にトラブルが起きる。だから、のらりくらりと結論を先延ばしにしてきた。普通の官僚なら、絶対に安請け合いなどしないのだが・・・


 フィオナ嬢も正規の職員とはいえ、勤務歴は1年しかない。しかも、いきなりアトラス刑務所という特殊な職場だ。だから一般的な官僚の常識が欠如している。

 まあ、油断していた俺が一番悪いんだけどな・・・

 防ごうと思えば、防げるトラブルだったのが悔やまれる。


 フィオナ嬢が言う。


「申し訳ありません・・・」


「起きてしまったことは仕方ない。問題はどう対処するかだ。「やっぱり無理でした」と言えば、各種族との信頼関係が損なわれるし・・・」


 アンドリュー皇子が言う。


「申し訳ありませんでした。それでどうすればいいのでしょうか?」

「トラブルが起きた時の一般的な対処法は、まず上司に報告をすることです。この場合二人の上司は私ですから、二人はそれで構いません」

「では副所長はどうするのでしょうか?」

「俺も同じことをしますよ」


 俺だって責任は取りたくはない。

 だから同じことをする。今回はバネッサ所長だけでなく、女王陛下にもするけどな。


 バネッサ所長に報告したところ、「勝手にしてくれ」とのことだった。

 予想通りの対応だ。こういった場合、上司だけでなく頼りになる者に相談することも必要だ。頼りになるのはルートナー伯爵と女王陛下だけどな。


 女王陛下にとりあえず状況を報告する。


「センパイが懸念しているのは、この刑務所の真相が外に漏れることだな?」

「はい」

「それ以外には?」

「彼らは人間と姿形がかなり違うので、トラブルになるかと・・・辛い思いをするのは、彼らですし・・・」


 少し考えて女王陛下は言った。


「若い者にはそういった経験も必要だと思うぞ。多少のトラブルが起きても構わん。また、秘密はいずれバレる。彼らの要望に応えてやってくれ。何かあればバネッサ・・・ではなく、サイショウさんを頼るといい」


 まあ、そうなるよな。


 俺はすぐにルートナー伯爵の元に向かった。

 忙しく仕事をしているルートナー伯爵に相談する。


「儂としては正規の手続きを取ることを助言する。センパイも分かると思うが、問題が起きた時、誰が責任を取るかということが一番の懸案事項となるじゃろう。今回の場合、誰が責任を取るか・・・」


 もちろん俺じゃない。

 そんな時、アンドリュー皇子が声を上げた。


「ぼ、僕が責任を取ります。刑務官としては新人ですが、これでも皇子です。どういった責任の取り方があるかは、分かりませんが・・・」


 ルートナー伯爵が言う。


「最悪、皇籍剥奪・・・殿下にその覚悟はありますかな?」

「もちろんです」


 ルートナー伯爵が笑いながら言う。


「まあ、そういうことはまずありませんが、殿下の覚悟は分かりました。センパイよ。事前申請をしっかりと行い、中央の承認を取るように」

「は、はい・・・」


 やってできないことはない。

 ただ、手続きがかなり煩雑だ。関係省庁を周って根回しをし、書類も大量に作らないといけない。


 だが、これも安心安全な生活を守るためには必要なことだ。

 俺は気合いを入れ直す。


 絶対にミスはしない!!


 俺は物語の主人公でも、神様から使命を授かった勇者でもない。

 ただ、責任を取らなくていいように仕事をするだけだ。


「ではまず、書類を作りましょう。一応彼らは囚人としての扱いですから、刑務所外に出すにはそれなりの理由が必要になります。またトラブルが起きた時に・・・」


 フィオナ嬢が言う。


「流石はセンパイですね・・・殿下、言ったでしょ?センパイに言えば、何とかなるって」

「そ、そうですね・・・ここまで凄い方だったとは・・・」


 俺はそんなに凄い奴ではない。

 ただ、安心安全な生活のために全力を尽くしているだけだ。

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