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異世界のんびり刑務官~異世界で無双?そんなの俺は求めてない。ただ安定した生活がしたいだけなんだ!  作者: 楊楊
第四章 女王の帰還

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64 エピローグ

 ダンジョンは連日大盛況だ。冒険者だけでなく、多くの軍関係者も訓練に訪れている。

 流石の俺もここまで、入場者が増えるとは思わなかった。


 俺が考えたコンセプトは、「力試し」に特化したダンジョンだ。

 延々と魔物が湧き出るだけだが、討伐終了後にランクと討伐した魔物の種類と数が分かる金属プレートをドロップさせている。これが軍の関係者や腕自慢の冒険者にはクリティカルヒットした。軍は部隊ごとで、ランクや討伐した魔物数を競い合い、冒険者ギルドは冒険者ランクの昇級試験に利用することを検討しているらしい。


 ファーベルが言う。


「色々なトラップやアイテムを用意していたのが馬鹿みたいだわ・・・凄い奴らは、三日三晩ずっと戦い続けるのよ。一体何が楽しいのかしら?私が言うのもアレだけど、不気味だわ」


 その部隊はフィリップの部隊だ。最高記録を目指して、月に一度はそんな馬鹿なことをしているらしい。


 ダンジョンに潜るためにやって来る者が増えれば、それだけでお金を落してくれる。

 ダンジョン周辺の土地はクロネコ商会が既に押さえているから、ミケはまたしても大儲けしたようだ。宿や飲食店、道具屋など、絶対に儲かるからな。ただ、完全な儲け第一主義ではなく、退役軍人の再就職先となっている。


 これはリオネッサ将軍が軍の上層部に掛け合ったことが大きい。

 リオネッサ将軍は以前から、退役軍人の扱いの悪さに心を痛めていたそうだ。今回、名誉職だが元帥となったことで、多少の融通はしてくれたようで、軍にしては珍しく、補助金も出してくれたそうだ。そして、退役軍人就職支援センターも開設された。


「冒険者ギルドも、できたことだし、退役軍人の就職先が増えて喜ばしい。怪我をした者や高齢の者はミケ殿のところで雇ってもらえるから、更に安心だ」


 実は冒険者ギルドも設置されることになった。

 新しくできるギルドの責任者は、なんと帝都の冒険者ギルドのドゥウェインさんだった。


「このアトラスで成果を上げれば、俺は本部に栄転になるんだ。これからも頼むぜ、安心安全のアレク」


 詳しく聞いたところ、冒険者ギルド総本部としては、このダンジョンを利用して、新たなライセンス制度を導入し、新人をターゲットにした新たな育成システムを構築しようとしているらしい。その責任者としてドゥウェインさんに白羽の矢が立ったそうだ。


「このダンジョンを上手く利用すれば、各段に冒険者のレベルも高くなるし、死人も減るだろう。アイテムはドロップしないが、優良ダンジョンだと思うぜ」

「でも、それでは冒険者が生計を立てられないのでは?」

「ダンジョンでは生計は立てられないが、仕事はいくらでもある。商隊の護衛依頼はいっぱいあるし、アトラス周辺の森は、いい素材が採れるからな。ダンジョンで戦闘能力を高めながら、様々な仕事を経験させる。育成には持ってこいの場所だ」


 ドゥウェインさんがいてくれれば、馬鹿みたいに無理する冒険者はいなくなるだろう。

 そんなこんなで、ダンジョンは大盛況、ダンジョンポイントが貯まり、ファーベルもご満悦だ。


「人間にしては、よくやっていると思うわ。何なら貴方をダンジョンスタッフ、いえ、副マスター待遇で雇ってあげてもいいわよ」

「遠慮しておきます」

「だったら、系列のダンジョンを作った時にそこのダンジョンマスターにしてあげるわ」

「しがない刑務官には荷が重いです。辞退させてください」

「だったら・・・」


 そんな話をしていたところ、バネッサ所長が会話に入ってくる。


「ファーベルよ、副所長はそんな奴じゃ。出世や地位に興味はない。それにファーベルも、素直に手伝ってほしいと言えばどうじゃ?自分を嵌めた奴らに仕返しをしたいのじゃろう?」

「それはそうだけど・・・断られたら、恥ずかしいし・・・」

「そういうことじゃ、副所長。手伝うだけ、手伝ってやったらどうじゃ?」


「勤務に支障がない範囲でなら・・・」


 ファーベルの表情が明るくなる。


「そこまで言うのなら、手伝わせてあげてもいいわよ。まずはダンジョンポイントをもっと集めて・・・」


 本当にこのツンデレ妖精は・・・


「それはそうとファーベル。人工精霊のデータが取れたぞ。早速確認してくれ」

「仕方ないわね・・・概ね良好よ。暴走することはないとは思うけど・・・」

「だったら、早速・・・」


 言い掛けたところで、俺は遮った。


「所長!!もっと慎重になるべきです。暴走した場合、全ての苦労が水の泡です。もっとデータを・・・」

「そうじゃな・・・そうするとしよう」


 既にバネッサ所長は、人工精霊の開発に成功している。まだ1体だけだが、自動で動くゴーレムも開発したのだ。

 巨大ゴーレムはというと、既に7割方修復が済んでいる。それも以前よりもパワーアップしてだ。よく考えてみてほしい。あのヤバいゴーレムが、自動で動き、暴走したときのことを・・・


 だから俺は、敢えて開発を遅らせている。


「ある程度開発できたら、私のダンジョンのボスとして使ってあげなくもないわ」

「ほう・・・それは面白そうじゃのう」

「バネッサ・・・よかったら、ダンジョンの仕事をしてみない?よければだけど・・・」

「うむ・・・わらわも忙しいから、そればっかりはできんが、いいぞ」

「じゃあ、ダンジョンの基本から教えるわね」


 何だか、ゴーレム製作を通じてバネッサ所長とファーベルは仲良くなっている。

 彼女たちが作っているのが、危険なゴーレムでなければ、幼女と妖精の微笑ましい光景なのだが・・・


「まあ、これでしばらくはゆっくりできますね。俺は早く平穏で、安心安全な生活がしたいですよ」

「それは無理じゃろう。副所長も冗談が上手くなったな」


 あれ?

 まだ何かあるのか?


「女王陛下から何も聞いておらんのか?」


「はい・・・」


「まあ、すぐに分かるじゃろう」


 俺が平穏な生活が送れるのは、まだまだ先のことらしい・・・

気が向きましたら、ブックマークと高評価をお願い致します!!


次回から新章となります。

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