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異世界のんびり刑務官~異世界で無双?そんなの俺は求めてない。ただ安定した生活がしたいだけなんだ!  作者: 楊楊
第四章 女王の帰還

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63 再建 2

 俺は今、フィオナ嬢とリオネッサ将軍と一緒にアトラスの町外れにあるオンボーロ帝国軍北部方面隊に来ている。

 ここの責任者で、痛い兄フィリップに会うためだ。正直、あまり気が進まない。というのも、北部方面隊は軍では掃き溜めのような部署で、部隊員は総じてやる気がなかったり、素行に問題があったりする者が多いそうだ。

 そこに希望に満ち溢れたフィリップが行くと・・・


 母から「偶にはフィリップの職場に顔を出すように」と言われていたが、そうしなかったのは忙しかったからもあるが、落ち込んでいるフィリップを見たくなかったからだ。フィリップはどうも、俺にいい格好をしたがるから、そんな姿を見られたくないだろう。

 しかし、ダンジョンを再建するためには、フィリップの力を借りなければならない。


 受付で用件を伝えると、すぐに副官である狐獣人のフォクスさんがやって来た。


「お久しぶりです、フォクスさん」

「これはアレク様。どういったご用件で?」

「実は兄に相談したことがありましてね」

「分かりました。現在、大隊長は訓練を指導しておられます。すぐにご案内致します」


 訓練場に案内されると、そこには掃き溜め部隊とは思えない気合いの入った訓練が繰り広げられていた。

 俺が驚いていると、フォクスさんが解説をしてくれた。


「驚いたでしょう?私も最初はやる気のない者の集まりと聞いていたので、不安だったのですが、大隊長が初訓示で、こう言われました。


『俺はリオネッサ元帥閣下の右腕と言われている男だ。その俺がここにやって来たということは、この部隊が国で一番重要な部隊ということだ』


 最初は誰も信じなかったのですが、一生懸命に訓練に打ち込む大隊長に感化され、次第に部隊の士気は高まり、今では規律違反をする隊員は一人もいなくなりました。今では、練度だけですと、オンボーロ帝国軍でも屈指の部隊と言えるでしょう」


 いつからフィリップがリオネッサ将軍の右腕になったのかは分からないが、曲がりなりにも上手くいっているようで安心した。

 訓練が一段落したところで、フォクスさんがフィリップに声を掛ける。


「大隊長!!アレク様が来られています。何でも相談したいことがあるとのことです」

「なに!?訓練どころではないな。すぐに行く」


 俺たちはすぐに応接室に案内された。


「どうしたんだ、アレク。それにナナ師匠とライオンマスク殿まで引き連れて」

「実はこのお二人が、ダンジョンを発見されたのです」

「ダンジョンだと?それなら冒険者ギルドに報告するのが筋ではないのか?」


 まあ、冒険者がダンジョンを発見したのなら冒険者ギルドに報告するのが通例ではある。

 ライオンマスクの恰好をしたリオネッサ将軍が引き継ぐ。


「私が説明しよう。大隊長殿の言われるようにそうするのが普通だが、私たちが発見したダンジョンは、かなり特殊なのだ。もしかしたら危険なダンジョンかもしれないので、貴殿に応援を求めたというわけだ。この町には冒険者ギルドはないからな。一刻を争う事態になってはいかんしな」


「それは大変だ。至急調査に向かう。アレク、案内してくれ」


 えっと・・・いきなり大隊長が出向くのか?


 俺が心配していると、フォクスさんが助け舟を出してくれる。


「大隊長、出動する部隊を指定していただけますか?第一中隊ならすぐに動かせますが・・・」

「よし!!緊急出動だ!!5分以内に出発できるように準備させろ!!」

「了解!!」


 こういう所は、話が早くて助かるんだけど、大隊長としてどうなんだろうと思ってしまう。



 ★★★


 北部方面隊第一中隊30名とフィリップとフォクスさんと共にアトラス刑務所のすぐ脇に新設したダンジョンにやって来た。ダンジョンは洞窟型のダンジョンで、フロアは1階層のみ、10個の扉が設置されている。

 フォクスさんが言う。


「この時点で、構造が特殊ですね。他にも変わった点が?」

「はい。扉の前に立てば分かりますよ」


 扉の前に立つと無機質な音声案内が流れる。


「ニンズウヲニュウリョク、シテクダサイ」

「ここは俺がやります」


 俺はタッチパネルに35と入力する。

 すぐに扉が開いた。全員が中に入る。


「ユウキアル、チョウセンシャヨ。ゾンブンニ、チカラヲ、タメスガヨイ」


 すぐに魔物が大量に出てきた。

 しかし、弱いスケルトンやグラスウルフなので、訓練された部隊の敵ではなかった。

 フィリップが自信満々に言う。


「大したことはないな。アレク、どこが危険なんだ?」

「もう少しいれば分かりますよ」

「そうか?」


 再び、音声案内が流れた。


「ツヅケルカ?カエルカ、エラベ」


 俺はみんなに指示をして、「ツヅケル」と表示された床に移動させた。


「デハ、イクゾ」


 再び魔物が大量に出現した。

 これも難なく撃退する。再び音声案内が流れたので、また「ツヅケル」を選ぶ。するとまた大量に魔物が出現する。その繰り返しだ。


「だんだんと強くなっているな。ここは俺が出よう。アレクやナナ師匠に俺の新必殺技を見せたいからな」


 フィリップは剣に火魔法と電撃魔法を纏わせて、魔物の群れに突っ込んでいく。


「喰らえ!!ファイヤーサンダーアタック!!」


 どんどんと魔物を蹴散らしていく。

 リオネッサ将軍が言う。


「火魔法と電撃魔法を同時に剣に纏わせたところで、魔力消費が2倍になる以外大した利点はないのに・・・」

「それはそうかもしれませんが・・・」


 コメントに窮していると、フィオナ嬢が言う。


「凄くカッコいいと思います」


 君ならそう言うと思ったよ。


 その後も、どんどんと魔物を討伐していたのだが、流石の部隊も疲労の色を隠せないでいる。


「フィリップ兄さん、もう帰りましょう」

「なんだ?俺はまだまだ行けるぞ」

「でも、今日は調査なのですから、それに報告もあるでしょうし・・・」

「分かった。よし!!撤収だ」


 俺たちは「カエル」と表示された床に移動した。

 すると入口の扉が開き、フロア中央に宝箱が出現した。居の一番に宝箱に近づき、開けようとするフィリップをフォクスさんが止める。


「大隊長!!危険です。まずは確認を!!」

「そ、そうだな・・・おい!!斥候要員、宝箱を開けろ」


 隊員に宝箱を開けさせたところ、金属製のプレートが中に入っているだけだった。


「何だこれは?討伐した魔物の種類と数が記載されている。それにランクCとも・・・」

「そうなんですよ。全く意味が分からないんで、危険なダンジョンかもしれないと思って、フィリップ兄さんを頼ったんですよ」

「なるほど・・・俺に任せろ、きっちり調査してやる。フォクス、調査関係と報告関係は任せたぞ」


「了解致しました」


 予想通り、フィリップは部下に丸投げだった。


 それから俺たちは、数人の部隊員を残して、ダンジョンから出た。

 仕切りに新必殺技の感想を聞いて来るフィリップがウザかったけどな・・・


 ところでなぜ、こんな意味不明なダンジョンを作ったかって?

 まあ、そのうち分かるだろうさ。

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