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異世界のんびり刑務官~異世界で無双?そんなの俺は求めてない。ただ安定した生活がしたいだけなんだ!  作者: 楊楊
第四章 女王の帰還

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54 アトラスの危機 2

 女王陛下の元へ、リオネッサ将軍と共に報告に向かった。


「なるほど・・・責任は我が取る。その策でよい」


「ありがとうございます」


「ところで、センパイよ。我に聞きたいことがあるのではないか?」


 俺としては、女王陛下の詳しい事情を聞きたかったのだが、今はそれどころではないと思い、別のことを質問した。


「陛下は、どうやってスタンピードの発生が近いことを認知されたのですか?もし、実際に現場を見た者がいるのなら、直接話を聞かせてください」

「ほう・・・気いていたのか?」

「薄々は・・・」


 これまでの女王陛下の言動を考慮すると、情報収集に特化した別動隊がいる、又は女王陛下に特殊能力があると考えるのが自然だ。そうじゃないと、俺のプライベートを完全に把握するなんてあり得ない。


 女王陛下は、指をパチンと鳴らした。

 すると、どこからともなく、3人の魔族の女性が姿を現した。三人共、額に角があるが、顔には見覚えがあった。


「センパイも見たことはあるだろう?」

「はい」


 この三人は、「嘆きの塔」にやって来る清掃スタッフだった。


「しかし、あの時は角は無かったかと・・・」

「その程度のことはどうとでもなる。彼女らは、直属の情報部隊の者だ。他にもいるが、今は現場に出ている」

「そうだったんですね」

「うむ。フェイ、詳しいことを話してやれ」


 三人のまとめ役であるフェイさんに挨拶をする。


「面と向かって挨拶をするのは初めてですね。アレクと言います」

「よく存じています。信頼を確かめ合うのに、夜のお供をしても構いませんよ」

「えっと・・・それは・・・」


 多分、彼女たちに俺は監視されていたのだろう。


「冗談です。早速、情報共有をさせていただきます。百聞は一見に如かず。明日、現地に赴きましょう」

「はい」


 俺は部屋に帰り、明日の準備をする。

 夜になって、部屋にアラクネのクーネがやって来たが、明日は重要な仕事があると言って、帰ってもらった。

 ふと、ドアの外を見ると、フェイさんが笑っていた。


 もう怖すぎる・・・



 ★★★


 異動は転移魔法陣だった。

 着いた先は、エルフ集落の森を北に抜けた先だった。荒れ地が広がっており、今も多くの者が防衛陣地の構築に汗を流している。

 フェイさんが言う。


「今は荒れ果てていますが、昔は豊かな森だったんですよ。こうなったのはスタンピードの所為です」


 詳しく聞くと当時、森の半分を犠牲にして戦い、何とかスタンピードを撃退したそうだ。

 俺たちが視察をしているとエルフたちが声を掛けてきた。


「我はエルフ族最長老のレドラスと申す。将軍に頼みがあって来た」

「聞くだけは聞く。ただ、確約はできん」

「分かった。頼みというのは、大したことではない。我々長老のエルフは、作戦がどうであれ、この地で最後の最後まで戦わせてほしい・・・」


 レドラスたち長老クラスのエルフは、もう200年以上前のことになるが先のスタンピードを経験しているそうだ。壮絶な体験で、多くの同胞の命と大切に育ててきた森の半分を失ってしまった。


「森を犠牲にすれば、生き残ることは可能だろう。しかし、我らはそんな森の最後は見たくはない。森と共に死なせてほしい・・・」


 リオネッサ将軍は少し考えて言った。


「なるべく、森に被害が出ないような作戦は立てる。しかし、確約はできん。最悪の場合・・・」

「分かっておる。その場合は、我らはここで散らしてもらう」

「分かった・・・そうならないように願うが・・・」


 エルフたちが去った後、作業をしていたドワーフの一人が声を掛けてきた。


「エルフのことは好きになれんが、奴らの気持ちはよく分かる。儂も先のスタンピードで故郷を奪われたからな」


 そのドワーフの視線の先には、小高い山があった。


「儂らもあの地で、平和に暮らしていた。あのエルフと同じように故郷を離れるくらいなら、潔く散ろうと思ったドワーフも多かったな・・・この年齢(とし)になれば、思い残すことはほとんどないが、できれば、もう一度故郷に帰りたいのう・・・」


 これに心を動かされたフィオナ嬢が言う。


「大丈夫です。必ずやスタンピードを撃退し、故郷も奪還致しましょう。何たって、こちらにはゴーレム神様と使徒様がいらっしゃるのですから!!」


 フィオナ嬢は完全に俺のことを勘違いしているし、そもそもゴーレムが神様だなんて、どんな思考回路をしているんだ?


 俺は取り繕うように言った。


「まずはスタンピード対策です。もしもの時に備えて、非戦闘員は後方に避難をさせないといけません。それから・・・」


 リオネッサ将軍が言う。


「センパイよ。今はそのような細かな指示をする時ではない。自信を持ってこう言ってやればいい。「必ずやお前たちの故郷を取り返してやる」とな」


 リオネッサ将軍も勘違いしているのかもしれない。


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