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異世界のんびり刑務官~異世界で無双?そんなの俺は求めてない。ただ安定した生活がしたいだけなんだ!  作者: 楊楊
第四章 女王の帰還

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53 アトラスの危機

 女王陛下に色々と聞きたかったが、それどころではない。


「まずは人事を行う。将軍をリオネッサとし、参謀長をアレクとする。軍の編成や戦術についてはすべて、この二名に一任する。よいな?」


 リオネッサ将軍は分かるけど、俺はどうなんだろう?

 ただの刑務官だし、種族の代表者たちが認めてくれないんじゃないだろうか?


「異議なし」

「リオネッサ殿、強い。オーク、強い者に従う」

「使徒様なら安心だ」

「ああ、使徒様。頼むぜ」


 使徒様って・・・


 リオネッサ将軍が言う。


「謹んで拝命致します。それでは早速軍議を行います。センパイ・・・いや、参謀長。今の段階で必要なことを述べよ」


 いきなりですか?


 仕方なく、思いついたことを話す。


「まずは過去に発生したスタンピードの文献があれば分析をさせてください。俺もスタンピードについて、それほど詳しいわけじゃありませんからね。それと将軍、スタンピードの基本的な対処要領をご教示ください」

「了解した。資料については用意する。それでスタンピードに対処する方法は二つある。一つは防衛拠点を構えて、そこで迎撃する。被害が広がるのを防げる一方で、兵たちに多くの犠牲を強いることになる。もう一つは焦土作戦だ。どういう訳か、発生源から離れれば離れるほど魔物は弱体化する。こちらは兵の犠牲が減るが、代わりに多くの土地が被害に遭う。これはどちらが正しいかは分からん。政治的な判断もあるしな」

「ありがとうございます。それでは現時点で動員できる兵力を把握したいので、各種族の代表者は動員できる者の人選を早急に行ってください」


 各種族の代表者もこれに応じてくれた。


「できるだけ、動員する」

「オーク、全員が戦う!!」

「存亡の危機だからな。老人や子供以外はほぼ全員を動員する」


 女王陛下が言う。


「では、一旦会議を終了する。将軍、日没後に進捗状況の報告を頼む」


 会議はそれで終了した。

 危機が迫っているだけあって、手際がいい。流石は女王陛下といったところだろうか。


 俺もすぐに会議室を出て、資料室に向かう。女王陛下にもっと話を聞きたかったが、今はそれどころではないしな。



 ★★★


 資料室で俺は資料を読み込んでいく。

 スタンピードについて、詳しい発生原因は未だ分かっていない。一説によると、ダンジョンが関係するのではないかと言われている。というのも、スタンピードを鎮圧した後にダンジョンが見つかることが多いからだ。

 国や冒険者ギルドが管理しているダンジョンで、スタンピードが発生したことはないので、真偽の程は定かではないが・・・


 過去の資料によると、スタンピードによって、かなりの被害を受けている。

 当時の魔王国の3分の2が被害に遭い、壊滅的な状況だったようだ。会議でリオネッサ将軍が言った言葉を思い出した。

 被害地域を減らそうとすれば、死者が何人出るか分からない。リオネッサ将軍が用意してくれた国軍の対処要領には、奴隷や犯罪者を生贄に戦う戦術もあるようだった。どれも気は進まないけどな。


 一通り作戦を立て、俺はリオネッサ将軍たちと合流することになった。

 執務室では、フィオナ嬢を中心に部隊編成を行っており、各種族の代表者も協力してくれていた。俺が戻って来たことに気づいたリオネッサ将軍が声を掛けてくる。


「センパイ、早速だが作戦を聞かせてもらおう」

「はい、まず確認したいことがあります。援軍は頼めるのでしょうか?」

「それは期待できない。刑務所内にいる者たちだけで、対処する方向で検討してもらいたい」


 やっぱり無理か・・・

 最悪、フィリップに頼んで国軍の応援部隊をもらおうと考えていたが、それは無理そうだな。やはり、アトラス刑務所自体が、公にされていない存在だから、仕方がない面もある。


「分かりました。基本的にスタンピード対策は長丁場になると思います。補給線の確保も必要になります。その辺は大丈夫でしょうか?」


 これにはミケが答えた。


「クロネコ商会が全面的にバックアップするニャ」


「分かりました。なるべく被害地域を少なくし、かつ被害者を最小にするには・・・」


 俺が提案したのは、ゴーレムを使い捨てにする作戦だった。

 これは文献にあった奴隷や犯罪者を生贄にする戦術を応用したものだ。我ながらいい作戦だと思った。しかし、反対の声が上がる。

 ドワーフの代表者であるマリベラが叫ぶ。


「そんなの許せないッス!!ゴーレムを何だと思っているんスか?」

「そうだ。大切なゴーレムを使い捨てになどと・・・」

「ゴーレム、壊す。絶対ダメ」


 俺も引き下がらない。


「しかし、そうしなければ、多くの犠牲者を出すか、居住区の大半を失ってしまいます」


「でも・・・ゴーレムも大切な仲間ッス・・・」


 マリベラの気持ちもよく分かる。

 特にゴーレムを作っている作業員たちは、ゴーレムに特別の思い入れがある。誰だって、使い捨てにするゴーレムを作りたくはないだろう。


 議論が平行線のまま、時間だけが過ぎていった。

 しばらくして、バネッサ所長が言った。


「どちらの意見もよく分かる。副所長、なるべくゴーレムの犠牲を少なくする策を立てられんか?」

「なるべくでいいのなら・・・ただし、ゼロにはなりません」


 ここで嘘はつけない。どんなに上手く作戦が成功しても、絶対に壊されるゴーレムがゼロにはならない。


「マリベラ、どうじゃ?」

「仕方がないッス・・・」


 どうやら、納得してもらえたようだ。


 リオネッサ将軍が言う。


「時間がない。センパイの策を採用しよう。会議はこれで終わりだ。各自、作業を続けてくれ。それと、センパイ。陛下に報告に行く。ついて来い」


 俺はリオネッサ将軍に連れられて、女王陛下の居室に向かった。

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