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異世界のんびり刑務官~異世界で無双?そんなの俺は求めてない。ただ安定した生活がしたいだけなんだ!  作者: 楊楊
第四章 女王の帰還

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49 プロローグ

 空飛ぶドローンゴーレムも瞬く間に試作品ができてしまった。

 今は、「もっと実験データが必要」と言ってお茶を濁しているけど、それも限界に近い。まあ、次の策は考えてあるんだけどな。でも今は言わない。俺もネタが無限にあるわけじゃないからな。ドローンゴーレムで引っ張れるだけ引っ張るつもりだ。


 そんなことを思いながら、いつも通り勤務していたところ、バネッサ所長から呼び出しを受けた。


「実は祭りをしようと思うのじゃ。ゴーレム研究も進んでおるし、交流の無かった種族も交流するようになり、ここらで盛大に祝おうと思ってな」

「いい考えですね。みんなお疲れのようですから、しばらくゴーレム工場は休みにしましょう」

「それは・・・まあ副所長がそう言うなら、そうしてもよいかのう。わらわとしては、ずっと研究をしていたいが・・・」

「ゴーレム神様も祭りに参加してもらいましょう。一度分解して・・・」


 これは思いつきの作戦だ。

 分解して、組み立てるだけでも時間を消費できる。2~3日は作業がストップするだろう。それに撤収にも同じ時間が掛かるしな。


 早速、フィオナ嬢やリオネッサ将軍と祭りの準備を行う。

 各種族の作業員も協力してもらえることになった。種族間の交流はほとんどないけど、ゴーレム工場の職員たちは比較的に仲がいいからな。


「酒はドワーフが用意するッス」

「ドワーフの酒は強すぎるから、エルフも用意するぞ」

「エルフは軟弱者ッスね」

「なんだと!?馬鹿舌のちんちくりんのドワーフが偉そうに!!」

「言ったッスね!!やるならやるッスよ!!」


 これにはゴブリンの作業員が仲裁に入る。


「ゴーレム様が見ていますよ。喧嘩はやめましょう。ゴーレム様を称えるお祭りなんですから」


 それで収まるのかと思ったが、マリベラもエルフの作業員も納得したようだった。


「そうッスね。私も悪かったッス。エルフはいけ好かないけど、ゴーレム様のためには我慢するッス」

「俺もだ。偉大なるゴーレム神に免じて許してやろう」


 宗教って怖いな・・・

 だけど、工場の作業員が種族や文化の違いがあっても上手くやっているのは、巨大ゴーレムを動かすという共通の目標があるからだ。いよいよ嘘だと言いづらくなる。


 そんなこんなで俺たちは、祭りの準備に取り掛かることになるのだが、予想外のことが起きる。

 巨大ゴーレムの分解作業を行っていたマリベラが声を上げた。


「そういうことッスか!!新たなアイデアを思いついたッス!!所長、この理論が正しいか検証をお願いしたいッス」


 マリベラはバネッサ所長に説明を始めた。

 遠巻きに聞いていたが、ゴーレムについて新しいアイデアを思いついたようだ。


「ほう・・・これはわらわも気づかなかったのう。これで一歩、ゴーレム神の完成に近づいたのじゃ」


 新しい発見をする者は、マリベラだけではなかった。

 フィオナ嬢も他の作業員たちも、それぞれが意見を言ったり、議論を始めてしまった。


「これはゴーレム神様の大いなるご意思かもしれません。御身を私たちに差し出して、技術を伝えようとしてくれているのですわ」


 フィオナ嬢の中で、巨大ゴーレムがどういう設定なのか分からないが、ゴーレムなんだから、意思も何もないと思う。それに御身を差し出すも何も、自分たちで勝手に分解してるんだけど・・・

 でもフィオナ嬢の意見は、多くの賛同を得ていた。


「よし!!作業員は全員集合じゃ。ただ分解するだけでなく、そのすべてを自分のものとするのじゃ」

「「「はい!!」」」


 自分を殴りたくなる。

 俺の思いつきの作戦が、世界の滅亡を早めてしまったかもしれない。


「ちょっと、落ち着いてください!!そんなことをすれば、祭りに間に合わなくなります。まずは祭りを・・・」


 言い掛けたところで、リオネッサ将軍に遮られた。


「それは心配する必要はない。祭りの準備など作業員でなくともできる。その仕事は私が請け負おう。これでも将軍になる前は、式典の準備や復興支援の指揮なんかも多くやった経験があるからな」


 実際、リオネッサ将軍は凄かった。

 各集落から人員をかき集め、種族も文化もバラバラな者たちをまとめ上げていく。みるみる作業は進み、中央広場に立派な特設ステージまで作ってしまった。


「どうだ、センパイ?ゴーレム製作では力になれんが、これくらいなら私にもできるぞ」

「凄いと思います」

「実は若い頃、工兵の経験もあるからな」

「そ、そうですか・・・」


 リオネッサ将軍は剣の達人だが、それだけで将軍になれるわけではない。

 こういう指揮能力こそが、彼女の一番の強みなのかもしれない。


 そんなことは置いておいて、何とか作業というか、ゴーレム技術の発展を阻害しないといけない。

 そう考えた俺は、早めに次の策を打つことにした。


「皆さん、聞いてください。お祭り用にいい資料を発見しました」


 俺は作業をしていたバネッサ所長たちに資料を見せて、説明をする。

 もちろん俺が偽装したあやふやな資料だけどな。


 一番食いついたのは、アラクネの女性作業員クーネだった。


「ああ・・・こ、これは・・・ゴーレム神様!!感謝いたします」


 クーネは泣き崩れた。


 最近、俺の作戦はことごとく裏目に出る。今回も裏目に出てしまったと気づいたのは、数日後のことだった。

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