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異世界のんびり刑務官~異世界で無双?そんなの俺は求めてない。ただ安定した生活がしたいだけなんだ!  作者: 楊楊
第三章 人事異動

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42 アトラス刑務所 3

 アトラス刑務所は高さ100メートル以上の壁に囲まれている。


 そう思っていたが、中から見るとそうではなかった。

 壁があるのは町に面した箇所だけで、その他の部分には壁がなかった。外から見たら壁に覆われているように見えるけど。

 所長室や閣下の独房がある管理棟を出ると、だだっ広い草原、その奥に広大な森が広がっている。


「驚いたか?まあ、説明は後じゃ。まずは顔合わせからじゃ」


 中央広場に設置されている集会所に入ると、そこには多種多様な種族の囚人が待機していた。

 エルフにドワーフ、獣人はまだ分かる。しかし、下半身が馬のケンタウロス、下半身が蜘蛛のアラクネ、下半身が蛇のラミア・・・それにどう見ても魔物にしか見えないリザードマン、ゴブリン、オークなんかもいる。

 貴族学校では、絶滅したと聞いていたが・・・


 俺たち三人が驚きを隠せないでいる中、バネッサ所長は気にせず話を進めている。


「何年ぶりかのう・・・みんな元気そうで何よりじゃ」


 バネッサ所長は集まった囚人を見回していると急に驚きの声を上げる。


「おい!!ギムリはどうした?」


 これに答えたのは、小柄なドワーフの少女だった。


「父上は腰痛が酷くて、代わりに私が来たッス」

「おう!!マリベラか・・・大きくなったな。痛み止めのポーションを後で届けさせよう」

「ありがとうッス」


 そんな時、リザードマンの男が声を上げた。


「所長、俺たちも代替わりしたぞ。俺はザドマだ」

「ザドマか・・・リザードマンは見分けがつかんからのう・・・」

「気にするな。人間には見分けることは、難しいみたいだからな」


 そんな感じで、代替わりしている種族の者が名乗り出たり、昔話を始めてしまった。

 ここで俺の頭に疑問が浮かぶ。


 囚人が代替わりって?


 よく分からないまま、俺たち三人も挨拶させられる。


「ということで、みんな仲良くするように。それでは解散!!」


 えっと・・・何からツッコミを入れようか・・・


 そんなことを思っていたら、リザードマンのザドマが声を上げた。


「早速、リオネッサ殿と手合わせをしたいのだが、いいだろうか?」

「警備主任、よいか?」


「構いません」


 なぜか、模擬戦が始まってしまった。

 ザドマもなかなかの実力者だったが、リオネッサ将軍には及ばなかった。その後も次々と挑戦者が名乗り出て、収拾がつかなくなっていった。何戦かしたところで、バネッサ所長が言う。


「その辺にしておけ。また機会があるし、挑戦したい者は後日、管理棟まで来い」


 何とか治まり、俺たちは管理棟に帰ることになった。



 ★★★


 所長室に戻ると、バネッサ所長がアトラス刑務所についての説明をしてくれた。


「アトラス刑務所は、表向きは刑務所じゃが、実際は刑務所ではないのじゃ。では、何の施設かと問われれば、それに答えるのも難しいのう・・・」


 刑務所ではない謎の施設って・・・


 俺たちの動揺を無視して、バネッサ所長は話を続けた。


「アトラス刑務所を語る上で、まずは、この国の歴史を話さねばならん。お前たちが習ってきたオンボーロ帝国の歴史はほとんどが嘘で塗り固められた偽りの歴史じゃ。今年で建国1200年というが、実際この国はたかだか250年程の歴史しかない」


 驚いたフィオナ嬢が質問する。


「そ、そんな・・・でも我がスペンサー侯爵家は500年以上の歴史があるんですが・・・」


「フィオナ嬢は当主ではないから、本当の歴史を知らんようじゃな。スペンサー侯爵家には代々当主にだけ受け継がれてきた歴史があるのじゃ。スペンサー侯爵領の領都がアトラスというのも、それが理由なのじゃ」


「本当の歴史って?」


「それでは教えてやろう。この地は1000年以上、多種多様な種族が平和に暮らしていたのじゃ。この壁ができたのもその頃じゃ。当時は凶悪な魔物が異常発生するスタンピードが定期的に起こっていたのじゃが、その対策のためにこの壁は建築されたのじゃ」


 刑務所の巨大な壁はスタンピード対策ってことか・・・


「今から250年程前、情勢が一変する。亜人や獣人、魔族などの他種族を弾圧する過激な宗教団体が台頭し始めた。そこで当時の魔族の女王陛下が行動を起こす。多種多様な種族を保護するため、オンボーロ帝国の前身となったオンボーロ王国の国王と密約を交わすことになったのじゃ。人間と姿形や生活習慣が全く違う種族を壁の北側に避難させたのじゃ。当時のオンボーロ王国の国王はお主らもよく知っているアルフレッド大帝じゃ」


「帝国史大全」第4巻の大半を埋め尽くす、中興の祖として名高いアルフレッド大帝を帝国民なら知らない者はいない。


 フィオナ嬢が言う。


「アルフレッド大帝は中興の祖ではなく、初代皇帝だったと?」


「うむ。しかし、150年程前に歴史の大幅な改変があってのう・・・まあ、詳しくは言わんが・・・」


 俺も質問する。


「アトラスが田舎町のままなのは、敢えてそうしているということでしょうか?」


「そうじゃ。町が発展しすぎると、この真実がバレてしまうからのう」


 アトラス刑務所については、何となくだが理解した。

 秘密の施設というは分かったけど、俺たちはここで何をするんだ?


「ところで、俺たちはどうして、ここに集められたのでしょうか?」


「今は知らんでもよい。そのうち分からるじゃろう」


 バネッサ所長は意味深に言った。

 どうやら、今のところ、これ以上の説明はないようだった。

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