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異世界のんびり刑務官~異世界で無双?そんなの俺は求めてない。ただ安定した生活がしたいだけなんだ!  作者: 楊楊
将軍の反撃

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34 マジノ砦奪還作戦 4

 俺はフィオナ嬢に指示を出す。


「フィオ・・・じゃなかった。ナナ、風魔法で眠り薬を撒いてくれ」

「はい」

「俺は精神攻撃魔法で、耐性を下げる」


 ミケが言う。


「酒に混ぜた眠り薬がかなり効いているニャ」

「本当ね。こんな方法があるなんて、目から鱗だわ」


「俺もそう思うよ。しかし、レントン教授って、何者なんだろうな?」


 これはレントン教授が帝国史の授業で、使った技の応用だ。

 レントン教授が「嘆きの塔」に来た時に興味本位で聞いたのが、ここで役に立った。


「強い魔法や薬であれば、勘の良い者は気づくものじゃ。しかし、ごくごく弱い効力の魔法や薬と精神攻撃耐性を下げる魔法を併用すると、効果は絶大じゃ。タネは単純なことじゃがな」


 実際に体験した俺たちだから、その威力が分かる。

 レントン教授が言うには、学生を使って実験をしていたらしい。というか、「学生で実験するなよ!!」と思うけど・・・


 実戦でいきなり使うのは不安だったが、効果は絶大だった。

 ほぼすべての兵士たちが眠りに落ちている。何人かは効いていない者もいたが、動きは鈍く、俺たちの敵ではなかった。

 リオネッサ将軍が指示を出す。


「狼煙を上げろ!!さあ、証拠集めだ。時間がないぞ」


 砦から大きな火柱が上がる。

 俺たちはというと、砦の司令官の拘束に向かった。食堂の床に寝転んでいた司令官を叩き起こし、自白剤を飲ませて、尋問する。

 睨んだとおり、司令官同士がつながっていることが判明し、更に証拠資料も押さえた。


「すぐに撤退するぞ!!」


 リオネッサ将軍の指示で、迅速に旧マジノ砦を後にした。

 後はフィリップが上手くやってくれれば、作戦は完了だ。


 ★★★


 俺たちが撤退して、すぐに怒号が響き渡った。

 フィリップが率いるオンボーロ帝国軍が突撃してきた。もう戦闘と呼べるものではなかったけどな。

 だって、砦の門は解放状態だし、配置されているはずの兵士は全員が寝ている。


 一方のオンボーロ帝国軍は、準備万端だ。

 というのも、フォクスさんの計らいで、部隊内で規律違反があったことにして、夜遅くまで懲罰訓練をしていたからだ。そこに乗せられやすいフィリップを煽れば・・・


 機を見て、フォクスさんと合流して、状況を聞く。

 乗せられやすいフィリップは、作戦を無視して突撃を指示したらしい。新マジノ砦の司令官は必死で止めたみたいだけど、エンジン全開のフィリップを止めることはできなかったという。


「これはチャンスだ!!とにかく突撃だ!!俺についてこい!!」


 そもそも、作戦自体がシンプルに突撃するだけだったから、大した混乱はなかったそうだ。それに何人かの兵士は、訓練の延長だと思っていたそうだ。


 状況を把握した俺は、フィオナ嬢に合図を送る。

 フィオナ嬢は頷き、隊長のフィリップに報告した。


「敵の司令官を拘束しました」

「なんだと!?すぐに案内しろ」

「分かりました。それと、重要資料も発見しました」

「よし、徹底的に調べよう。フォクス、任せたぞ」


 なぜ、冒険者ごときが重要資料と分かるのかと、疑問を持たないところがフィリップのフィリップたる所以だ。

 俺とリオネッサ将軍は、こっそりと部隊を離れ、帝都に帰還する。

 後は、フィオナ嬢やミケ、トラコさんやフォクスさんが上手くやってくれるだろう。



 ★★★


 部隊よりも早めに帝都に戻った俺は、上司から叱責を受けていた。


「正規兵ではなく、冒険者として従軍しただと!?」

「は、はい・・・兄が俺の従軍を認めてくれなかったので・・・」

「それも偽名で従軍って・・・それじゃあ、刑務局の点数にならないじゃないか!!」

「そんな・・・俺は兄を助けたかっただけで・・・」

「もういい。こうなったら、君は従軍しなかったことにしよう。休暇ということにすれば・・・」


 結局、特に処分はなかったが、報奨もなかった。

 まあ、別にいいんだけど、それにしても世知辛い。


 リオネッサ将軍と閣下が慰めてくれる。


「センパイには感謝しかないな」

「大活躍だったようだな?」


「そんなに活躍はしてませんよ。それとまだ勝負は終わってません。軍法会議がありますからね」


 実際、旧マジノ砦の奪還に成功はしたが、それで全てが解決したわけではない。

 リオネッサ将軍の作戦で、旧マジノ砦を奪われたことには違いないし、今回の奪還作戦の功労者は、表向きはリオネッサ将軍ではないしな。

 だから、リオネッサ将軍の責任を追及する声もゼロにはならない。


 閣下が言う。


「当然、センパイは次の手も考えているのだろう?」

「はい。ですが、これも綱渡りですね・・・まだ判明していない事実もありますし・・・」


 それと問題はまだある。

 リオネッサ将軍が参謀本部に伺いを立てた事実の有無だ。マジノ砦の司令官を尋問しても、その件については知らないとの一点張りだった。

 父と兄のマイケルの見立てでは、参謀本部の誰かがもみ消した可能性が高いとのことだった。


 そうなると、容易に証明することはできない。

 悔しいが、その辺は曖昧にしながら弁護をするしかないだろう。


「最終的には情に訴えるようになるでしょうね・・・」


 多分、そこしかないだろう。

 そして、この作戦の鍵を握るのは・・・

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