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異世界のんびり刑務官~異世界で無双?そんなの俺は求めてない。ただ安定した生活がしたいだけなんだ!  作者: 楊楊
将軍の反撃

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29 再捜査 3

 それから3日後、父と母がフィリップを引取りに行った。

 父と母が監督することを条件に1ヶ月の停職と減俸処分となった。なので、しばらくフィリップは実家で暮らすことになった。


「リオネッサ将軍の弁護をする前にフィリップの弁護をすることになるとは・・・」

「自分で考えて行動しなさいとは言ったけど、もうちょっと考えてほしかったわ」


「父上、母上、申し訳ありません」


 フィリップはかなり落ち込んでいる。

 フィリップに甘い父と母はフィリップを慰める。


「だが、思いのほか処分が軽かったことは幸いだったな。人生、こういったこともある」

「ええ・・・気を落さずに頑張りましょうね」


 フィリップの罪状は、無断欠勤と職務怠慢だった。

 というのも、軍の関係者が民衆を扇動してデモや集会を行うなんて、国としても想定していなかったようで、そもそもフィリップの行為を直接罰する法律がなかったのだ。


「そうですね・・・事前に上官に報告すればよかったですね・・・」


 そんなことは無理だろう。どこに「これからデモを扇動しますのでr、休みを下さい」と言って、「じゃあ、頑張ってね」という上官がいるのだろうか?


「過ぎたことは仕方がない。だが、これで情報が取りづらくなったな」

「そうね。この状況で夜会やお茶会に行くのはねえ・・・」


 確かにそれは痛い。

 軍に全く伝手のない俺が、情報を集めるには父と母に頼るしかないからな。


 だが、フィリップの行為が思うわぬ結果をもたらすことになった。



 ★★★


 最近、我が家では3日に一度は、夜会が行われている。

 こうなった経緯を順に話していこう。


 まず、夜会には行けなくなったが、フィリップの行動で我が家は親リオネッサ将軍派の中心的存在だと見られるようになった。それで貴族、平民関係なく多くの軍関係者や退役軍人が我が家を訪ねてくるようになった。なので、どうせならということで、夜会というか食事会のようなラフな会合を行うようになっていったのだった。


 ここで問題となったのは、予算だ。


「流石に連日となると、財政的に厳しいな・・・」

「そうね・・・我が家は貴族でも、有力貴族ではないしね。それでも貴族だから、それなりの物は出さないといけないし・・・」


 リオネッサ将軍は助けたい。しかし、我が家を財政的に傾けてまで助けるのは、違う気がする。

 なので、俺は提案をした。

 父もびっくりしていた。


「なに?参加者から会費を集めるだって!?」


「そうです。自分に考えがあります」


 俺が提案したのは、貧乏節約料理を提供し、会費というかリオネッサ将軍を助けるための基金を設立することだった。一応、「伝説の熊山亭の秘密のレシピ」という触れ込みにして、納得してもらうことになった。まあ、俺が考えたレシピをクマーラさんが改良したものだから、嘘はついてはいない。


「背に腹は代えられないな・・・やるだけやってみよう」


 父の許可を得て、この作戦は遂行されることになった。

 その所為で、リオネッサ将軍を支持しているわけではないけど、料理目当てで参加する貴族も増えた。

 今日も俺は厨房に籠ってせっせと料理を作り、父と母、マイケルが来客のエスコートをして情報を集める。

 そして、この会の主役なのだが、なんとフィリップだ。


 フィリップは俺のために頑張ってくれていたと思っていたが、それだけではなかったらしい。

 個人的にリオネッサ将軍とも縁があったようだ。今も来客を前に暑苦しく、語っている。


「俺は「魔法剣士」ですが、なかなか芽が出ませんでした。この年齢で貴族なのに未だに小隊長です。そんな時、リオネッサ将軍から助言をいただきました。『もっと相手をよく見て、工夫して戦え』と。しかし、俺はこう言いました。


『俺は相手の得意なフィールドで、正々堂々戦って勝ちたいんです。将来の大将軍ですから』


 自分でも馬鹿なことをしていると思います。でも絶対譲れないものがあるんです。リオネッサ将軍はというと、俺を怒るでもなく、笑いながらこう言いました。


『貴殿には興味が湧いた。やれるだけやってみよ。貴殿が将軍になることを楽しみにしている』


 これが俺とリオネッサ将軍との出会いでした。だからこそ・・・」


 どこかで聞いた話だ・・・



 軍人、特にリオネッサ将軍を信奉する軍人は熱い奴が多く、フィリップは上官からも、下士官からも慕われるようになっていた。こちらが何も指示してないのに勝手に情報を取って来たり、それぞれで、情報交換をしたりして、どんどんと情報が集まっていった。


 そんな様子を見ていたところ、マイケルが声を掛けてきた。


「どうだ?調子は?」

「俺は情報収集とかは得意じゃありませんから、料理を作っているだけですよ」

「料理は確かに旨いな。反リオネッサ将軍派閥の奴も来るくらいにな」

「えっ・・・それって・・・不味いんじゃ?」

「物は考えようだ」


 マイケルが言うには、敢えて断ることなく、反リオネッサ派閥の奴らも招いているという。


「こちらに差し出せる情報なんて、ほぼない。だけど、連中はこちらが欲しがっている情報を持っている。まあ、腕の見せ所だというわけだ」


 言われてみればそうだ。

 フィリップが熱く語ったところで、「みんなで頑張りましょう」くらいの効果しかない。でも、反リオネッサ将軍派閥の連中は情報を持っている可能性が高い。


「まあ、ここは頼りになる兄貴に任せておけ」


 マイケルは何食わぬ顔で、反リオネッサ将軍派閥の輪に入って行った。


 俺の家族って、意外に頼もしいな・・・

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