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異世界のんびり刑務官~異世界で無双?そんなの俺は求めてない。ただ安定した生活がしたいだけなんだ!  作者: 楊楊
将軍の反撃

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28 再捜査 2

 軍法会議とは、主に軍の関係者を対象にした刑事裁判だ。

 軍隊は独自の法律が適用される。例を挙げると戦場でいくら敵を殺しても殺人罪にはならない。だが、一般社会では、上司の命令に従わなかっただけでは刑事罰の対象にならないが、軍隊では重罪になる。敵前逃亡罪なんかが、最たる例だ。

 まあ、現代日本にはない制度だから、馴染みはない。


 渡された資料を見ると、大体は普通の裁判と同じだった。

 なので、俺が捜査をすることはできる。しかし、弁護人については少し違っていた。規定では「男爵以上の爵位にあるの者で、2年以上の軍歴があること」となっていた。なので、今回はルートナー伯爵を弁護人にすることはできない。


 俺が悩んでいると、深い眠りから目覚めたフィリップが声を掛けてきた。


「どうした?何か困ったことでもあるのか?」

「弁護人のことで悩んでます。この条件に該当する人に知り合いはいなくて・・・」

「どれ?これなら、父上に頼めばいいんじゃないか?」


 父のピートは、宮廷魔導士団に2年程所属していた。

 フィリップが言うには、それでも軍歴になるそうだ。騎士団が第一騎兵隊となって軍に再編されたが、プライドの高い魔導士たちはこれをよしとせず、未だに独立した宮廷魔導士団として存続しているという。


「ヨシ!!俺が頼んでやろう。準備してくるから、ちょっと待っていろ」

「は、はい・・・」


 その間、俺は狐獣人のフォクスさんと話すことにした。


「兄がご迷惑を掛けていませんか?」

「いえいえ、そんなことはないですよ」

「遠慮せずに言ってください。家族として、できる限りにことはしますよ」

「そうですね・・・まあ、これまでの上司に比べれば、格段にいいですよ。獣人や平民を差別されませんし、何事にも一生懸命ですし・・・まあ、何とかなってます」


 多分、苦労はしているんだろう。


「では、引き続き兄をお願いします」

「はい」


 そんな会話をしていると、フィリップが戻って来た。


「中隊長の許可をもらったし、これから実家に行くぞ」

「はい・・・」


 ★★★


 実家に到着する。

 今日もマイケルが実家に来ていた。母によると、みんなフィオナ嬢の案件から、こういったことが楽しくて仕方ないらしい。夢を諦めたとはいえ、こういった人の役に立つことをしたかった人たちだしな。


「ある程度はフィリップから聞いている。弁護人は受けてやる。それにしても、また貴族どもから情報を取らないといけないと思うと、少し憂鬱だ」

「何を言っているのよ。今回もしっかりやりましょう」


 弁護人を頼んだだけで、そこまでしてくれとは頼んでないぞ。まあ、有難いけど。

 マイケルも続く。


「私は宮廷魔導士団の同期の伝手で情報収集しよう。マジノ砦の戦いに従軍した奴もいるからな。一般の魔法兵として従軍したから、大した情報は得られんかもしれんが、それでも多少の役には立つかもしれん」


「父上、母上、マイケル兄さん。本当にありがとうございます」


 焦ったフィリップも続く。


「えっと・・・俺は・・・」


 可哀想なことにフィリップは無視された。父と母とマイケルで盛り上がってしまう。


「今回の件は闇を感じる。軍の上層部の派閥争いが関係しているかもしれん」

「だったら、軍閥貴族の夜会にも出ないとね。ちょっと手配してみるわね」

「そういえば、参謀本部に勤務している貴族学校時代の同期がいることを思い出しました。それとなく、当たってみます」


 蚊帳の外のフィリップが言う。


「俺は何をしたらいいんでしょうか?」

「フィリップ、何でもかんでも人に聞いては駄目よ。もう大人なんだから、自分で考えて行動しなさい。貴方にしかできないことがあるはずよ」

「俺にしかできないこと・・・分かりました、やってみます」


 最後は普通の食事会になっていたが、まあ家族何てこんなものだ。

 しかし、このことが後々厄介な結果になるのだった。



 ★★★


 大した成果を得られないまま、2週間が過ぎた。

 その日、俺は第三駐屯地に呼び出された。フィリップからではない。フィリップの部下のフォクスさんからだった。


「実は、フィリップ小隊長が軍法会議にかけられることになりました」

「えっ!!」

「驚くのも無理はありませんね・・・」

「一体、兄は何をしたのでしょうか?」

「そうですね・・・いつも通りといえば、いつも通りなのですが・・・」


 フォクスさんが語った内容は、衝撃的なものだった。

 フィリップは、母から「少しは自分で考え、自分にできることをしろ」と言われたことで、リオネッサ将軍の無実を証明する活動を開始したようだ。それは軍法会議のための証拠を集めるとかではなく、軍の関係者はおろか、一般市民を巻き込んで、デモや集会のようなことを始めてしまったそうだ。

 その運動はかなりの広がりを見せ、事態を重く見た上層部は、フィリップを軍法会議にかけることにしたようだ。現在、フィリップは取調べを受けているようだ。


 おい!!フィリップ!!お前の仕事はどちらかというと、デモを取り締まる側だろうが!!

 デモを扇動してどうすんだ?


「多分、それほど重い処分にはならないと思います。良くて数日間の謹慎、悪くて減俸くらいでしょうか・・・」

「思ったより軽いですね?」

「一般市民がかなり盛り上がってしまっているので、フィリップ小隊長を重く処分してしまえば、更に加熱することが予想されますからね。フィリップ小隊長は定期的に奇行を繰り返すことで有名ですから、上層部としては、「またアイツか・・・」みたいな感じになって、処分を軽くする代わりに、それとなく除隊を勧められるかもしれませんね」


 やはり、フィリップは軍でも痛い奴扱いだったようだ。


「兄がすみませんでした。とりあえず、家族と相談して対処致します」

「宜しくお願い致します。小隊長は理想の上司とまではいきませんが、それでもこれまで仕えてきた小隊長に比べれば、各段にいい方ですからね」


 ただでさえ、いい情報が集まらずに困っていたところに、また面倒事を抱え込んでしまった。

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