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フライングガール!  作者: Jack...
7/10

松本さんは未経験なモブ?

はい、私が松本美月です。


中学では文芸部。メガネでいまは三つ編みじゃないけど昔はそうだった文学少女です。

文学少女ってはかなげで小さくないといけないですか?私はちょっと違うみたいです。


いま立って話をしている人達は結構背が高いですがわたしも概ね一緒です。170cm、自称ですが48kgww。自称です。

10kmのチャリ通をする程度には体力がありますし、司書が目標ですが、司書には体力も知力も手先の器用さも必要だと思っていますのでランニングなども欠かせません。体育の成績はずっといいです。子供のころはサッカー少年団にも入っていましたし。


はっきりいって恥かしいけど、ここが気合の入れどころでしょ!!


「はいっ!!私も入れてください!!」


「おぅ」「うむ」「誰」


「松本美月です!あだ名は『図書委員』でいいですが、図書委員にはまだなってません。毎日往復20kmのチャリ通でサッカー少年団に小5まで入ってて、体育はずっと5です。バスケの経験はありません!」


「ないんか」「・・・」「んー、足が早ければいいんじゃない」


「将来の夢は大学で資格とって司書になることで、超有名ラノベっぽいですが、あそこまで迂遠なことは異世界転生しても自分にはできないと思います!でも司書は意外と体力勝負だし、背があれば高い本棚も余裕です!自分で言ってて悲しいけど顔も自信ないし、・・・ぶっちゃけこのままだとモブJK確定です!皆さんにはちょっと負けてますが、手持ちのカードが身長となけなしの体力しかありません!」


「素直や」「・・・」「あー、お化粧工夫すればいけるよ」


「先生!クラマの希望出しました!お願いします!」


「松本さん、はい、自薦で女子バスケ、問題ないです。みなさんもさっきの卓球含め、個人個人で話しあってもいいので、どんどん決めていきましょう」


           ・・・


はー、思い切って声出してよかったー。


「よかったー、結構勇気いったよー」


通称・マイティさんと従者のジョージくん。その周りに高橋さんと桜井さん。私の後から手を挙げて入ってきた山田桃花さんと原田凛音さん。


「あたしも松本さんが言ってくれたんで行けたくち。リオンもそうでしょ」


誰かの助けになったのなら司書冥利に付きますね。まだ資格すら取ってませんが。


「ももか、あ、山田さんと私は同じ中学でバスケ経験者です。ふたりとも女子165cmで、それなりに大きいと思ってたんですけど、高一で6人チームで一番小さいズになるなんてびっくりです。」


私もそう思います。自分より大きな女子が高一でゴロゴロいるなんて思ってませんでした。

いまは座ってますが、マイティさんなんて見上げる高さですもんね。


もう一個勇気を出して言ってみよう!


「ねー、いきなりでごめんだけど、みんな一年だし、名前呼びにしない?」


「いーよ」「うむ」「まー、そのほう楽ね」「おk」「そうね、でもマイティさんだけさん付けしそう」


「「「「わかるー」」」」「かまわぬ」


「わたしはリコで」


「じゃ、ユカ。ポニテは無しで。みんなよろしく」


「リオンに言われたとおり、ももかでおk」


「からのー、リオンで!いや、こういう言い方、ちょっと恥かしいねww」


みなさんと、とりあえずかもしれませんが、普通に打ち解けられたみたい、ラッキーです。


「私はミツキ。図書委員でもいいよ」


「あー、そっちのが長いからミツキでよろしくー」


「ポニテは細かいな」「もー、いまポニテしてないって」


ボケは成立したみたいです。

これは文学少女というか、ラノベ的推測ですが、ジョージくんとやらは、きっとこのポジションに収まるんですよね。


「じゃ、ジョージくん仕切って?」


「僕がですか?」


「女バスなのに当然のように残っているじゃない。ジョージくんのさっきの解説通りに動くならサッカーに行ってるでしょ?なので女バスのマネがジョージくんのはず」


「ほぉ、おぬし鋭いな。我もそれが適任だと思っておった」


「へーー、なんでだーー?」


「ユカは判るだろう。パス出しするとき素早くボールを渡してもらわないとならん。今、ジョージを鍛えているが、中々のモノだ」「僕なんかまだまだですよ」


「あーーー、アレかぁーーー」


桜井さんは心底イヤそう。でも私の顔を見てハッとして


「んー、イヤってわけじゃないんだよ、みっちゃん」


「みっちゃんて私?」


「えー、ミツキちゃんと言おうとおもったら自然にそうなった。呼ばれたことない?」


「小さなころなら」


「イヤ?」


「別に大丈夫」


「じゃー、マイティさんとジョージに任せておくと全然しゃべらない気がするので説明するねー。マイティさんは基本しゃべったり議事進行みたいなのしないしーー、ジョージはたぶんバスケがわかんないしーー。

んーー・・・見たことがあるのはリコだけか。ももか、リオンも経験者ならダッシュ30本とか練習したよねーー?」


「ミツキだけみっちゃんであたしら呼び捨て?ま、いいけど、あたしはミツキって呼ぶよ」「いちおーできるよ、ね?リオン?」


ミツキでかまいません。笑顔と会釈でみんなに肯定します。

ももリオペアはももかさんのほうが積極的? リオンさんも「ね?」に笑顔で頷いてます。もしかして人見知り気味でさっきのはイキオいでなんとかって感じでしょうか。


ダッシュ30本・・・あまりしたことないなぁ。

ユカさん、ご説明いただければ幸いです。


「それそれ、アイコンタクトで意思を伝えるの上手ね、みっちゃん。向いてるよ。今6人だから、3 on 3 かな、どんどんメンバーを変えて30分も遊んでいるとね、この人、マイティさんはあたしらの『性能』を把握しちゃうの」


「性能?あたしとリオンはマイティさんのー、えー、なんというかー、あのー」「悪い噂、な。判っておるので心配無用だ」


「そういう噂くらいしか知らないし、あの新歓で全部書いて満点に近いところまで行けそうってのも正直意味わかんないって感じ、あ、スゴすぎるなーって意味で自分から遠すぎてわかんない、だからね?」


私にもわかります。ももかさんがビビっているってことは。私もちょっとビビってますから。

みんなでがんばってうんうん頷いてます。


「慣れておる。その程度で殴ったり蹴ったりせぬ。それに下手に蹴ると普通に大怪我をさせてしまうので自重しておる」「みなさん大丈夫ですよ。僕も体力的に鍛えてもらってます。目標はちょっと厳しいですが、マイティさんはあんなふうに言ってますがたたいたりしません。言葉の暴力もありません。むしろ褒めてもらっているくらいですよ?」


「あー、それなー、噂しか知らないと信じられないかもしれないけどあたしは同中(おなちゅー)だしわかるー、まー、叩くことでしか理解させる方法がないバカは蹴ってたけどなー」


あ、一部は本当なんですね。続けてください。


「でー、この人はさー、さっきジョージもさー、あ、呼び捨てでいいー?一応確認……いーのねーー、ジョージ、、が、言ってたでしょ。目標はちょっと厳しいって。あたしらの性能を把握したら、まず、常時100%を出させようとする。それはふつーにできちゃう。次は105%, 110%とじわじわと目標を上げてくのー」


「ちょっとまって・・・えーと、ゆか?」


リコさんまだ覚えてないですね。


「あー、ポニテじゃないよー」「言ってないって、さっきまで松本さんと呼んでたから一瞬迷っただけよ」


「まーー、言いたいことわかるよー。100%だってずっと出すのは難しいとかそういうことでしょーー?」


「そうそう!ももかもリオンもわかるよね、たぶんミツキも」


そうですね。瞬間100%なら出るかもしれませんが、常時100%はその時点で達人のレベルではないかと思います。みんな頷いています。


「んふぅーー、でもー、リコは見てるーー」


ユカさんはにやにやしてます。


「あ、アレがそうなの?ずーーーと100%だからアレだったの!?」


「ぶーーーーー、あれはずーーーーーっと100%以上。私のマックスは3ポイントで、集中力瞬間最大200%以上だよーーー、でないとー、あんなにーー、はーーいらーーないーー」


歌いはじめました。


「リコ、ユカってそんなに凄かったの?」


「ユカだけでなくチーム全体がね。ユカは少なくとも1試合で3ポイント10本以上は入れてたよ、下手したら20本入れたんじゃないかな」


「20本!!1試合で!?練習でもそんなに入れられないよ!」


リオンさん、あなたも、3ポインターとやら、なんですね。


「あの時のユカは凄かったよ。マイティさんの地獄の謎級の突破力には負けるけどね」


「突破力、強そうなのはわかるんだけど、ふつうにふっとばしたらファール取られちゃうでしょ?」


ももかさんの疑問は、未経験の私でもなんとなく想像できます。


「だから、『謎級』突破力。むしろ相手チームのほうが、アンスポやテクニカルファール覚悟でほぼタックルなホールディングとか、二人以上で容赦なく囲うブロッキングとかしてくるのに、当たったかどうか?くらいの接触で、もちろんふっとばしたりせずに、相手のほうが何故か見失ったり、自滅してコケちゃったりするの。そうなるとあとはセンターがひとりで守っているみたいなもんでしょ?どんどん進んで飛んで、よゆーのダンク!」


「リコ?それって相手チームが最悪一発か二発?での退場も覚悟でやってくるってこと?」


「あたしにはそう見えたし、次当たる予定だったから、あたしもそう覚悟してた」


「うわー最悪、そんなのかわせるんだぁ……力技だけじゃないんだね・・・さすが新歓の帝王」「桃花、帝王ってなに、女王とかにしようよ。でもわかるけど。」


ももかさんとリオンさんは、ぶつぶつ言いながら、マイティさんに憧れの視線を送っています。

でも、これだけは聞いておかなくては。


「あの、ちょっといいですか?ルールはこれから覚えていこうと思いますが、ファールは反則で、それで退場なのも、サッカーでもあったのでなんとなくはわかるんですが、スリーポイントって何ですか?」


あ、みんなコケました。


「あー、丁寧語になってるぞーー、みっちゃん。しかしそこからかー、まー、サッカーにはない概念だからなー。バスケは手で投げるので足を使うサッカーみたいな超ロングシュートとかは、例外的なブザービーターくらいさー。中学の部活で見ることはないけどーー。

でー、ざっくりで言うとー、近くから入れると2点、遠くからなら3点なのー。サッカーにもゴール、キーパーの周りにワクがあるよねー。あれと違って丸いけどそのワクより遠くから入れたら3点、スリーポイントシュートっていうのー。んーシュートなんでシュートは省略して3ポイントって言ってー、3ポイントが得意な人を3ポインターとも言うのーー。」


なるほど、つい丁寧語になっていまってました。


「わかった。丁寧語にならないように気をつける。ももか、リオン、3ポイント20本ってすごいんだろうなとは思うんだけど、どれくらいすごいの?」


「どれくらい???リオン、うーんとものすごいけど、なんて言っていいかなー、ね、なんか言って?」


「ももか・・・また無茶ぶりを……ミツキ、サッカー少年団いってたんだよね。一試合で前半後半どっちでもハットトリック、つまりダブルハットトリックかそれ以上にすごいっ!!」


そ・れ・は・も・の・す・ご・い・・・・・・・・・


「えーーー?・・・それは、よっぽどの実力差があっても無理ね・・・ユカって凄い選手なのね……」


「あー、それなー、リコの勘違いだよー」


「え?20は盛りすぎかもしれないけど結構近くなかった?」


「んー、あの試合は自分でもびっくりのー、12本入れた。まー、空前絶後の大記録ー。ふつーは、入っても5~6ぽんーー。だから自称200%以上ー。でー、あと数本はねー、近くまでは飛んだけど入ってない。でもさー、彼女がいつのまにか上がってて飛んでて、バックボード、リングでハネてーー入ってないーー、ってボールを押し込んでくれたー。彼女が飛んだらマジでリバウンド合戦にならなーーい。でー、それを入れたらー、19かなー?だからリコの印象どーりー」


「そういや見た気もする。でも、結局入れてんじゃん。」「一応3ポインターとして言わせてもらえれば一試合6本で充分スゴいよ」


「えー、でもリバウンドは2点だしーー、そもそも彼女の得点だしーー、彼女のパスとゾーニングありきだしーー」


3ポイントのルールも少しわかりました。多分半円状にラインが引いてあって、そこより外から直接リングに入れば3点、リバウンドの場合、明らかにそれより内側でプレーしているから2点ということですね。

丁寧語にならないように気をつけてっと……


「リバウンド合戦、と、マイティさんが飛ぶとそれにならないってどういうこと?」


「あたしも後半はちょっと聞こうと思ってた、何、何桃花笑ってるの?」

「リオン、リコがさっき、余裕のダンクっていってたよ。あたしらそんなに飛べると思う?」

「あー、そゆこと……じゃ、あたしが説明するね」


リオンさん、お願いします。


「最初に言ったけど、中三であたしたちくらいの背って、高いほうなのよ。でもジャンプ力がある子でもマイティさんがダンク余裕だとしたら、同じくらい飛べる人はいない。手の先とはいえ3m5cmを超えなきゃだからね。普通はそんな人いないから、どんぐりの背比べ、でいいんだっけ?同じレベルの敵味方が、リングやバックボードに当たって、入る?入らない?ってボールを押しこもうとしたり、そうはさせないと外へ出そうとしたりをびょんびょんやりながら数秒から長くて数十秒くらい競うの。それがリバウンド合戦。そういえば今さらなんだけどダンクってわかる?」


リオンさん、初心者を気付かってくれてありがとうございます。もしかしてももかさんよりリオンさんのほうが説明は上手なのかな?でも、それは見たことあります。


「あ、テレビかようつべでその瞬間の映像は見たことあるよ。リングにつかまってブラブラするやつでしょ?」


ん、みんな軽く苦笑しながら首かしげてる?


「あー、それなーー。そーゆーのが映像面白いからだと思うけど、上から入れれば全部ダンクさー。あたしらみたいな普通のプレーヤーは上に向かって投げてー、引力で落ちてきたのがバンクだろうが直だろうがリングに通るシュートがふつーー。バンクつーのはー、一回バックボード、後ろの板にあたったやつのことねーー。

マイティさんの場合はー、ジャンプ力に加えて腕も長いからー、リングの上までは自力で両手で持ってけてー、そこから落すだけーってゆーダンクが多いかなー。別にリングにつかまらなくてもいいーー」


ん?・・・あー、なんとなくわかったかも。


「つまり、下に落とすか自由落下のみのシュートがダンクってことでいい?」


「ミツキ、それでいいよ、しかしーボースハンドでダンクいけるんだ。まぁ私らにはほぼ関係ないけど。ももかと二人、チビコンビだし」


「そこ二名、自己卑下はするな。5~10cm差なら向き不向きと訓練次第で逆転可能だ」


マイティさん、怒ってはいないみたいだけど言い方がいちいちコワめです。

でも、リオンががんばって話しかけています。


「マイティさん、訓練、練習はわかるけど、向き不向きってどういうこと?」


「まず、自分を否定する言葉は自分の進化にフタをすることになるのでなるべく言うな。どうせ私は・・・みたいな言い方もだ。一瞬思うのは止めようもないが口には出すな。向き不向きは、例えば二人は身長こそ大差ないが、プレースタイルは違うのではないか?ももかはリング下、リオンは先程も話にあった3ポインターで光るタイプであるかと感じる。3ポインターであればユカとの6~7cmの身長差はさしたるハンデにはならぬ。冷静にフリーになりやすいポジションを見付けてレイアップでもフローティングでも確実に出せるようにすればよい。逆にももかはリバウンド合戦ではジャンプの高さだけでもユカに追い付ける可能性はあるし、競り合いでノリノリになったとき強さ、ボールを押し込む、または弾き出すセンスを磨くのもアリだろう。ミツキはまずはセンターでディフェンスと、フリースローの練習からか。」


そこまでわかるんだ。ももリオコンビと私は驚いて顔を見合わせています。リコさんはそうだったんだ、みたいな、ちょっとムスっとした顔をしてます。ユカさんは、


「まー、あたしの性能はわかられてるしーー。あー、あたし垂直飛びはあんまりでさー、走りながらじゃないとあまり飛べないー。

でさーー、マイティさん、あまり話さないけど話すと的確だろー、そーんな感じで性能や性格を見極めて、100%以上を出させる。ここ重要ねー。『出す』んじゃなくて『出させる』。ちょーーーーっと練習すればわかるよー」


「なるほど、ユカ、大変だったんだな、そしてクラスマッチごときであたしたち大変な目にあうんだな!」


「んー、リコはクラスマッチごとき、といいつつ態度がうれしそーすぎるねー。ももリオコンビとみっちゃんもがんばろーねー。ちゃーんとギリギリできる課題がでるからだいじょぶだよー」


ユカさんも、ももリオコンビって言ってますね。

要約すると、メッチャキツいけど大丈夫ってことですね。


「マイティさん、私、せっかく振ったんですが、ジョージくんまったくしゃべれませんでしたね」


「であるな。バスケそのものの勉強がこれからである故、仕方あるまい」「すみません、がんばります」


はい、マイティさん、ジョージくん、リコ、ユカ、ももリオコンビ、身長と体力が取り柄の司書希望のみっちゃんこと、私もがんばります。

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