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フライングガール!  作者: Jack...
5/14

高橋さんはバスケをしたい

あたしの名前は高橋莉子。


自己紹介通り、175cm 64kg。重いってゆーな。ちょっと鍛えたらそんくらいの筋肉つくっつーの。

偏差値的には背伸びして中央高にきた。がんばった。新歓の結果は聞くな。


平均より上程度からがんばれたりゆーは中三のときのバスケの県大会。無名の中学にとんでもないやつがいた。

マイティさんと呼ばれていたからきっと本名かあだながマイティなんだろうと噂話ベースでいろいろ聞いていたらとんでもない噂ばかり集まった。

・小五で公文の高三までやってもう教えられないと先生を泣かせた。

・中学で不良をシメてまわっている。実績を買われて?市の治安委員になった。

・ヤクザすらシメた。

・それでいてモデルをやっているらしい

関西人でもないのに「なんでやねん」と言いたくなるような噂ばかり。


私が直接見た彼女はバスケの試合、県大会の3回線、次はベスト8という普通の中学の部活としてはかなりのところ。


全てがズバ抜けてた。一人で何人もかわして余裕のダンクシュート。空白地帯を見つけて3ポイント。

かと思えば後ろから指示を出しての誰もいないところへのロングパスにチームメイトが走りこんでのドリブルからのシュート。全員で攻めこむと見せかけて、実は3ポインターをノーマークにさせるフォーメーション。何パターンもあって、ほとんどの場合、ポニテの3ポインターちゃんはシュートを決めてた。


序盤で単独では圧倒的な実力差があることを見せつけたので、彼女がいくぞ!?という姿勢を見せるだけで相手は硬直する。すくなくとも彼女に対応しようと人が集まる。そしたら仲間を使って攻めさせての間にいつのまにか上がってて仲間のシュートをリバウンドで押し込む。ま、余裕ダンクなんだからそっちも余裕よね。


守備のときは基本やる気ないとまでは言わないけどチームメイトまかせ。たまにインターセプトして反転からのーーーダーンック!!をするくらい。それもまたスゴいんだけどさ。

3ポインターちゃんも見た目170cmはありそうな背を活かして守備でも活躍していた。


最終的にはダブルスコア以上。相手チームのヨレヨレ具合に同情するレベル。次はアレと当たるんかと思ったら身震いした。そして嬉しかった。


嬉しくて震えるって歌詞だけじゃなく本当にあるんだと思った。チーム内で対策も考えた。ゆーても守備のときはやる気なさそうだから本気になるまえにしっかり点取ろう、とインターセプトされないように繋いでいこう、くらい。ぶっちゃけ一人だけ対策のしようがないレベル。

個人的にはファールで退場になっても止めてやる!という気合のみ?の対策も立てたけど。


その次の試合の日、()()()()()()()()


司令塔がいないチームと戦うのは簡単だ。突破力のある選手はおらず、颯爽果敢に押し込んで来たあの日のプレーは見られなかった。ポニテの3ポインターちゃんもいいパスは受けとれず、1本しか決められなかった。あの状況で1本入れただけでも立派、という感じ。


ゲームとしては楽勝だったけど心にぽっかり穴があく気分てこーゆーことなんだと知った。


なので試合終了後に相手チームに聞いたわけ。


「なんで来てないのよ!!」


誰が?と言わなくても通じた。


「彼女は正式な部員じゃないの……今日来てくれたらまさかの県大優勝もありえたから来てほしかったんだけど……」


「でも名簿には載せてるんでしょ。なんで来てくれなかったの?」


「もし」



「も、し、」



「・・・もしってなに!」


「だいがくのもぎしけん、某大模試」


「・・・中三じゃないの?」


「彼女は去年、中二から大学模試受けてるの」


「なにそれ!」


「あの子は小学校の内に高三プラス大学受験までのお勉強は終わってる。復習はしてるみたいで、模試は重要な復習なんだって」


「だからって県大来ないなんて!」


「あの子にとっては模試のほうが重要だって。あたしだって何度も何度も何度もしつこく、それこそ土下座までしてお願いしたの!!でも来ないの!!そういう子なの!!」


急に大声になって・・・あ、泣いてる・・・あたしも小声になっちゃう。


「じゃあ、なんで名簿に載せたのよ。日程がカブるのわかってたんじゃないの?」


「そう言ってくるってことはあのプレー見たんでしょ!!!あたしだって夢見たってよくないっ?!」


わかる。そりゃ見たいよねとしか言えない


「部員でもないのにすごい司令塔兼パワーフォワードができるなんてすごいよね・・・」


「あの子すごすぎるのよ!30分も練習してたら勝手にポイントガードってみんなが認めちゃう……センターの守備的なのはあんまりやってくれないけど。それ以外なんでもできちゃうの……」


「てことはあなたが正式な部長というかキャプテン?やる気なくならない?だいじょぶ?」


「今日試合したでしょ。だいじょばないよ。一試合持たせるのがやっと。もってないかもだけど……」


「なんかごめん。で、悪いけど彼女の志望校知ってる?」


「知らないけど中央高でしょ?ある意味超自分勝手なあの子に都合のいい高校らしいし」


「うぁーー中央かぁ・・・」つい声がでてしまった。今の話からだと納得といえば納得だけど。


「がんばってね、あの子高校でバスケやるとは思えないけど」


そうなの?


んーーーたしかにそうかも。でも「あたしタカハシリコっていうんだけど中央めざすからって彼女に伝えてくんない?」


「やよ!」


なんでやねん。「えー伝えるだけでいいのに」


「あの子の噂、知らないの?普段話かけるの怖いのよ」


             ・・・


長くなってごめん、そんな感じで、マイティの噂を集め、勝手にビビりつつも憧れてここに来たわけ。

それでみんなと同じく新歓にボコボコにされていたところ。


運よくクラスメートにはなれたけど話かけてない。やっぱ雰囲気がコワい。ジョージが早くもスポークスマンになってて、ジョージはにこやかだけど女子対女子で男子を通すのも微妙なかんじだし、直接話かけに行くのはやっぱちょっとこわい。高貴なお方、という雰囲気というかオーラ的なもの、見えないけど出してるし。


でも、早くもチャンスがやってきた。クラスの親睦を深める学校行事「クラスマッチ」。クラス対抗球技大会。1学年8クラスで1回戦は1年対2年。2回戦はその勝者対3年。勝てばベスト8。あとは普通のトーナメント。クラス選択はランダムなので例えば1回戦は1-A対2-Aで固定とかではなく、二年のどのクラスとあたるかはわからない。なお部活でやっている球技でもかまわないってさ。


そのクラスマッチの話し合いをするHRで、


「せんせー」


「はい、高橋さん」


「女バス出たい!あとポニテの3ポイントちゃんも出よ?あともちろんマイティさん」


「ジョージ、断わっておけ」「はい、マイティさん」


反応速いよ。ふたりとも。


「高橋さん?あたしは桜井という名前があるのでポニテとか3ポイントとかで呼ばないでね。そもそも今ポニテじゃないよ?」


「ごめんごめん桜井さん、中三のときの印象が強くて」


「あー?・・・あー、負けたときのキャプテンか。でもあの試合では一本しか入らなかったと思うけど」


「その前の試合よ!マイティさんの突破力バツグン攻撃プラス超絶攻略司令塔の試合!桜井さんもバンバン3ポイント入れてたじゃん」


「あれか」「あー、あれ見てたんだ」


「桜井さんも成績すごいのね!あたしは無理して背伸びして新歓でボコボコよ!」


「新歓でぼこぼこは一緒よ。マイティさんとは一応、三年のときは学年でずっと1番2番だったけど、順番じゃなく高さでいえば倍・半分とかそれより離れてたよw 。 一番だけひとり、公立中学なのに大学レベル以上だからね。」


「おーい、桜井、高橋、一応ホームルーム中だぞ。私的な会話はあとにしてクラスマッチの話に戻ってね」


「すみません!先生、でもマイティさんの新歓の結果って出てます?」


「あー、新歓は一番採点に時間のかかるテストだからなー。ウワサは聞いてる。史上初の400点代、しかも後半、圧倒的歴代トップは間違いない。でも今の時間はクラスマッチの話をしよう。桜井さんも女バスでいいの?」


「まぁ、バスケはそれなりにはやりましたので、いいですよ。敵キャプ・・・じゃない高橋さんも出るなら味方としては心強いかなって思いますし」


敵っていいかけたぞ。せんせーひどいです。


「なるほどー、マイティさんは?」


「教諭、我にだけあだ名呼びはどうかと思うが、問われている内容は理解した。あれを見ていたのなら一緒にやりたいというのは理解できなくないが、あれば我の中でも唯一といっていい、ある意味出来過ぎた、と言ってもいい内容で、再現可能かどうかはわからぬ。あと、親類でもある3年の鳥居原氏と野球に出る話をしてしまっているのだ」


野球はちがうよ。「マイティさん、野球はクラスマッチじゃなくてクラブマッチだよ!」


「そうなのか?」


「そこは先生が説明するね。野球はクラブマッチと両方、あることはあります。でもクラスマッチだとまともなチームが組めないんですよ。人数的には出せても不思議はないんですけど硬式野球なので経験者じゃないと危険です。クラスマッチだとどこかのクラスが野球希望を出したとしても不成立になります」


「で、あるか」


・・・でましたね。みんなもきっとそう思ってる。


「そうであれば教諭、バスケで出ることに異論はないが、男女5人づつに予備的人員を入れても最大でも男女合計15~20名程度。残りは」「サッカーじゃないですか?」


「ジョージ、説明を」「はい、サッカーは男女混合なのでそれなりに人気がありますし、広さがJリーグとかと一緒なので、11人だとクラスマッチの実力ですとスカスカです。なのでその場で人数を決めたり、交代も自由のゆるいルールなのです。よって1チーム20名以上いても問題ないです。」


「ジョージ、ではなぜバスケは男女混合でないのだ?高さは一緒ではなかったか?」「ボールの大きさが男女で違うからです」


「ならしかたあるまい」「はい、そうです」


勝手にまとめたねっ。


「はい、じゃあどれに出るか決めましょう。先生から補足すると卓球もあるよ。例年はシングルス x 3が多いけど、やりたい3人とサボりたい4人が7名チームとかを組んで、事実上不参加を決めこむのもアリだよ。まぁサッカーも少し走りさえすれば、あとはサボれるんだけど」


先生の薦めていいような内容じゃないじゃん。でも震えるほどのアレと一緒のチームが組めるのは遊びのクラスマッチでもうれしいっっ!!

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