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フライングガール!  作者: Jack...
46/55

強豪高の横溝くんから見た中央高

引き続き横溝だ。


そんなこんなで、約束の練習試合の日がやってきた。


あいつからはメッセで『女子がだいぶ大人数、ごめん』と来た。


まあ、第二球場などと言ってはいるものの、畑の中の野球場にすぎないし、両翼は90m、センター120mと大きさだけはしっかりしているものの、フェンスも低いしバックスクリーンもない。

ここでギリのホームラン打っても、まともな球場じゃフェン直に過ぎないだろう。

スコアボードもファールグラウンドに置いてある黒板にチョークで書くやつだ。


バックネット裏は一応観客席らしきものがあるが、段々になってないので見やすくない。

ちなみに、放送設備といってもマイクとスピーカーで運動会のようにテントを立てて、その中で放送するだけだ。


ベンチは一応あって、コンクリ作りだ。その上に登るのはハシゴでよければできる。一塁側、三塁側の内野観客席と言えば言えなくもないが、ファールボールには本当に注意してほしい剥き出しの席だ。


一応バッティング練習用のネットは持ってきてある。どうしても登りたい、と言われたらそれを貸そうと思っていた。

気休めだが、無いよりはマシだ。


女子が大人数なのは嬉しいが、安全面では不安だな。


そう思って、サポートメンバー招集という意味でBの連中に声を掛けた。


そしたらBどころかAからも審判やるぞ!とか女子の案内なら任せろ、などと、どうでもいい声が掛かる。

なんと、今日はAが休養日だったのだ。


まあ、女子マネはいるものの、比率的には1:10くらいかそれ以下か? そこに外部の見たことない女子が大量に来るとなれば浮かれるのもわからなくはない。


監督も自宅でお休みの日だったので電話を掛けて許可を取り、まだ安全な第一球場に急遽変更することになった。

ああ、監督、今のABにあまり興味ないんだな・・・とちょっとしょんぼりするABのオレらだった。


練習試合にも関わらず、審判4人制と贅沢な試合になりそうだ。


           ・・・


「おい、第一でやれんのか? 何があった?」


おまえが女子多いとかメッセ送ってきたせいだよ。


「Aチームは?」


完全休養日。


「そんなことあるのか?」


最近はな。時代だよ時代。


「まあ、そうかもな。でもありがたい」


何がだ?


「あの野っぱらで女子に至近距離で野球を見せるのは危ないと思ってな」


ああ、それはオレらも同感だ。第一なら一応球場っぽいフェンスやイス・・・というか段差に過ぎないが・・・もあるからな。


「まあ、スコアボードは黒板でいいだろ」


それはそうだな。電気代もかかるから、動かさねーと思うよ。


「アナウンス女子は連れてきちゃったけど、放送はできるのか?」


ナイター照明ほどの電気は食わないからOKだよ

アナウンスブースは使うけど、外置きのアンプ付きスピーカーだしな。


「ああ、あれか。まあ、こっちも精々数十人だからそれで聞こえるな。ベンチはどうする?」


どちらでも。アナウンスブースが一塁側だから、そっちが一塁でいいぞ。


「すまん。ありがとう。先攻決めは?」


じゃんけんで。二試合目は逆で。


「OK、もうすぐ着く」


           ・・・


おいおい、観光バスが二台来やがった。あとイカツイミニバンも一台。


おい、マモル!!大勢って本当に大勢だな!!


「まあな。こちらの長身女子がマイティさん。本日出場予定の女子選手だ」


なんか、不満そうな顔をしているように見えるが・・・どうした?


「彼女は凄いんだが、あまり目立ちたくないそうだ」


はあ!?、オレらより頭ヒトツデカいスレンダー美人が目立たないってどうやればできるんだ?!脚だって冗談みたいな位置・・・脚が本当に長いな・・・(胸も)


「胸も、って言おうとしたろ?まあ、男はみんなそうだから、って感じで慣れてるから、気にしないでくれるから大丈夫だ」


しかしなぜ不機嫌なんだ?


「こやつが二試合と事前に伝えてないからだ!!」


「マイティさん、今日一日、午後から、とは言ったけど一試合とは言ってないよ?」


ああ、そういうことか、練習試合では午後で二試合は珍しくないけど、女子でこういうのに帯同してないならわからんか。


「にひひー~、モルにやられたねー~」

「あ、放送を担当します松本と申します。初めまして」


うわー、また美人だよ。だら~っとした話しかただけど正統派・・・金髪だが・・・美少女と、きりっとした美少女さんたちだ。ってデカくねぇか?170はあんじゃね?


マモル、中央高は長身美人の集合するところなのか?


「いや、この周辺だけだ。でも平均的に美人度が高い女子が多いのは事実だと思う。あとな、スピシスの皆さんも高校野球ってのは基本巻き進行なんだ。みんなハリアップって言うんだよ。あ、こいつはセイヤ。ウチに(はい)れたら一年からエースだが、入試的に無理。まあほとんどの野球小僧は無理だから当然だが」


おいっ!、まあそうだろうけどな。よし、さっさと始めるぞ!


           ・・・


マモルの高校のチームは、案外手応えがあった。正直、ナメてかかったらヤラれるだろう。

もっとも、こっちのチームが一年二年なのに対して向こうは三年もいる、というか三年主体のチームだ。

高校生くらいまでは、まだ、一年差というのはそれなりにデカい。


あと、最初はあちらが後攻だったせいか、マモル曰く二番手の三年ピッチャーだそうだが、これがサイドスローのサウスポーという変則ピッチャー。


まあ、打ちづらい。球速はそれほどでもないが、真っ直ぐが既に変化球ってタイプだ。

そして、初見では見分けのつかないまっすぐと落ちる球の投げわけができてる。


サイドだから右打者は出所が見やすいかと思うとそうでもなく、インサイドに来るのかアウトサイドに来るのか見づらい。オレもひっかけてしまった。

あ、オレは右投げ右打ちね。


あのやろー、あの長身美女にもカマしたらしいが、オレにもカマシやがって・・・


「おい、どうした」


あ、先輩、アイツ、いまキャッチャーやってるやつ、U15のチームメイトだったんですが、頭いいんですよ。


「そりゃ、野球小僧で中央高なんか奇跡だろ?」


いや、そういう意味じゃなくて、勝ちグセを付けにきたかもしんねーっす。


「ああ、ABとはいえ、公立がウチに勝ったら自信になるか」


で、あの左の変則、うちなら3巡目ならそこそこ慣れると思いますが・・・


「おう?・・・、それで7回戦の提案をしたってことか?そりゃ読みすぎじゃねーか」


あいつは勝つと決めたら何やってでも勝つやつです。


「でもお前を打ててねーじゃん。確かに鋭い打球がないわけじゃないけど、あのキャッチャーさえ抑えれば、あとは散発安打にできんじゃね?」


あと、みんな女子に浮かれすぎですよ・・・


「だってさー、中央高ってすげー頭いいとこってのは知ってたけど、こんなに美少女だらけなんて思わねーだろ?うちの女子も悪くはないけど、服装も渋谷とか? っぽいし、同じ県なのに都会の女子って感じじゃん」


アナウンスの子も綺麗だったし声も綺麗っすね。

それはいいとして、バッター、吉田くん、とかいわれたあと、向こうの女子に「きゃーよしだくーん」とか言われて手を振ってたら、打てるもんも打てねーっす


「うっ。それはその通り、悪かった」


あいつはそういうところまで使ってくるんですよ。マジで。


「そりゃ・・・策士だな・・・」


それだけじゃないっす。キャッチャーとしてもバッターとしても凄いんですよ。


「そうなの?」


準決のアメリカ戦で二点タイムリーツーベースを二本打って、エースを引っ張り出して、エースからツーラン打ってます。

強打のアメリカを強気のリードで抑え込んだのもあいつです。

まあ、ピッチが枯渇して、結局一点差で負けましたが。


「マジの強打者キャッチャーじゃん」


一応日本は2チームで出たんで、別だったんですけど、オレらの決勝の前の三決では台湾のエースからスリーラン打って撃沈させました。


「すげーやつなのね」


決勝のアメリカはあいつにやられてヘロヘロでしたよ。それで優勝できたようなもんっす。ヘロヘロでも層は厚いし強敵でしたけどね。


「マジかあ・・・語彙がなくてごめんな」


アホなオレらの語彙ならそんなんでしょ。なんでアイツの前に一人出したらもう安全圏じゃないっす。


「5回表で1-0だからな」


その後、先攻後攻とも得点無しで迎えた6回表、オレたちはなんとかエラーがらみで、ワンナウト三塁のチャンスを作った。


『守備の交代をお知らせします。レフト、網屋くんに代わってマイティさん』


「すげえ名前だな。まあ、外人っぽい見た目の女子だしハーフかな?デカいし足なげーし」


マモルが『すげぇ』って言うんだから名前だけじゃなく本当に凄いんだろう。しかし、ここでレフト? ああ、次4人目だから誰か出たら回るってことか? そこまで信頼してんのか?


しかし、先発先輩はもうヘロヘロになってるぜ、チャンス!!先輩よろしくっす!!


「お!!、よっしゃん打った!  よっしゃ!!、フライだけど外野深い!」


定位置より奥だな、『代わったところに良く飛ぶ』ってのは、根拠が無いはずなんだけど、なぜか当たるんだよな。あの深さで女子では一点はいただきだ!。


よしっ!タッチアップもバッチリ!!

・・・

えっ!!

・・・

タッチアウト?!なんで!マモルがボールを持ってんだよ!!

いつの間にあの女子バックホームしたんだ?!


先輩、見えました?


「見えなかったけど聞こえた・・・」


マジですか?


「マジ。送球が飛んでった音はした・・・と、思う」


つーことはバッティングもマジモンだと思ったほうがいいっすね。


「だろうね。見えなかったからわからんけど、仮想イチローさんとかかな・・・」


これでマモルをシングルで切り抜けたとしても安心できなくなったわけだ・・・


ま、行ってきますわ。


「おれもライト行くわ・・・すまんが、あんな送球はできん・・・」


そうっすね。お互いベストを尽しましょう。


           ・・・


一人目、マモル曰く閣下先輩。細身だけど鋭い打球を打つ。

オレも6回だしそれなりには疲れている。

ああ、こういうときキャッチャーがマモルなら頼りになるのになーってなる。


左打者にアウトローは定番だけどオレにはシュートが無いから逃げてく球が無い。

この人、 ショートの頭を越えてくくらいなら打てそうだ。もう、サイン無視だ。

つーか、内外くらいが関の山だよ。もう。

真ん中にスライダーだ。おっと、見送るか。

じゃ、外から入るスライダー。入るかどうかは球に聞け。ファールか。でも2Sと追い込んだ。

ここでアウトローに外れる真っ直ぐだ!

うげっ、打たれた?外れなかったか?

あー、いいいいいーっす。、続けますんで、座ってください。


次は部長先輩か。エースで四番タイプってことか。しかしまあ左打者ばっかだな・・・バントか・・・6回裏ノーアウトなら1-0でもありっちゃありだ。

後攻だしまずは追い付けってやつね。閣下先輩は細身だし、足も期待できるんだろう。

まずはワンナウトもらおう。高目の届くところに少しだけ外れろ!案外バントしにくいぞ!

ってバスターかよっ!!くっそー、綺麗に抜かれた・・・レフトが浅いから一塁二塁だけど・・・


だから来なくていいっす!すぐ投げます!


お、先発先輩か・・・まあ、お疲れの様子だし、ノーアウトなら100%バントだろう・・・代打出ないってことは7回も行くってことだろ?

まあいいや、サインがどこでも真ん中三つだな。

もう適当に球が散るだろ?ほら、ど真ん中にはいかない・・・

高めをバスターってのはちょっと抜けてた・・・これもキャッチャーがマモルなら警戒してくれてたんだろうな・・・

って、三振かよ。立ってるだけかい。7回も投げるのね・・・お疲れ様


で、来たよ。マイティさんとやら。デカいな。んでもって胴が短く膝の位置が高いなこりゃ。しかもまた左打者かよ・・・

普段なら空振り狙いの高めの真っ直ぐがホームランボールってやつじゃん。

おっとランナーケア。なんつってもセカンドランナーがマモルだ。握りも見られていると思ったほうがいい。

もう低めでいいか。彼女にとってはボールのはずだけど、クセでストライクって言うほうに賭けよう。

行かれた!!一本足打法かよ。アウトローをライトにぶっとばしやがった!!

切れなきゃ入っちまうなーーーーー・・・切れたか。ふう。

なんだ、マモルがなんか言ってるぞ「やめてくれー」・・・何をだ・・・


ん?インハイ?いや、そう狙えないって。あの美少女に顔の近くは投げたくないよ・・・それを「やめてくれー」ってことか?キャッチの構えは見えるしな。

まあ、あの長い手足ならアウトローどころかだいたいの所は届くか。確かにインハイくらいしか投げるとこないもんな、真ん中よりインハイって感じにすれば外れてもインハイのストライクゾーンから少し出るくらいか。行けっ!!


げっ!!真後ろにビュンって飛んでったからセンターだね・・・


振りかえるまでもないってやつじゃん。あーあ、主審、もう腕回してるよ。


まあ、ワンナウトランナー無しだ。切り替えて気楽に投げよう。


           ・・・


正直、記憶がないけど、追加1ヒットだけでスリーアウトが取れたみたい。


・・・1-3になっちまったけどな。

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