二人を引っぱる原田さんと松本さん
いや、ね、リオンにおんぶにダッコってのは自覚してたけど、ココに入れたワタシ凄い、とはちょっと思ってた。
でもアタシもリコと変わらないレベル。授業に付いていくのが精一杯というか、リオンの事実上の補講でなんとか食いついている。
ねえ、リオン、本当にありがたいけど、AとかSに行ってもいいよ?
「Sは無理。言語が理解できない。Aも厳しい」
???どういうこと???
「あのね、マイティさんもユカも数学で英語とラテン語つかってるの」
ラテン語は・・・知らない言葉じゃないけど・・・事実上死語じゃないの?
「そこじゃない。数学なのに英語で話しているの、一部はラテン語で」
あーー、数学の授業は普通日本語だよね!
「・・・あいかわらずの反応ね・・・英語の授業の英語はなんとか付いて行けても、数学そのものを英語で話されるとわからないし。マイティさんは文脈によってはラテン語」
話せるんだねーー
「まあ、バチカンとか使っている国もあるし。教科書はあるんでしょう」
ユカもラテン語話せるの?
「少し。ユカはラテン語がわからなくても数学用語がわかるから大体で推測して英語で返すってさ」
知らなくても推測できるって凄いねーー
「まあ、マイティさんはともかく、ユカは普通の高校生かと思ってたんだけど、あれも人外に片足踏み出してるね・・・」
勉強できるし、体力テストでも抜群だったねーー。
スタイルもいいし美人だし?
マイティさんバリの策略も行けるしね。
あの話し方だけは眠気をさーそーう~けど・・・
「微妙に似てるね・・・でも中学で三年間同クラって言ってたから影響されたなのかなぁ?でも影響されただけで勉強できるようにはならないよね」
なるならアタシも少なくともリオンくらいには勉強できてるよねーー
「あのさ、桃花。せっかく一緒の高校に来たんだから、一緒に卒業しよ?もうちょっと勉強がんばんないと本当にマズいよ?」
はい・・・塾は行ってます。まあ、わからなかったとこリオンに聞いてるけど。
「うん。一時期みたいにほぼ全部聞いてくるんじゃなくなってるのはわかってるけど、わかったフリはダメよ。それなら聞かれたほうが面倒じゃないよ?」
そうですね。フリは・・・ちょっとあったけどヤメます
「あと、宿題だけど、塾は個別指導だっけ?答えを聞くんじゃなくて、解き方を教えてもらうのはアリだから、上手く使って。量はわたしも多いと思うけど、半分以上、中学の復習。出来て当然の問題なの」
へー、そうなんだーー
「そーゆーとこ!!そこは直そうね?自分のことなんだよ!?」
ごめんごめん。でも、個別指導で解き方を教えてもらっていいの?
「いい。中学の数学や英語でわからないままにしたところの確認なんだよ?ある意味ココの先生が親切なの。個別なら気にせず教えてもらえばいいよ。答を聞くだけなのはダメだし、塾の先生がマトモなら、やり方しか教えないと思うよ?」
よし、がんばるよ。部活も中学より短いくらいだしね。マイティさんみたいにスポーツチャリのチャリ通でもする?
「・・・あれは金持ちの遊びよ・・・メット必須だから髪も崩れるし、余分なウェアも持ち歩くことになるし、汗をかけばメイクもやり直し・・・通学時に着替えるために学校の隣にアパート借りるなんておかしいよ・・・」
あははは・・・そうだよねぇ。ジョージ君のと二台でいくらかかったのかな?10万円とかかな?
「桃花のお父さんは自転車乗る?」
え?ママの電動ママチャリで近所に行くことはあるけど、車が多いかな?
「このへんだとそうだよね。うちのお父さんは趣味でああいうの乗ってて、しきりに安物、安物っていってるけど30万円以上するの。高級品は数百万なんだって」
えっっ・・・車買えるじゃん。
「そう、ウチはママがパパのこと好きだし、ずっと一台に乗ってて、交換しなきゃならないパーツ代なんかはかかるけど自分で交換できるから安く済むみたいだし、お金払ってジムとかに行くよりこっちのほうが好きで実際に走って、まだちゃんとスリムなままだからママも認めているけど、喧嘩になる夫婦もいるみたい」
それってリオンもパパ好きじゃん。
「まあ、顔は歳相応だけど、ママが惚れたっていうのは理解できるし、スラっとしているのは事実だし、私も一人っ子で甘やかされて育ってるしそうなるよ?」
まあ、ジョージ君の分は格差を付けていたとしても・・・30万ちょいとその倍くらいだと二台で・・・100万かーーおかねもちーー
「うん。だからアパートの中に入れてそこから徒歩で通学してくるのはわかる」
まあ、高級品ならそっちのほうが安心だ。でも家賃とか・・・
「気にしちゃだめ。あの二人・・・もう二人でいいよね?マイティさんは噂よりは普通に話もできるし、怖い人でもなんでもなかったけど、経済的には常識外でいいと思うよ」
モデル歴5年だっけ?まあ、美人だし。ちょー足長いし・・・I字バランスだっけ?ちょっと見せてくれたとき、リングに届くかと思ったよね。
「あれね・・・さすがにリングは3M越えてるから届かないと思うけど・・・口あんぐりってあーゆーことなんだ、とは思ったよ。で、中間テスト!」
はい!!
「週一の第二の時の小テスト、あれ、弱点把握だから、ちゃんとやろう!!で、個別指導で復習!! 多分だけど、中央高に行ってる、と言えば対応してくれるよ!」
わかりました!リオン!!
・・・
みたいな話がももかんとリオンちゃんの間であったって。半分マイティさんの回想な気もするけど。まあ、ほぼ同意かな。
あの自転車・・・校門通り過ぎていくけどそんなことになってたんだ。
あ、いろいろあったけど、女バス一年、スピードシスターズ改の中で勉強できないズ二名になってしまったももかんとアタシ・・・。
リオンちゃんは理学部第二初回参加のあと「二人は絶対お弁当にしてね!できれば新歓のときみたいに二回に分けて食べるやつね!」と宣言した。
意味があるんだろうと思ってママにお願いしてそうしてる。
数学Cがお昼前のとき、みんなが学食や購買にわらわらと向かう中、
私達、ももかんとアタシは机をくっつけて、リオンちゃんは机を逆向きにして
教科書、ノート、小さなお弁当を取り出す。
初回、「数学Cがお昼前なの、絶対このためだから」と宣言したリオンちゃんが臨時の先生だ。
まずは授業で取ったノートのチェック。
ちゃんと取れてないと、リオンちゃんが判断したところは
「リコちゃんも桃花も一人で考えてわからなかったら二人で相談していいからね」
って感じ。それでもわからなければヒントをくれる。
その間にリオンちゃんは上品にお弁当その一を食べている。
あ、リオンちゃんというは、バスケのときは呼び捨てだけど、それ以外の時、特に教えてもらってるときに呼び捨てというのもなー、と思ったせい。
リオン様とかリオンさんとか言われるのは気持ちが悪いし、バスケ的にはリスペクトもあるから、呼び捨てでもいいよ?と言われたアタシとリオンちゃんの妥協点?みたいなもの。
バスケの時はお互い呼び捨てで、それ以外はちゃん付けになったわけ。
高一女子としては普通だと思う。
そのうち、他クラス(基本、数学CはAB, CD, EF, GH のように二クラス合同)からも人が来て、リオンちゃんとしてはアタシとももかんに教えてるだけなんだけど、一緒に復習するおこぼれ頂戴組?でCにしがみつく軍団が形成されてきたんだけど、リオンちゃんとしてはアタシたちにしか教えない形。
まあ、直前の授業なんだから、ちょっとのヒントをもらってノートを取り切れてなかったところを直すくらいはできるよね。って感じ。
御布施?として焼きそばパンとかを置いていこうとする他クラスの男子なんかもいたけど、リオンちゃんは断わってた。
「勝手に聞くくらいはいいよ。それにこんな炭水化物ばかり取れないし!」
そう、リオンちゃんは栄養にもウルサい。
ももかんとアタシは最初おにぎり一個とかだったけど、「それじゃダメよ!特に桃花はずっと言ってるのに!」と、タンパク質、肉・魚・卵や、野菜の副菜をしっかり取るように言われ、二つの小さなお弁当箱にバランスのよい食事を入れてくるようにきっちり指導されているww
「これ、ママにどうぞ」と手書きのレシピのコピーも渡された。
しかも5種類あった。ご丁寧に、ここは冷食でオッケーみたいなメモもある。
まあ、曜日毎に同じお弁当でも飽きはしないよ、アタシも。
まったくレシピ通りってわけでもないし。
「第一がバスケなんだから、食事も練習のうちよ?」って。
イシキタカイですね・・・
そんな感じで中間テスト前のHGISになったらミツキが講師として現れたのよ。
・・・
「はい、ではここに集められた人は先輩達の叡智から割り出された問題にヤマを張ることに全力を集中してもらいます」
やり方はシンプル。数解いて慣れろ。だけ。
因数分解、二次方程式、図形と三角比、このへんまでは中学の延長という感じだからなんとかなる。
場合の数と確率、集合と論理なんかがキツい。
『1から8までの数字が書かれた8枚のカードがある。この中から同時に3枚取り出すとき、取り出したカードに書かれた数の和が12になる確率を求めよ。』
えーと、1+2だと9がいるから無い。すると1+3+8が一つ目・・・えーとこれ何回やればいいの・・・
「リーコーー、ももかーん、こーゆーのは上からやるんだよー。8を決めてしまえば 1+3しかなーい。7ならー、1+4か2+3だよねー
まー、下からやってもいいんだけど、あたしの感覚ではー、上からー?」
なるほど・・・
1,3,8
1,4,7
2,3,7
1,5,6
2,4,6
3,4,5
6通りか・・・これが分子で、分母か・・・何通りだ?
「桃花、全部書き出す力技は効率悪いよ・」「てへ?」
テヘじゃない。でもアタシもそれやるところだった。
「あー、分母は順番関係ないからコンビネーションだねー。関係あるときはパーミュテーションだけどさーー」
・・・ミツキ先生、解説おなしゃす・・・
「はい、組み合わせの数の求めかたはシンプルで、一枚目は八枚から取ってるので、8通り、次は7通り、三枚目は6通り。あ、まだ掛け算しなくていいですよ」
はい。ノートに書いておきます。
「で、組み合わせなんだけど1,2,3の3枚の札の並べ方って何通りある?」
書いていい?
「いいですよ」
123
132
213
231
312
321
6通りです。抜けは無いと思います。
「オッケーです。そしたら、8×7×6を6で割ります」
答は56ですね。流石に九九は大丈夫です。
「はい、それが8枚から3枚の札を取った時に組み合わせの数になります」
そうすると、確率は6/56ですか?
「通分しないと減点されるよ?」
両方偶数だから分子は3・・・素数だからもういい。分母はえーと、28?もう通分できないかな?
「はい、それでいいです。そのとき、28を2×2×7と表現するのが素因数分解ですね。これをしておくと通分できるかどうかすぐわかります」
なるほど。素因数分解はそういうのにも使えるんだ。
「この場合の数を求めるのが、ユカさんの言ってたコンビネーションとパーミュテーションです。覚え方は簡単で、何枚、この場合は8枚なので、その数を1から並べます」
1 2 3 4 5 6 7 8 ・・・これでいいですか?
「はい。で、分子が上から三つを掛け算、分母が下から三つを掛け算、それを通分すれば必ず整数になります」
ああ、おなじ式です。これ、8枚から4枚取るとか5枚以上取るでも整数になるの?
「なるから計算してみてください」
8×7×6×5 / 1×2×3×4 ・・・2と4で8を消して6と3を通分して・・・
7×2×5・・・7×10・・・70。ホントだ。
「これで、引いた順番に意味があるとき、例えば3枚の札で3ケタの数字を作る、みたいなときはパーミュテーションといって、上3つの掛け算のみになります」
「リーコーー、できたかーー?これの数字のところを少し変えられてもだいじょーぶなようになればオーケーーだよーー」
こんな感じで、集合や論理の講義も進んでいった・・・なんとかなる気がしてきた。これが先輩の言ってた「点を取らせる方式」だね
「ふっふー。この方式を編み出した先輩方は偉大だねーー。こうすれば分散が増えて赤点基準が下がーるー~」
???リオンちゃん・・・わかる?
「一応。リコちゃん、赤点って偏差値30未満の点数ってことだからね。SやAは100点とか80点以上をぽんぽん出してくるけどCは30点から50点くらいの人が多いはず。ユカ、計算してると思うけど、どんな感じになるの?」
「ふっっふーー。Sひとりー、Aふたりー、Bよにーーん、Cはちにーーんの15人の得点が、 (100, 90, 80, 70, 65, 60, 55, 50, 48, 45, 42, 40, 38, 35, 32) だとすると、平均点は56.7点のーー、標準偏差は20点をわずかに越えてるーー」
「うわー。それで偏差値30というと、16点以下か・・・それは赤点でいいよね」
ちなみにDの人が一人白紙で出すとどうなるの?
「ありうるね。ユカ、計算できる?」
「してある~。結論だけ言うと5点以下があっかて~ん」
「それはないわ・・・しかしなんでそんな赤点殺し?の対策が通用するの?」
私も気になった。ありがたいけど。
「偏差値とゆーかー、σが意味を持つのはー、母集団が正規分布に従うと仮定してるからーー。σは標準偏差ねーー」
「あー、そういうことか」
なに一人でわかってんの、リオンちゃん、説明してよ。
「全国模試とかって、ざっくり正規分布なのよ。平均点のあたりが多くてそこから急激に減っていって、両側、点数のいい側も悪い側も平均から離れるほど減り方が減ってくの。気が向いたら『正規分布、グラフ』とかで検索して」
はい
「先輩方の蓄積によるこのテス勉、HGIS は分布を歪めるの。あと、S,Aの存在もか。そうなると赤点レベルが偏差値30という正規分布に従う基準が意味を無さなくなる・・・でいいよね、ユカ」
「そのとーりー~。ヤマが当たればー~。大ラッキー、当たらなくても~分散増えるーー」
マイティさんだけじゃない。ユカも説明が足りないな。てゆーかほぼ歌ってるし。
ま、アタシに分かる頭が無いだけか・・・まだね。
リオンちゃんが最後のほうで16点以下、と言ってるのは6点以下の間違いですが、二人には理解できないのと、ユカ的には単なる計算ミスは無視しても問題ないのでスルーしてます。




