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フライングガール!  作者: Jack...
30/55

臨時講師の松本さん。

はい、実際には最初からスリーポイントのルールは知っていた松本美月です。


まあ、ユカあたりにはバレてたと思うけど、ちゃんとコケて、きっちり説明してくれたのには感謝してます。


それから、図書委員になりました。

自分から手を挙げれば確実になれるだろうとは思っていましたが、意外とそうでもなく、クラスではスムースでしたが学年では人数調整が入りました。

1-Bからは二人だったので問題なかったですが、他のクラスでは4人とか6人みたいなクラスもあり、定員の16人をオーバーしていたのです。


え?図書委員って人気あったっけ?どちらかというと無いほうじゃ?


・・・と、思いましたが、中央高あるあるで、定期試験前の図書館の混雑というのがあるそうです。


その期間、図書委員は書架の整理整頓などで忙しくなります。ちゃんとみんな元の場所に戻すとは限りませんから。


そして、図書館が人数的にオーバーフローします。

当たり前ですが、図書館に全校生徒が入りきれるわけはありません。詰めても100~120人くらいが精一杯です。

一学年の半分以下、約1/3で満員御礼です。


でもそのときでも図書委員は優先的に入れるというメリットがあり、本好きを自覚する人達に人気があるとのことでした。


一般生徒が入れない図書準備室がありますし、今、まさにその図書準備室で司書的作業をしていますが、その横で先輩が中間試験対策のお勉強をしていますww。


第二は誘われた女バスにしましたが、第一は文学部司書班にしました。

司書の部活があるなんてびっくりです。まあ、ほとんど図書委員会と同じメンバーなんですが、そうでない人もいます。

部活の内容ですが、図書館における司書的活動は図書委員会で実施するので、除外。

レファレンスサービスの練習や、ビブリオバトルの企画や実施なんかがメインです。

委員会以外で参加してくる人はビブリオバトル目当てか、司書講習の事前試験勉強というストイック派が多いようです。


さて、クラスマッチ、クラブマッチという名称のややこしい一学期の二大イベントが終わると中間試験です。


文理共同点数向上ハイブリッドグループ、略してHGISです。HGはともかくISは何って?


Hybrid Group of Improving Scores だそうです。文理共同が消えていますが、目的だけはわかるのでいいみたいです。


そのHGISの幹部は、理学部と文学部の部長、副部長からなるのですが、そのうちの約一名がマイティさんです。


いまさら驚いたところで・・・という感じです。その幹部会に呼ばれました。


マイティさん、いつの間に部長になったんですか?


「ミツキ、ああ、ミツキは文学部か。司書志望ならそちらか。

理学部は部員内での新歓の成績ので一位二位が部長、副部長になる慣例があり、慣例に従って選出された次第だ」


鳥居原先輩、内心忸怩(じくじ)たるものがあったりします?


「君は聞きにくいことを聞くね。マイティとは高校だけでなく、友人として長くつきあって欲しいと思うよ。

まあ、それこそ彼女が幼稚園の頃からの付き合いだ。

僕が中学のころには背丈でも抜かれていたし、学力も抜かれていることは明白だったのでショックはなかった。

やっぱりな。くらいだったよ」


でも全教科99点はやりすぎかと・・・


「そう思うよなwww。500点満点より難しいと思うよwww。なあ、源田!」


「オレに振るなよ・・・理恵にも負けて320がやっとなオレにな」


源田さんは文学部の部長です。


「松本さん、私は司書班じゃないので二度目くらい?河野です。幸四郎、負けてったって6点差なんだから誤差よ」


はい、正確には三回目だと思います。面と向かってお話するのは始めてです。


「そうね。理学部には負けるけどウチもそれなりの人数だもんね。ましてや図書委員会か」


そう、図書委員会は生徒会配下の委員会、司書班は部活ですが、密接な関係があるため、文学部の部室群ではなく、図書準備室での活動がメインです。

なので司書班以外の文学部員とはあまり会わないんです。


「そう、クラブマッチは出たの?」


女バスのスピードシスターズ改として優勝戦の4Qだけ出ました。


「またブチかましたの?www」


いえ、あれは男子相手ですよ?女子にはやりませんよ


「げ、お前あの仲間なのか・・・コージに集中攻撃しやがって・・・あいつ泣いてたよ・・・」


あー、あれはマイティさんの策略をユカさんが丁寧に落し込んで、調子に乗ったリコさんを焚き付けた結果ですから・・・そちらの席に総帥がおりますので抗議はそちらにお願いします


「む?」


「しねーって!!睨むな!!」


「特に睨んだつもりはない!」


「そっちにつもりがなくてもこっちは怖いんだよ!!」


「おーい、話飛びすぎだぞー。松本さんへの依頼をさっさと話そうよ」


「そうね、松本さん、私から話すね。いい?幸四郎、理学部さん?」

「理恵、頼んだ」

「かまわぬ」「任せたよ」


「じゃ、私から。松本さん、HGIS(エイチジス)で一年C数学の講師をしてもらえないかな?できればユカさんだっけ?バスケだとめっちゃ速いのにしゃべるのがゆっくりな彼女と」


えっっっ・・・講師ですか?私に勤まるかな・・・まあ、ユカは頭いいし・・・ただ、話し方がなーー


「そうなのよ・・・一年の中でどの教科でも講師側に回れる人材だと思うんだけど、彼女だけだと寝ちゃうんじゃないかと、それが心配で」


彼女はマイティさんを常識的にしたような存在だ。

女子としてはデカいが、スポーツプレーヤーとしては常識的な高さ。

学力もすごいが高一として常識的なレベル。

まあ、新歓学年二位。三位と50点差は常識的の上位クラスかもだけど。

体力もスポーツテスト学年二位だ。一位は言わなくてもわかるよね?


あー・・・わかります。桜井さん、ユカの話をだらだらと聞いてると力が抜けるというか・・・しかも実施が夕方ですからねー。


「そーなのよーーー。喋りが常識的なあなたに講師をお願いして、講師としてのあなたの底上げと質疑応答のところだけを桜井さん?にお願いできればと思っているの」


「まあ、俺には彼女の気持ちがわからんでもない。この()と三年同クラだったんだろ?気の毒だ。俺は15年だがな」


「乳幼児のころは特に問題のない子供だったろう!」


「まあな。それでも7年くらいかな。一番少なく見積っても5年だ」


「5年なら同意せんこともない」


同意するんだ。


「閣下、爺さんあたりに男のクセに年下の女に負けてどうこうとかそういう話か?」


「その通り」


「それは辛いわね・・・でも新歓は二年どころか三年も閣下含めて全員彼女、そこのマイティさんに負けちゃってるから、もう言われないんじゃない?」


「じじいは同じ話を繰り返すのが好きなんだよ。自分も初めて竹刀を持った彼女に振り回されていたことすらあるのに、そういうのは都合良く忘れる」


「大父上はそれなりの歳で立場があるので、小学生なりに面子が立つよう斟酌(しんしゃく)したぞ!」


「ほら、これだ。少なくとも若いころには五段の実力があった男相手にね」


「あー、松本さん、図書委員なら『しんしゃく』って教えてもらえるかな?」


「幸四郎、それは中央高三年としては少々国語力やばいわよ?」


源田部長、斟酌とは、相手の事情や気持ちを考慮して、自分の言動を調整することです。ざっくりですけど。でも文学部部長としては知っていてほしい単語です。


「すまない。ラノベにはあまり出てこない単語なんで」


まあ、ラノベではあまり出ないと思います。

ユカは、そういう形ならなんとかやってくれると思います。


マイティさん、ユカは理学部で何やってるんですか?


「まずはディオファントス方程式から、と言っておったな」


はい?「は?」「へ?」「はあ・・・常識枠を越えてくるか」


「説明は60分でも終わらないので、ベズー方程式、これはユークリッドの互除法だな。あとピタゴラスの三平方、さすがに知ってるな。フェルマーの小定理、最終定理もディオファントス方程式だ。数論の入口問題だな。解けないんだが」


解けなくていいの?


「アレクサンドリアのディオファントスは3世紀の人物だ。細かい経歴は不明だが、ざっくりで西暦250年頃に著作を書いたとしても1800年近く前の人物だ。

有名なフェルマーの逸話、証明を見付けたけど、この余白には書き切れない?だったか?あれがディオファントスの『算術』という著作の余白のことだ」


その逸話は読んだことあります。そんな前なんですね。日本だと卑弥呼のころってことですか。


「そうだな、ヨーロッパの数学者、後にはアメリカの数学者がよってたかって4~500年ほど掛けて分かったのが、『全ての方程式について整数範囲での一般解法は存在しない』ということだ。しかし、研究の過程で重要な成果が大量に出ている。まあ、数論の基礎だな」


じゃあ、y = ax + b とか、ax + by = c の連立方程式とか ax ()+ bx + c =0

みたいな中学で習った方程式もディオファントスさんのですか。


「そうだな」


・・・ユカさんも常識枠からはみ出そうとしているんでしょうか・・・

まあ、そこはなんとかしますけど、えーと、河野先輩、講義の準備というか、テキスト的なものを作る時間が足りないと思います。


「大丈夫。先輩方から受け継いでいる偉大なライブラリーがあるのよ。図書館とは別に。なので去年と今年で学習要領次第の変更や、授業の変更がなければ小修正だけすればオッケー」


そうなんですね。それならがんばってみます。


「マジな話、一年Cなら去年のままでオッケー。二年の講師組にはちょっと確認してね?他の人にも声掛けるから二人でやって、なんていうつもりもないから大丈夫だけど、松本さんが中心人物ね?」


私でよろしいんですか?


「あなた、自覚ないの?噂のマイティさんにも突っ込める人物、長身美少女図書委員、初心者のはずなのに女バスレギュラーに匹敵するプレイ+男子へのブチかましなどで超有名人よ?」


自覚ありませんでした・・・ブチかましは正直良心が咎めるところもありましたが、ユカが行け、行けと目で促すので・・・リコが一発レッドを延々とやっていて麻痺しちゃったんでしょうね・・・美少女枠は、ちょっと無理がないですか?


「普通に美少女でいいと思うよ、な、源田?河野?」「そうだな」「ね」

「ユカと一緒にメイクを教えたぞ?ミツキ。スキンケアは実施しているんだろうな?」


そういえばユカは「みっちゃんは素材はいーーいからーー、おけしょーー覚えよーーねーー」と歌うように、マイティさんからはアイメイクをかなり徹底的に教わりました。


はい、スキンケアは毎日朝と寝る前、しっかりとやってます。安いのでかまわない、と言われたのでドラッグストアの安めのものですけど。


「高いものはいいのも事実だが、普通の高校生には高いからな。それでよかろう」


「あーマイティさんってやっぱ普通の高校生じゃない自覚があるのね?」


「河野副部長、金銭的な話だ。正直、金はあるので」


「言ってみたいわ」「言ってみてえ」「僕も無いとは言わないが別格だよ」


あっ、でも河野先輩!


「なあに?」


ユカはSとかAの講師のほうがいいんじゃないですか?


「あなたAよね?」


はい。


「補講が必要な人がSとかAに留まれると思う?」


あ・・・思いません。


「そう、補講が必要なのはCからなの。Bでも下位なら希望者は来るけど」


そうですか・・・なるほど。理解しました。


「なので、講義は短かく、過去問のワークが多め、そのときはSやAの生徒が半分くらい来てくれる。ボランティアだけどね」


私もボランティアですよね


「すまないけどそうね。推薦狙いだったら、先生に書いてもらえることが増えてちょっとだけ有利、くらいね」


はい、充分です!


「推薦狙いなの?あ、あとクラスのテスト後の打ち上げとかでおごってもらえる、は、あるよwww」


推薦狙いではないですが、リコとももかにおごってもらいます!


「うむ。あの二人に涙目にしがみつかれているのでリオンがCから上がれない。彼女もボランティア組だなww」


マイティさんもそんな風に笑うんですね!


「今のは笑ってしまっても仕方あるまい!」


「はあ、松本さん、マイティの友人をなるべく長く続けてくれると僕は非常に嬉しいよ」

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