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フライングガール!  作者: Jack...
29/55

阿波瀬くんは答え合わせがしたい

阿波瀬拓也です。


一応、中央高野球部では二番手ピッチャーってことになってます。

部長が一番手、左のスリークォーター気味のサイドスロー。

オレが二番手、左のサイドスロー。

ヒナが三番手、左のサイドアンダー。


すさまじく偏った投手陣ですwww


弓岡は今年正捕手かと思われていましたが、マモのおかげで12番あたりを付けるか、2番をもらえても代打、外野、ファースト兼務の二番手捕手になりそうです。


ちょっと可哀そうな気もしますが、U15の日本代表が来てくれたんじゃどうしようもない。二年下なのに、すでに追い越された状態ですから。


ピッチャーには、大きく分けて「四番ピッチャー」タイプと「九番ピッチャー」タイプがいます。

打撃も得意かそうでないか、です。

でも、強豪高以外だと、ほとんどが四番ピッチャータイプです。うちもそうです。まあ、少子化の影響もあると思います。


シンプルに言うと、打たれようがアウトにできようが、ピッチャーがストライクゾーン近辺に安定してボールが投げられないと試合になりません。

フォアボールやデッドボールの連続では、野球として成り立ちません。たまにそういう試合もありますが・・・


今の公立高校の野球部の人数だと、そういう人はスポーツ万能タイプで一人二人いればよいほうです。

四番ピッチャータイプを野手に転向させるというのは人数が多い強豪高だけに許される特権であり贅沢です。

九番ピッチャータイプは、そういうところ、強豪でないと使い辛いです。打てませんから。


まあ、今はDHが使えるようになったんですが、部長はまだ無かったころの頭ですし、実質、DHは強豪がもっと強くなるだけ、って気もしてます。


ウチは自分も含めてみんな四番ピッチャータイプです。

まあ、ヒナはパワー的に成長途上だし、下位とか二番くらいでバントもあります。

部長も不動の四番じゃないですが、上位を任せてもいい。

オレもクリンナップはアレでも六、七番くらいでクラッチヒッターをしてみようかって感じです。


ウチのピッチャーは左ばっかなんでナイス叩き付けがショートへの内野安打になる可能性もありますからね。クラッチヒッターじゃないじゃん・・・


部長の友人、第二ですが、閣下こと鳥居原君が打ててショートリリーフもやれるんですが、やっぱ第二なので、連携は・・・いや、うまいか。


話が長くなりましたが、クラブマッチに関する疑問を聞く機会がありました。


           ・・・


マイティさん、聞いていいかな?三年の阿波瀬だ。第二の練習時間をシートに変えてくれたのは感謝しているよ?


「うむ。阿波瀬先輩におかれてもご健勝のご様子。誠に喜ばしい」


いや、直接話してもエラそうだな・・・ま、全く手も足も出ない状態だったし流すか。


そのシートの時と、クラブマッチのときの打撃がまったく違ったように思えたんだけど、オレの気のせいかな?


「いや、部長がシートノックは守備練習とおっしゃったので、内野の間をギリギリ抜けるかどうか、とか、頭の上、届くか届かないか、くらいの打球を心掛けた次第」


・・・ああ、練習として参加してくれていたんだ、と好意的に取るべきなんだろうな・・・


じゃあ、クラブマッチでは、守備練習ではなく、フリーバッティングをしたってこと?


「フリーバッティング・・・いや、うーん。単に打った、というか・・・」


単に打った、ね・・・


でもヒナにしたことはちょっとマナー違反だし、公式戦なら審判に注意を受けるよ?


「カットではなく、フルスイングでもダメなのか・・・その可能性は存じ上げなかった。あれは時間の使い方に関する考察としての試行と申すのが妥当だが・・・ヒナ先輩には改めて謝罪します」


ああ、45分ルールね。確かにあれで15分くらい使ったねえ。

確かにフルスイングだったか・・・

でもあそこまでやったら遅延行為で注意を受けちゃうと思うよ。

理学部同士、文学部戦も見てたけど、守備で時間を使うのはだめだったの?


「あれは攻撃や走塁が荒い連中でないと少々厳しいのでは?二年中心といえ、野球部本体にあれをやると予想以上に点を取られるかと」


それは褒めてもらっていると受け取るよ。でもさぁ、第一としては、理学部に攻撃力で明らかに負けてるという実感がある時点でキッツイよ・・・


「む・・・モルを取引で理学部から出したせいか?まあ、元第一の先輩方もいらっしゃったからな・・・」


ホントにね・・・ウチとしては強打者だったメンバーがみんな第二にしちゃったからさぁ


「大変恐縮だが、それは私の入学前、(あずか)り知らぬ話という認識」


そりゃそうだけど。ま、グチだ。わるいな。そう言えばチーム名称がやけに長くなかったか?


「ああ、理学部物性物理学運動力学流体力学キネシオロジー実践隊クラブマッチ野球実行班と申す」


長いよ。それにクラブマッチ野球実行班以外がよくわからんよ・・・


「あー・・・物性物理学は、原子や分子などの多数の粒子が集まってできた物質が、どのように振る舞うか。固体、液体、ガラス、超伝導体、半導体など、日常生活で目にするほぼすべての物質が研究対象。電子の振る舞いが物質の性質、電気伝導性、磁性などにどう影響するかの学問で、運動力学は、力学の中の動力学、物体に働く力と、それによって生じる運動の関係を運動方程式などを用いて」

ストーーーーーーップ!!!!


「・・・?」


これが閣下の言ってたキミの超早口解説ね・・・キネシオなんとかってのはテープで聞いたことあるけど、まあ、やらんよりマシ程度には効くね、あれ。


「キネシオテープか?医学的には・・・やらんよりマシ、が妥当な評価か」


どゆこと?


「あー、プラセボ的な効果は以上のものは認められない、という結論だったと思う」


そゆことね。まー、無理して出場するときはガチガチのテーピングするもんね。

で、あなたのバッティング、凄いんだけど、なんつーか、コーチ的なことはできる?・・・オレの発言を聞いて、みんながわらわらと集まってきた。


「それは、私の打法を皆様に伝授する・・・ということか?」


そう、ほら、みんな来たよ。口頭で説明できることとかある?


「無くはないが・・・私の打法はバッセン的当(まとあ)て打法だぞ?」


何それ?あ、閣下?何?


「もう閣下はやめろと言うのに・・・旧国道のバッセン、デカいとこあるだろ?

あそこで一ゲーム全球をホームランの的に当てるんだよ、マイティは」


「む。成功率は50%も無いぞ?」


おいおい、マジか・・・あの広いバッセンで二回に一回は全球ホームランの(まと)に当たるのかよ・・・しかし、随分と騒がしいだろうなあ・・・


そりゃ打てるはずだな。でもあそこ、たまにクソボール来ねえか?


「なので先日のボール球にも対応できたのだ」


・・・どうやるんだ?


「まずは軌道予測だ。ようつべなどで似たフォームの映像を探して、コンピュータ解析に掛け、軌道方程式を複数、できれば20~50ほど算出する」


いきなり難易度が爆上がりだな・・・


「そして、複数ポイントでのボールの位置とその変化を記録し、記憶する。そのあとは補完方程式を立てて解くだけだ。といっても近似値の数値解をFFTなどで処理する」


FFT ・・・ってなんだ?


「 Fast Fourier Transform、高速フーリエ変換だ。通常のフーリエ変換がN ()の計算時間に対しNlogNの計算時間で、済む」


さっぱりわからんのだが


「・・・三年なら数学で行列演算は出てくるだろう?あれを押し潰しながら計算する方法・・・という言い方が近いだろうな・・・」


あーー。得意とは言い難いやつだな・・・ちょっとまて、バッターボックスでそんなん計算できないだろぉ?


「近似値ならできる。ボール一個ぐらいのズレは許容する条件だ」


できるんだ・・・難易度爆上げどころの話じゃねーな。


「そうなると、インハイなのか、アウトローのさらに外で下なのか、などはわかる。そこまでわかれば座標変換式ステップ一本足打法だ」


また不思議な用語が出てきたよ。一本足打法は気づいていたけどな・・・


「ステップについては、後ろから62~3cmのところの真ん中に立ち、爪先立ちで少しだけ左膝を曲げて立つ。そこから、20, 40, 60, 80cm で8方向に飛べる練習をしておく」


さらにハードル上げるわけね。でも80cm後ろに飛んだらバッターボックス出ちゃうじゃん。


「そう。後ろの80cmは斜めの方向のみの使用となる。前は80cmも使うが」


閣下、マモ、一本足で飛べる?


「無理だな。飛んだら当てられん」「ムリっす。一本足で20cmとかそもそも飛べないっす」

「だな。爪先立ちの一本足打法なんて聞いたことないな」「っすね」


だよなあ・・・続けてください。


「うむ。例えば先ほど例示した、アウトローのさらに外の低めなら、前に飛べるだけ飛ぶ」


ベース寄りじゃなくて前だけ?


「まあ、コースにもよるが、前だけでいいことも多い。で、重心移動で思いっきり体全体を斜めにする。ピッチヤーのほう、前傾ではなく、ベースのほう、横に傾ける」


・・・それ、出来ても、倒れねぇか?


「スイングの間だけ持てばいい。腕の力を抜いておけば、それだけ飛べばトップの位置が相対的に後ろに上に持ってかれる」


それが難しいんだがな・・・


「その状態、体全体が斜めになった状態だとアウトローのさらに外下のボールの球が、相対的にストライクゾーンの真ん中外、ベルト高になるので振れば芯に当たる。あとは振り抜くだけ」


・・・


「野球だとそれでいいけど、的当てだとコースの打ち分けが必要だろう?マイティ?」


閣下?


「基本は見える的に当たる。狙うときは右足、前側の足の踏みだす方向と最後のスピン掛けで狙う」


・・・オープンスタンスとクローズドスタンスをその場で使いわけんのかよ・・・それはいいとして・・・よくないが・・・


スピン掛けって何だい?


「飛距離を出すなら、バットの進行方向のベクトルがボールのベクトルと真逆よりちょっと下を打つのが理想。でも当った瞬間に、あ、真正面だ、とか上だ、とか感じぬか?」


感じないよ・・・


「なので、スイング中に軌道修正してバックスピンになるように振る」


できる・・・んだろうな・・・


「それを使えばライト、レフトのライン際で、切れるファールと戻ってくるホームランの打ち分けができる」


「あー、おれ、それやられたのね・・・」


「おお、ヒナ先輩。先日は本当にすみませんでした。深くお詫びいたします」


「いーよいーよ、打たれちゃうオレのせいだ。可能ならヒナでなくヒナタにしてほしいけどさー」


「承知。ヒナタ先輩。これでよろしいか?」


「よろしいよろしい。ちなみにオレって予想は簡単だったと思うけど、シートとかでも一度二度くらいだよね?その方程式とかって作れるの?」


「あ、それは、有名選手の画像も合わせて分析した次第。森福、高梨、左右違いで中川選手等」


「光栄光栄。サイドとアンダーの有名投手だねー。それを参考に攻略されたのであれば、まあ、うれしいよ」


うれしいんかい。とりあえず、まったくコーチに向いてないことはわかった。


ちなみに、閣下、おまえがコーチするとしたらどーする?


「それより、一つ衝撃の事実を教えてやろうか?」


何だよ・・・やな予感がするぜ?


「そうだな」


・・・早く言えよ


「マイティが使っていたのは竹バットだ。公式戦使用可のやつだけどな」


「「「「「「「「「「「「「「マジかーーーー」」」」」」」」」」」」」」


マジか・・・竹バットで31本連続フェンス超えだと・・・


なあ、芯外すとめっちゃ痛いよな、竹バットって


「はい、先輩」


練習したの?まさかしないでも打てちゃうとか?


「いえ、第二の初回のときに申し上げたとおり、二年と少し前よりトスバッティングの練習は会社の兄様と。それは最初から兄様のお薦めで竹バットです」


あー、出てない・・・部長?


「言ってた言ってた。竹バットは言ってなかったけどトスバッティングは言ってた」


へー、毎日はやってないと思うけど、週一とか二回かな?何分くらい?


「週一です。時間は30分ずつ」


ずつ?「「ずつ??」」


「左と右と30分ずつです」


スイッチなの?なのに対左で右に立たなかったの?


「基本、フルスイングなので。外野に落ちたとき、右だと一塁が遠いので」


それはそうね。そうだけどね。右はアベレージバッターとか?


「いえ、基本変わりません。フルスイングです。出し入れもできます」


右のほうが見やすくない?


「多少は」


もしかしてサウスポーだけど右投げもできるとか?


「はい、んっ、そもそも!!」


急に大声出すなよ、驚くから・・・そもそも?


「右利きである!!」


「「「「「「「「「「「「「「マジかーーーー」」」」」」」」」」」」」」


おい、閣下、こいつ参考にならんぞ・・・


「だから、変態的天才がやってくると言ったじゃないか」


言ってたね。こういうことか。閣下ならもう少しマシなコーチをしてくれる?


「あー・・・見て打て。見えれば打てる」


・・・おい・・・


「この()だって同じだよ!!ボール一個ずれたら空振りだろ?

座標変換やステッピングしても最終的には見て打ってんだよ!!」


だめだこりゃ。・・・部長?


「マイティさんや、トスバッティングは今も続けてるのかのお」


何だそのキャラ?


「うむ。週一だが続けている。部長の口調はまた昔話の爺様なのか?」


繋がりがわからん・・・部長?


「いや、まあ、ちょっとな・・・まあいい、第一の練習でトスバッティング増やそうか?打線の底上げしないとどっちにしろ厳しいだろう?」


皆も頷いている。オレもそれは賛成だ。

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