マイティさんと赤池くんの打ち合わせ
「マモル、お前が受けろ。閣下曰く、超絶的破壊的暴力的に危険な天才と半年前までサムライジャパン様の究極バッテリーを見せろ。後ろはオレのほうで選んでおく。バッターは少なくとも三人目に、ここ一打席、だったら、ウチ一番頼りになる閣下がいくから覚悟しろ!」
部長、無茶言うぜ・・・野球部あるあるといえばそうだが・・・
マイティさん、打ち合わせしようぜ。
「何を打ち合わせればよいのだ? うむ、丁寧語は疲れるな」
先輩には丁寧語だよ!そこはちゃんとやろうぜ!球種や球速、あとどの程度コントロールできるかとかを教えてくれればこっちでサイン出す。大学までやってた先輩が受けててくれたんだろ?そのサイン教えてくれれば覚えるぜ!
「っす、とか言わなくてもしゃべれるではないか。口調はそちらで頼む。球速は130km出るかどうかだ。バックスピンとバックスピン弱、スライダーとシュートとシンカー。曲がるのはやや遅い。特にシンカーは130km出ないことが多いな。あと、110kmくらいのまっすぐとスライダーとシュート。あと、80kmくらいのカーブとぐーチェンジとサークルチェンジかな?」
・・・本当にそんなに投げわけられんの?
「嘘を言ってどうする?あと、サインは無かった。精々3~4人での遊びに近い練習だし、バッターボックスに立ってても打たないしな」
・・・それ、変化球によっては、バッターが振ったらキャッチャーとしてはなかなか捕りづらいぞ?
見せるのが嫌ならいいけど、よければ握り見せてもらえるか?
「握り?ボールを投げるときにどう指を掛けるか、ということか?」
そうだ。おにぎ・・・やめとこう
「・・・こうだが・・・」
三本ストレートかよ。普通はムービングファストってやつで使うんだが、綺麗なバックスピンになるのか?
「まあ、まだ始めて半年くらい、週一だからな。練習中だ。うちにもコンピュータくらいある。というか親の商売が商売だから、それなりのコンピュータがある。それでシミュレーションしてみたら、論理的には中指一本で投げられると仮定すれば一番速い球速が得られるが、それだと安定したコントロールを得るのが難しい」
・・・まぁ、そうなんだろうけど。中指一本はムリゲーだろ・・・
「たまたまだが、私は人差し指と薬指の長さが、1mmも違わない。普通は違うそうだな?」
あーー、オレは薬指のほうが長いな。
「なので、コントロールを二本、バックスピンを一本に頼る投法を考えたわけだ」
えーと・・・最初は三本で回して、ボールの回転する慣性が増したところで駄目押しでバックスピンを掛けるってことか?
「概ねそうだな。ちなみに一般的なストレートの握りでも投げられることは投げられる」
じゃあ、なんで、こんなトリッキーな投げかたするんだ?
「こっちだと、最後の一瞬にバックスピン、弱バックスピン、スライダー、シュートの投げ分けができるからだ。シンカーは、そのちょっと前までに決断しないといけないがな」
・・・ホントですか?・・・正直そんなの見たことも聞いたこともないですよ?
「何故急に丁寧語だ?まあ、受ければわかるだろう」
それはそうですね。でも、サインは決めたいですよ?
・・・戻そう。タメに・・・はあ、しかしそんな球種があるならどういうサインにすりゃいいんだ・・・
「・・・そうか・・・そういえばサインらしいものはあった」
どういう感じ?
「さっきは110と言ったが、108だった。スピードが、130, 108, 80の3つ。あとはローテーション指示だな」
スピードはわかるがローテーション指示ってなんだよ?
「例えば右打者のインハイに構えたときのローテーション指示が0か4ならインハイだ。1ならインロー、2ならアウトロー、3ならアウトハイ、5もインローだな」
そんなに四隅に投げられんのか・・・とりあえず、女バスの神技みたいなパスも見たし信じるよ・・・
えーとピッチャーからみて時計回り、オレから見て反時計回りか。わかった。
で、どう指示したもんか一番迷う球種はどうする?
「球種はこちらに任せてくれぬか?速度はサイン、コースはミットとローテーションサインの指示には従う」
・・・そこがそっちかぁ?・・・まあ、まっすぐの速い遅いと内外、出し入れだけでも組立にはなるから、やってみるか・・・他になんかあるか?
「ああ・・・うむ。確か、入れ具合というのがあったな・・・」
なんだそれ? 高一男子として女子から入れ具合とか聞くと妄想が捗るが?
「・・・慣れてるからスルーするが、ちょいちょい下ネタ入れてくるな?
まあ、よい。
基本四隅であるが、1なら99%ストライク、2なら70%ストライク、3ならどっちとでもとれる。4ならボールだ」
・・・下ネタ慣れてんのね。こっちも、まあ、いいか、でスルーするよ。
つまり、出し入れの話ね。高一でそれが130kmクラスでできれば怪物だぜ。
「そうなのか?普通にやっていたが・・・まあ、バッターは立っているだけだから、遊びも遊びというやつだろうが・・・」
四隅以外はなんかあった?
「うむ。真ん中低め、または真ん中高目のボール球の全力投球というのがあったな」
・・・ああ、・・・わかった気がする。じゃあ、指の出しかたはいろいろやるけど本数だけで判断しくれ。
一つ目は球速、グーがゼロで全力投球。あとは指通りで、イチが130、ニが108、サンが80。二つ目はローテーションで三つめはストライク指示な。結構複雑で高一の内容じゃないぜ。投げられるならな。
あと、グー、グーみたいに同じのが続くときは指四本か、パーを入れるからな。
「デリミタというわけか。速度には4が無く、ローテにも4を出す必然性は無い。
最後は4を出してもデリミタは不要・・・ということだな・・・指の出し方を工夫するのは一種の欺瞞のためか?」
流石の理解度だな。デリミタというのはわからんが、たぶんそれでいい。
「まあ、投げてみる。バスケと違って事前練習もないし、赤池の言う巻き込まれもあるまい」
いや、巻き込まれっつーか、言ってることが本当なら、先輩方が打てねーだろ。言ってたのが全部本当ならな。まあ、やってみるか・・・
えーと・・・投球練習はしなくていいのか?あと球数制限はあるか?ある時は練習球も数えたほうがいいか?
「先程キャッチボールをしたし、マウンドに立ったら5球の練習というのがあるんだろう?それで充分だ。それは入れなくていいので、マックス30球で頼む」
さいですかっ・・・信じ難いが信じるぜ!!
・・・
部長!バッテリーOKです! バックの、守備のメンバーは確定ですか?守備位置は定位置でお願いします!!。彼女の球数制限は30です!!練習球は入れなくていいそうです!!!
ピッチャー、練習5球いくぞーーーー真ん中真っ直ぐ5球~!!
「うむ!!」ドスン、「ふん!!」ドスン、「おぅ!!」ドスン、「はっ!!」ドスン、「はん!!」ドスン!
うは、これ、本当に130km? ・・・見た目速いし構えたとこにピッタシ来るな・・・しかも、ちょっと動かしてるし、本当にコントロールいいんだ・・・まあ、スマホの件である意味わかっていたが・・・(未記述)。
部長!!。球が来てますよ!!。そのマイティさんとオレでバッテリーやるんで、多分、バックに入っていただいた先輩方はヒマしますよ?!
「マモル、中々言うな。じゃ、オレが打席に入るよ。ノーアウトランナー無し」
「部長殿、承知でござる」
マイティさん、あんたは忍者か侍か?。まあいい。速度ゼロ、ローテーションゼロ、出し入れ4で、真ん中高目。彼女頷く。
セットからのクイック・・・速いな。
ブン!!ドスン!!「っトラーイ!!」
審判役の先輩 が叫ぶ。
「やれやれ・・・見逃したらボールだな、でもアレは振るよ。マモル、お前もうめーよ。初球、真ん中高めの思わず手が出るボール球か。確信犯だとしたら、意地の悪いこって・・・閣下、わりーけどスピードガ」「無駄だよ。マイティの速さはスピードガンでは計れない」「遮んなよ・・・。まあ、わかったよ」
わかる。ランナーもいないのにセットポジションからのクイック。球の出所もわかりづらいし本来の球速よりかなり速く見える。さっきの練習球も見ているし、部長もあれが自称130kmだとは思えないだろうな。
ん?・・・ああ、球種はまかせろは、こういうことか?左対左だから、アウトハイ狙いのインローに構える。
ドッスン!!「っトラーイ!!」
審判役の先輩が叫ぶ。
「あれが曲がって入ってくるのか・・・なんだその『魔球』は、よーー、打てねーよ・・・」
わかる。スリークオータ気味の彼女。いつの間にかプレートの、一番ファースト側のに立っていた。
オレはインローにミットを構えて、サインは、速度1、ローテ2、ストライクは3、五分五分ののサイン。
結果、外に流れていくクソボールに見えて、そこからストライクゾーンにくるシュート。
まあ、初見であれを打つのはきびしい・・・オレも左バッターだからわかるが、スライダーしてからシュートする魔球に見えるかもな。
いやー、こういうことかーー。俺様の投げる球を予想してリードしろってことか
「ちょっと待て、やっぱ理学部に作ってもらったスピードガンを使おう!! 誰か持って来てくれ!! 閣下?ダメか?計るくらいは、いいだろ?」
「ここに、用意だけはしてある。電力食いだから、モバイルバッテリーが持つ間だけしか使えないがな」
「閣下、ちょっと前に意味無いと言ったばかりじゃないか!!見解を急に変えたのか!?」
「まあ、見ればわかるよ。マイティ!!投げていいよ!!」
ちょ・こっちに指示してくれよ!サイン出さなきゃ!! グーパーグー、1の、低すぎるところに構えりゃ通じるよな!「(頷)」
ドン!!
「っトラーイ!!アウッ!!」
「マジか・・・絶対低い、ワンバンか?、と思ったのに・・・。閣下、横で見ててどうだ?」
「ど真ん中・・・とは言わないが高さだけならインコースに食いこんで来てても、確実にストライクだね。で、これを見ろよ(ニヤっ)。」
「え・・・128km?・・・145と言われても信じるつもりがあったんだが・・・」
「な、あまり意味ないだろ?」




