体育祭
わたしは、合コンというなの出会いの場への参加が決定した。
ナオは…ナオは、どうやら山田さんに夢中みたい。
早く新しい出会いをしなきゃ!
ナオを忘れて、他に好きな人がわたしにできれば、そしたら今よりも辛くないはず。
って、思っていたんだけど…
ナオから、いきなり二人三脚の練習をしようって言われたの。
…
そんなことしたら、わたしは…どんどんナオが忘れられなくなるんじゃないかって思いもしたんだけど…
でもさ、ナオって相当な運動音痴だから…
だから…
そのまま運動音痴を改めてみたら、冷めるかもしれないって考えて、二人三脚の練習を付き合うことにしたの。
そしたら、ナオってば…やっぱり運動音痴炸裂でね…
すぐ転ぶんだけど…
その転び方が…
なぜそうなるの?って状態で…
わたしは、ベッドでナオに抱きしめられたの。
…
嬉しかった。
ナオは、わたしのことなんとも思っていないだろうけど…
でも、それでもすごく嬉しかったの。
だから、ずっとこのままがいいって…泣きそうになっていたら、ナオがわたしの顔を覗き込んできたから、突き飛ばしちゃった。
そしたらナオが、また転がってさ…
ベッドから落ちそうになったわたしを、とっさに抱きしめてくれたの。
ベッドから落ちなくて済んだけど…
わたしの心は闇堕ちしました…
…
もう…このまま幼馴染特権で、彼女できてもこうやって、イチャイチャしてくれたら…ってさ。
でも、そんなのって…やっぱりダメなんだよね。
だから、やっぱりわたしは次の恋に向かう‼︎
ナオの体育祭の二日前、わたしは合コンに参加した。
みんな優しくて…だからわたしは、ナオのこと忘れられるかなって、期待したの。
でも…でもやっぱりわたしは…
…
そしてついに、体育祭の日になってしまってね…。
ナオの応援に行ったら、冴木くんもいたんだ。
幼馴染がいるから、冴木くんも応援にきたんだそうな。
だから、二人でナオと山田さんを応援した。
…
ナオと山田さんが…
二人の並んでいるところをみると…胸がチクンと痛くなった。
わたしだって、ナオとベッドで二人三脚したのにって…
あんなに抱きしめてくれたのに…
なのにナオは、山田さんと肩を組んで…相思相愛ってな感じだ。
このまま一位とって、ナオは山田さんに告白して…
…
あんなに頑張ったんだから、そりゃ一位とってもらいたいけど…
でも…
そしたら…ナオは…
二人を応援しつつも、完全に心から応援できない自分が心底キライになりそうだ。
冴木くんは、一生懸命に応援していた。
そして、結果は…
一位だった。
ナオと山田さんは、顔を見合わせて喜んでいた。
喜びを分かち合い、二人三脚のヒモを解くと、ナオがこっちに走ってきた。
山田さんも冴木くんに、みに来てくれたお礼を言っていた。
「柚菜子‼︎オレ、一位とれたよ‼︎」
「あ、うん!おめでとう‼︎」
「それでね、オレ一位とったら柚菜子に言いたいことがあって。オレ…柚菜子が好きなんだ」
「うん、ありがとう。わたしも好きだよ。じゃ、わたしは…この後用事あるから帰るね。この後もナオは、頑張ってね。じゃ」
と、足早に立ち去った。
だって…
このままいたら、わたし…絶対泣くもん。
ナオが、わたしを好きって言ってくれたのは、幼馴染としてなんだ…
これからも彼女できても幼馴染は、幼馴染だよ?ってことでしょ。
わたしも好きって返したけど、わたしは…本当に好きの方だったよ。
さよなら、ナオ。
その日、ナオは学校が終わってすぐに家にきたみたい。
でも、きっとそれは…山田さんと付き合うことになったって報告なんだと思う。
それは…まだ直接聞くのは、正直…辛い。
だから、おかあさんには
「頭痛いからって伝えて」
と、お願いしちゃったの。
その日以降、ナオが何度か家にきてくれたっぽいけど…わたしは、ナオに会いたくなかった。
そして、頭痛いっていうのもそろそろ限界かなってなって、どうしてもナオと顔を合わせたくなくて、バイトをはじめた。
顔を合わせたくないって理由もあったけど、ほんとはもう一つバイトをはじめた理由があるの。
そのもう一つの理由のために、必死にバイトした。
そして気づいたら、ナオと連絡を取らないまま、二ヶ月が過ぎようとしていた。
続く。