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ベッドで二人三脚?

 倒れ込んだオレたちは、倒れたままお互い固まった。

 

 

 ケンカが始まる前の猫同士みたいに、目線を外さずに、両者お互いの出方をさぐるみたいに。

 

 ジーッて感じで。

 

 たぶん柚菜子は、オレがどうでるかうかがっている。

 

 なのでオレは、襲い込む体制のまま

「なぁ、オレって前世クマだったかも」

 って言ってみた。

 

 その言葉に柚菜子は、クスッと笑って

「なんでクマ?ってか、今この状況でいうこと?」

 と、さっきのうかがいの表情とまるで変わって笑顔だった。

 

 だからオレも笑顔で、

「クマって人を襲うんでしょ?オレも本能でいま、柚菜子を襲いたい衝動に駆られてる」

 と伝えると柚菜子は、顔を真っ赤にして

「そんなこと…そんなこと言うんじゃないよっ!」

 って、オレを全力で押しのけた。

 

 …もんだからさ、運動音痴なオレは柚菜子とあしが絡んでいるもんだから、一回転して柚菜子をベッドの上で抱き込んでいた。

 

 

 あ…

 

 これは…どういう…

 

 …

 

 そもそも、柚菜子が押すから…こんなことに…

 

 それにしても、アッタカイ。

 

 めっちゃ最高な抱き心地。

 

 このまま抱き枕として、一生オレと寝てほしい…ってさ‼︎

 

 いつまでも抱きしめてる場合じゃなくない⁉︎

 

 柚菜子潰れちゃった⁉︎

 

 ペシャンコで抵抗できない⁉︎

 

「ゆっ、柚菜子‼︎大丈夫⁉︎」

 

 慌てて顔を覗き込むと、真っ赤な顔の柚菜子がオレに静かに抱きしめられていた。

 

「あ…大丈夫そう…だね?」

 潰れてなくてよかった。

 

 って、一安心していたら…

 

「大丈夫なわけない‼︎バカ‼︎早くどいて‼︎」

 って押しのけられたから、オレはまたゴロンと転がった。

 

 で…

 

 今度は、オレが柚菜子の下になり柚菜子を抱きしめていた。

 

 だって、ベッドから柚菜子が落ちないようにと思って…

 

 必要で…

 

 

 …

 

 しばらくまた、抱きしめていたオレ。

 

 やっぱり柚菜子は、アッタカイ。

 

 幸せです。

 

 と、幸せを噛み締めていたら…

 

 静かにオレに抱きしめられていた柚菜子が

「いい加減にしなよ?」

 と、怒った。

 

 あ…

 

 オレは慌てて我にかえり、柚菜子から抱きしめロックを解除してあげた。

 

「ごめん柚菜子…」

「ナオって、ほんと運動音痴だよね。そんなんじゃ、告白できなくない?まぁ、しなくてもいいっちゃいいけど…」

「えっ?」

「ううん、なんでもない。じゃ、気を取り直してはじめよ?」

 と、柚菜子は二人三脚を開始した。

 

 

 よかった。

 二回も抱きしめちゃったけど、あんまり怒られなくて。

 

 二人三脚って、やっぱりベッドでやるもんなんじゃん⁉︎最高だったよ?って、改めて思うオレなのでありました。

 

「あ、ところでトイレってどうする?」

「そんなの、外すに決まってるでしょ?」

「あー…」

 残念。

 と、心でつぶやいた。

 

 で、

 意外と、廊下でも二人三脚ができるとわかった。

 

 でも、階段は流石にやめておいた。

 

 それからオレたちは下に降りて、小腹がすいたからあしを結んだまま並んでお菓子を食べてたんだけど…

 

 座ってるんなら、一回外してもよくない?ってなった。

 

 それは、そうだ。

 

「てか、座ったときは両あし結ぶ?」

 って提案した。

 

 すると柚菜子が爆笑して、

「向かい合いとかヤバくない?立つとき危ないよね?ナオ運動音痴なのに」

 ってめっちゃ笑われた。

 

 そうだよなぁ…

 

 オレ運動音痴なんだった。

 

 柚菜子がいったん離れようみたいにいうから、つい…くだらない提案してしまった。

 

 

 てか‼︎

 

 思い出した‼︎

 

 いまさらだけど…

 

 この前、柚菜子と放課後寄り道デートしてたとき、あった男子…

 

 あの人…

 

 山田さんの幼馴染だ‼︎

 

 

 …

 

 

 え…

 

 待って…

 

 柚菜子って…さっき告白しない方がいいみたいなこと、ボソッて言ってなかった?

 

 山田さんが告白しない方がいい?

 

 …

 

 まさかねえ?

 

 まさか、柚菜子って山田さんの幼馴染のこと…好きとか?

 

 

 いや、そもそも山田さんがあの人に告白するってこと、知らないよね…?

 

 ねぇ?

 

 …

 

「柚菜子ってさ、もしかして…山田さんって人の幼馴染…知ってたりする?」

「あー、うん。冴木さえきくんでしょ?」

「それって…この前駅であった人…?」

「うん。なんで?」

 

 

 知ってた…

 

「まさか告白のこと、冴木くんには…」

「言わないよ〜。」

 

 よかった。

 

「てか、いつから知ってたの?」

「あー…なんか冴木くんと、よく幼馴染の話で盛り上がるんだけど、なんか色々繋がって…きっとあの人かなぁってね。」

「そ、そうなんだ…。」

「うん。で、まえまでダブルデートできたらいいねって話してたの。もう、無理だけど…」

 

 ⁉︎

 

 ダブルデート⁉︎

 

 もう無理って…

 

 それは、柚菜子が冴木くんにフラれるから?

 

 冴木くんは、山田さんが好きなんだ?

 

 柚菜子…オレは知らない間に、柚菜子の恋を邪魔していたのか?

 

 

「やっぱり一位…とらない方が…」

「いや、とりなよ‼︎わたし応援するって決めたんだから‼︎頑張ってよ‼︎ね?」

 

 少しかなしそうな表情の柚菜子。

 

 

 オレはどうしたらいい?

 

 やっぱり…一位とらない方が…いい?

 

 でも、それじゃ山田さんが…

 

 

 …

 

 どうすれば…

 

 

 続く。

 

 

 

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