寝ました?
次の日、山田さんから
「今度、二人三脚の練習しない?」
って言われて、本当はめんどくさいなぁって内心思ったものの…仕方なく了解した。
だって、一位とらなきゃ…だからなぁーってさ。
そして放課後、練習することにしたんだけど…
学校で二人きりの放課後練習だと、変な噂とかたてられそうだねってなり、駅の近くの公園で少し練習しようかってなった。
で、いざ始めようってなったら山田さんがバッグからタオルみたいな物をだしてきた。
⁇タオル…
…
あぁ、そうか。
ヒモで結ばないとならない競技だった。
それにしても、準備万端じゃんって感心していると、山田さんはとある画像をみせてくれた。
…
その画像とは、二人三脚しているやつだった…。
これみるとわかるように、肩を組むといいらしいの‼︎で、出始めは結んだ側の足からね‼︎と、かなりやる気満々で少し驚いた。
…
オレ、大丈夫かな…
山田さんの頑張る圧に押しつぶされそうになりつつあります…。
そんな…ヤル気のないオレと、がぜんやる気のある山田さんのあしが…ピッタリとくっついて結ばれた。
…近い。
そしてなんだか…髪の毛だろうか?
女子って感じの香りが漂っております…。
…
「ねぇ、組んでよ?」
⁉︎
おっと、いけない。
いい香りにとり囲まれて、すっかり二人三脚というものを忘れそうになるところでした。
「あー、はい」
山田さんに言われるまま、オレは山田さんの腕を組んだ。
すると山田さんが、
「冗談とかいいから。」
って、真顔で言った。
?
冗談⁇
えっ⁉︎
もしかして、二人三脚やるってのは冗談だった⁉︎
慌てて手を離すと、腕組みじゃなくて肩組むんだよ?さっき画像みせたよね?って、軽くお叱りを受けました…。
あー、焦った。
てか、練習とはいえ…オレは今、女性の肩を…と、ウハウハしているといきなり山田さんが、
「じゃいくよ!」
って発進したからオレは転びそうになってしまった。
それをみた山田さんの目が冷たかったよ?
おまえ…最初からそんなんで大丈夫かい?みたいなさ…。
申し訳なくてオレはつい、
「放課後…毎日でも付き合いますのでご指導よろしくお願いします」
って言ってしまった。
そしたら山田さんが笑顔になって、
「うん‼︎ありがとう‼︎じゃあ毎日お願いできる?」
って言ってきてね…
「はい…」
って答えてしまったよね。
だから家に帰って、柚菜子には
(しばらく放課後、山田さんに付き合わなくちゃならないから、寄り道できるようになったらまた連絡するね)
と、送った。
すると
(なんの付き合い?)
ってきたから、
(体育祭のパートナーなんだ)
って送った。
そしたら、柚菜子は既読はしたもののそれ以降返信がなかった。
なんなら、最近はオレの部屋にすら来なくなっていた。
でも、オレは二人三脚のことでいっぱいいっぱいになっていて、それどころじゃなかった。
絶対一位にならないと、山田さんの未来が変わってしまうような気がして…
同じ幼馴染がいる仲間としては、これは一大イベントだもんな。
わかる、
わかりますとも。
オレだって、柚菜子のこと好きだから…。
本人には、言ってないんだけどね。
でも、なんか二人三脚で一位になれたら…そしたら、オレも少し自信ついて柚菜子に好きっていえそう。
…かな?
いや、わからんが…ね。
でも…いえそう。
電話…しちゃう⁉︎
まず、体育祭観に来ない?って…
いやいや…どないよ?
そんなこと言っといて、転んでビリとか…
あー…、それは山田さんが落ち込むよね。
だって、意気込みが半端ないもんね…。
頑張ろう‼︎
突如湧いてきたヤル気‼︎
なので、オレは柚菜子に電話してみた。
トゥルルル トゥルルル トゥルルル
…
出なかった。
どうしよう…。
一時間後に、なにー?って電話折り返し来た時、そんなテンションじゃなかったら…。
その時は、適当にごまかして世間話でもする?
…
とりあえず電話を待つことにした。
チクタクチクタク言ってる間に、一時間…そして二時間…が杉田。いや、過ぎた。
だれだよ杉田さーん?なんてふざけるも…面白くもなんともない。
…
柚菜子…もしかして、怒ってない⁇
いつもなら、すぐ電話くれるのに…
寝ちゃったの⁇
よくわからないけど、明日まで大人しく待つことにした。
…
大丈夫だよね?
⁇
寝ちゃったんだよね?
…
続く。