古い
実は…オレは二ヶ月前から高校生をやっております。
この前まで中学生だったのに、高校生って…めっちゃ世界がっ別世界っ‼︎
もうさぁ、このまま飛べるんじゃね?ってくらいの自由レベルなんよ。
まずさ、乗り物。
歩いても自転車でも、バスでも電車でも通学可能ってさ、自由すぎん?
中学は、歩きかチャリなんよ?
それが、バスとか電車って…
それでよ、バスとか電車乗るからお金も学校に同伴できるわけじゃん⁉︎
もう最高かよ⁉︎
寄り道、し放題だよ?
あー、楽しいー‼︎
で、楽しい話を幼馴染の柚菜子にトークショーしていたんですよ。
オレの部屋でさ。
そしたら、柚菜子ってば
「へー、そりゃよかったねー」
って、感情が全くない顔で言ってきたんですよ。
おや?
あなたも高校生になったのに、どうしたのです?
ってくらい、オレの話をつまらなそうに聞いておりますね…?
「どうしたの?柚菜子は、高校つまらないの?」
ってオレは心配したよね。
そしたらまさかの、つまらないって返ってきましたね。
…つまらない?
それは、つまり…つまらないってことでいいですかね⁇
「えっ…お友達、できたんだよね?」
「うん。」
「じゃあ、なんでつまらないの?」
…
「それは…」
「それは?」
「別に…わたしそもそも、ナオみたいに寄り道しないし」
「あー、まだエンジョイしきれていないってことか。なるほどねー。オレが同じ学校だったらよかったな。まぁ、仕方ないよ。頭脳レベルってのがあるわけっすから」
「なに自分の方が頭いいみたいに言ってんのよ。わたしは、看護科にどうしても行きたかったから、ナオと一緒じゃなくてもいいもん。寄り道だってできるもん」
と、子どもみたいに言っていてめっちゃかわいかった。
まぁ、まだ柚菜子には早過ぎた会話だったようだ。
オレが浮かれ過ぎて、幼馴染との心の距離ができてしまったっぽいなと、少し反省。
なのでここは中学の頃にタイムスリップした気持ちで、ゲームで仲良く遊びましたとも。
ゲームをすると、ご機嫌斜め右方向だった幼馴染も、機嫌を取り戻したようだ。
ゲームをしていると、ふと柚菜子が
「寄り道って…どんなことするの?」
と、ちょっとワクワクな顔でオレに質問してきた。
その洞窟の先は、どうなっているの?ってくらいの顔だった。
やっぱり…かわいいかよ⁉︎
「寄り道ってのはさ、まぁ自分の好きなスイーツ食ったり、雑貨屋行ったりとにかくあっちこっちブラブラするんだよ。なんなら今度、放課後待ち合わせてオレと寄り道するか?」
「えっ⁉︎ナオと⁉︎それは…もはや…あれじゃん…」
「ん?どれ?」
「デート」
…
「デート?オレと柚菜子が?えっ⁉︎そうなんだ⁉︎オレたち付き合ってる⁉︎」
「なに入れ替わってる⁉︎みたいなノリで言ってるのよ。付き合ってないから」
…
「あー、だよなぁ。びっくりしたわ」
「わたしもびっくりした。でも行きたい。デート」
⁉︎
「デートなん⁉︎」
「あ、間違えた。寄り道」
「オレはいいぜ?デートでも♡そしたら、キスもアレもこれもだろ?いいぜいいぜ♡」
「やだ。キモい。寄り道ね、行こう!」
「しょうがねーな。じゃあ来週の金曜日でいい?」
「うん!」
柚菜子が嬉しそうにすると、オレも嬉しいのは、なぜだろう…。
それは、好きだからかな?
うん、そうだよね。
好きなんですよ。
オレは…柚菜子が。
たぶん柚菜子もオレのこと好きなんだよね。
でも、さっきデートお断りされたんよね?
まったく柚菜子ちゃんったら、ツンデレでかわゆいな♡
そんなツンデレ柚菜子ちゃんとの放課後デートをオレは、心待ちにしていた。
すると、どうでしょう?
月曜日からあっという間に火曜日が押し寄せてきて、そのあと二回くらい…いや、昼寝含めて五回くらい寝たら、金曜日がすぐそこにやってきていた。
寝るって…もしかしてタイムスリップなんじゃね⁉︎
新しい発見をしてしまった。
なので金曜日、早速幼馴染と待ち合わせして合流したとたんに、タイムスリップの話をした。
すると、
「あー、そうだねー。で、どこ行くー?」
と、あっという間に流されるタイムスリップ話…。
まぁ、そんなもんよ…。
てなわけで、早速寄り道ターイム‼︎
まずは、雑貨屋さんに寄ったよ?
そしたら、オレのクラスメイトの女子と、ばったり遭遇した。
「あれ⁉︎デート?」
と、テンション高めなクラスメイトさん。
「あー、古くからの幼馴染」
と、紹介すると柚菜子は
「どうも〜フルイ‼︎幼馴染でーす」
と、挨拶していた。
古いを強調する幼馴染柚菜子。
「あー、どうも。面白い幼馴染さんだね。わたしは、クラスメイトの山田です。」
とニッコリ返すクラスメイト。
柚菜子もニッコリ返しをしていた。
そして、じゃあねーとクラスメイトは帰って行きました。
…
で、なんか…背後から冷たい視線が…
たぶん柚菜子…
「あの、柚菜子…なんかいいたげ?」
「よくお分かりですね!古い幼馴染くん‼︎」
…
また、ご機嫌斜め方向の幕開けです…
「オレ…なんかしちゃった…かな?」
「うん、したね。わたしが古いみたいに紹介してくださって。じゃあ、あの山田さんは、新しいお友達ってやつかな?新品ってことよね?わたしは、古いと?」
…
あー…
古くからの友人って言葉を、本で読んだばっかりに、オレは…ついそんなことを…
「いや、ごめん。古いって悪い意味じゃなくて…大切っていうか、ずっと一緒だったっていうか…あの…なんか、ごめんなさい」
オレが真剣に謝ったからか柚菜子は、結構あっさりと許してくれた。
すると、今度は柚菜子と同じ学校の男子が柚菜子に話しかけていた。
「あ、ユンじゃん‼︎へぇ〜」
と、オレをニヤニヤみてくる男子くん。
「あ、どうも」
ペコリとお辞儀すると、柚菜子がすかさず
「ふる〜い古ーいレトロな幼馴染ー」
と、紹介する柚菜子。
言い方が…なんか…やっぱり本心で許してない感じがする…のは、気のせいだろうか?
オレは…きっと、さっきの仕返しをされてるっぽい…。
お友達くんは、レトロか。それはいいじゃんって笑って、バイバイしてあっという間に行ってしまった。
…なんとも笑顔が爽やか青年やん。
てかさぁ?ユンって何⁉︎
柚菜子な‼︎
ユンってなんじゃコラ⁉︎
って頭にきたから、オレも柚菜子をユンって呼んでやろうかと思ったが、やっぱり同じ呼び方は嫌なので、やめました。
そしてオレは心が病みました…。
てかオレさ…あの人みたことあるよ?
続く。