第097話 ノック中は油断するな
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「うっ、ここから昼も練習があると思うと恐ろしいな」
「結構、白米食べたもんね」
「まさか食べ終わった後に追加で入れられるとは」
お腹が悲鳴を上げている。
運動どころか動くのでさえ、厳しいかも。
昼食と休憩の時間が一緒のタイミングで助かった。
「やっほー!調子はどんな感じ?」
「お疲れ様です。二郎さん」
マネージャー2人がやって来た。
どうやらマネージャー陣も休憩に入ったみたいだ。
彼女達も俺達が走り終えるまで、ずっと立ちっぱなしでサポートを続けてくれたので頭が上がらない。
「みんなご飯は食べ終わった所だよ」
「まじか。美味しそうな匂いがしてたから早く食べたーい」
「私もお腹ペコペコですよ」
「ちなみにメニューは生姜焼き」
「まじ!?やったね!」
嬉しそうに食事を受け取りに行く2人。
そして、食事を受け取ると俺達4人の隣に座る。
てっきり西谷と一緒に食べるのかと思ったけど、西谷は駒場の隣に座っている。
確かにあれは邪魔出来ないな。
となると1人の男がこちらの方へ来る。
「俺もこっちに混ぜてくれよ」
「堀枝くんだ。全然、こっち座ってよ。あれを見たらなんとなく気持ち分かるから」
竜田の横が空いていたので着席を促す。
堀枝は普段駒場と一緒にいるので中々このメンバーは珍しい。
「そう言えば、堀枝くんって結構早くにゴールしてたね」
竜田が気を遣って話題を探す。
「そうだろ!結構、最近走りには力入れてたからな!」
「確かにあれは尊敬するな。どんなトレーニングをしているなか詳しく聞きたいところだ」
「橋渡まで隼人みたいなこと言うのかよ。練習内容は企業秘密だって。ここにいる全員仲間であり、敵でもあるんだから」
味方だけど負けたくない相手ということか。
俺も敵とまでは言わないが同じ気持ちだ。
「って、やばい。もうこんな時間か。そろそろ昼休憩終わるぞ。午後練に備えて移動しないと」
時計を見た堀枝が焦り始めた。
確かに残り数分で13時になりそうだった。
会話に夢中で気付かなかったが、先輩達も全く残っていない。
慌てだす俺達。
先輩がある前で遅刻する訳にはいかないからな。
特に糸式先輩がブチギレる。
「ま、間に合った」
「さっきまで休憩してたはずなのに疲れた」
「お前ら何やってんだ。練習始まるぞ」
万常先輩が声を掛けて来た。
様子からしてギリギリ遅刻ではない様だ。
「次の練習メニューはなんですか?」
「あぁ、次か?次もお前達にとっては嬉しい練習メニューを用意してある」
この文を翻訳すると厳しい練習が待っているという意味になる。
「楽しい楽しいエンドレスノックの時間だ」
「エンドレスノック!?」
まぁ、それも勿論やりますよね。
この練習は名前の通り単純だ。
何球やるのか、時間制限があるのか。
それを知らされないまま、ずっとノックを受け続けるという練習方法だ。
「お前ら準備は出来ているなー。始めるぞー」
こうして、エンドレスノックは始まった。
「どうしたどうしたー!始まったばかりだぞ」
毎回厳しいコースに打ち込まれる。
全力で走らなければ追いつかない。
つまり、これも想像以上に足を使うということだ。
「もう1球お願いします!」
球を取れなかった者は自ら志願して、もう1球お願いをする。
そして、それを聞いた監督は寸分の狂いなく同じ場所へとノックをするのだ。
みんなのやる気もすごいが、監督のノックをする技術もすごい。
あんなにノックが上手い人がいるのかと感心するレベル。
これは良い練習になりそうだ。
「ぼーっとするなよ!いくぞ!」
投手陣も内野に混ざってフィールディングを鍛える。
頼むから自分の番は優し目であってくれと願うしかない。
でも、本番になったら意地でも取らなければならない時もある。
その場面で悔いが残るよりは今踏ん張るしかないか。
「お願いします!」
【野手ステータスの閲覧条件を満たしました。今後はお好きな時に野手ステータスの閲覧が可能です】
忘れていたがステータス閲覧の条件を満たした事によって今更ながらに野手ステータスが見れるようになった。
最近は二刀流として野手ステータスも伸ばしたい気持ちもあったので丁度良い。
「あっ、そう言えば」
ノック中だった。
そして、今は俺の番で、既に球は目と鼻の先に。
やべぇー、球って顔面に当たるとこんなに痛いのかよ。
視界は暗くなる。
何やってんだよ俺は。
折角の合宿だというのに。
今から気絶する少しの間は世界で1番勿体無い時間だ。
「見慣れない天井だ」
「ふふっ、これだと入学式と状況が反転したね」
「あ、舞葉。もしかして、俺が起きるまでいてくれたの?」
「そうだよ。偶々、私が1番近くにいたから」
「そうだったのか。ありがとう、助かった」
体を軽く動かしてみる。
どこにも痛みはないな。
肩や腕を故障していたと不安になったがその心配も要らない様だ。
「今、何分くらい経った?」
「ここに来てから3分も経ってないけど」
回復も早いみたいだな。
そうと分かれば、早い内に練習へ戻らないと。
俺がベッドから起き上がると舞葉が驚いた顔で止めに入る。
「まだ駄目だよ。安静にしとかないと」
「分かってるけどさ、俺じっとしてられないんだ。今もみんな練習してるんだろ?それなら俺だけ置いて行かれる訳にはいかない。1分でも1秒でも多く、練習をしないといけないんだ」
「でも、・・・ううん、きっと止めて行っちゃうよね。だから、止めないよ」
「ありがとう」
「頑張ってね。私、世界で1番応援してるから」
心配してくれている舞葉を振り切って練習へ戻るのは悪い事をしている気分になる。
だけど、あのまま救護室で何もない時間を過ごすのは耐えられない。
練習に戻ると全員が俺の方を見ていた。
それもそうか。
あれ程派手に球を受けてしまえば、少なからず心配はさせてしまったと思う。
「監督、ご迷惑をお掛けいたしました。練習に戻ります」
「体調は大丈夫なのか?結構、しっかり当たってたけど」
「大丈夫です。問題ありません」
「そうか。それなら守備につけ」
「はい!!!」
元気がある事をアピールして、守備に戻った。
あのテキストメッセージさえ無ければ、こんな事にはならなかったのに。
どこかでオンオフが切り替えられたら便利なのに、そこはゲームの様にはいかないか。
日が落ちてからも練習は続いた。
今日は30キロランニングのせいもあってか疲労がかなり溜まっている。
これは睡眠時間はぐっすりと眠れそうだ。
「今日の練習はここまで。しっかり休んで明日に備える様に」
「「「ありがとうございました」」」
やっと終わった。
これは中々ハードだな。
でも、夜中もこっそり抜け出して自主練がしたい。
野手のステータスが見れるようになった今は特に。
「おいっ、ちょっと良いか?」
御手洗がコソコソと俺に話し掛ける。
「どうせ、大杉もこの後抜け出して自主練するつもりなんだろ?」
「あぁ、そうだよ」
「なら、一緒に行こうぜ。2人なら見つかった時のリスク分散出来るし」
そう言われて、俺達は食事の後の自主練の計画を立てた。
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