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winner or loser〜恋愛野球ゲームに転生したけど、モブだったので野球に集中します〜 リメイク前  作者: 風野唄


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第089話 辛い時染みる優しさ

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

学校のある朝になると忙しい。

朝練をしてから普通に授業を受け、また放課後になると練習へと向かう。

この生活にも大分慣れて来たけれど、今日は異様に疲れを感じていた。

何故だか体が重い。

それに頭が揺れるような感じも。


ベッドの上から起き上がるのにも苦労する。

俺は今、本当にベッドの上にいるのか?

いつもと違う状況すぎて、夢であって欲しいと願うレベルだ。


二郎(じろう)ちゃーん、もう朝だよー」


下の階から母の声が聞こえる。

それには気付いているけど、声が出ない。

その時にようやく寝起きの頭が冴え出して気付いた。

今、俺は風邪を引いているのだと。

だから、こんなにも体がしんどいのだ。


部屋がノックされる。

恐らく、起きてこないので母がわざわざ部屋まで起こしに来てくれたのだろう。

ノックをしても尚、返事がないことでまだ寝ているのかと思った母はゆっくりと部屋を開ける。


「起きてるの?二郎ちゃん、大丈夫!?」


明らかに体調の悪い顔を見せるとようやく状況を理解したらしい。

ここからの母は心強かった。

一瞬、焦った様子を見せたが、冷静に熱を確認。

熱があるからなのか、母の手がひんやりとして少し落ち着く。

その後、学校への連絡や頭痛薬、いつでも取れるように水を置いてくれたりと看病を始める。


「お母さん、下にいるから何かあったら、携帯ですぐに知らせるのよ?」


一通り済ませると部屋から出て行った。

安静にさせるために気を使ってくれたのだろう。

あぁ、体調管理を怠ってはいけないなんて当たり前のことなのに。

今日も当たり前にみんなと練習して、帰った後も自主練とかするつもりだったんだけどな。

こうしている間にも他の奴らは朝練頑張ってるんだよな。

情けない話だ。


風邪でメンタルも弱っているらしく、弱音ばかりが出てくる。

これ以上起きていても良くはならないので、もう一度眠ってしまおう。



次に目が覚めたのは時計が13時を過ぎた辺りだった。

薬を飲んだおかげなのか、朝と比べると体調が良い。

だけど、トイレに行くので精一杯だ。


トイレを済ませて、部屋に戻ると沢山のメッセージが届いていた。

主に野球部のメンバーが心配でメッセージを送ってくれている。

その他にも小鳥遊(たかなし)や意外にも宇佐美(うさみ)まで。

弱っている状態でこんなに優しくされたら涙腺が崩壊して、涙が止まらなくなるだろ。


一件、一件に目を通して返信をする。

体調が悪くてもこれは絶対にしておきたかった。

その後に母からご飯はいつでも食べられる様にしているというメッセージを見て、持って来て欲しいと返す。

朝は結局何も食べずに寝てしまったので、体調が悪くてもお腹が空いていた。


部屋をノックする音が聞こえる。

朝の時より気遣いの感じられる優しくノック。

声を少しは出せるので、振り絞り入って良いと伝えた。


「大丈夫?熱は下がって来た?」

「体温は測ってないけど、大分楽になったよ」

「これ食べて安静にするのよ」

「ありがとう、母さん」


いつもは元気な母さんも心配が勝っているので静かだ。

余計なお喋りもする事なく部屋で出て行った。


卵粥を一生懸命に冷ましながら食べる。

風邪の時こそしっかりと食べなければと思い完食する。

優しい味が心に染みるな。

ご飯を食べてしばらく携帯を触っていたが、その内また眠くなって来て瞼を閉じた。



眠りについてから何時間経っただろうか。

風邪の時って、睡眠時間が多くなるから時間の感覚がおかしくなるんだよな。

それにしても少し外が騒がしい。

こんな時に誰か来客でもいるのか?


ノックが聞こえる。

たまたま起きていたので返事をした。


「お邪魔しまーす」

「ゴホゴホッ!なんでいるんだよ」

「そりゃー、心配だったからついつい」


目の前にいたのは莉里(りり)だった。

なんで俺の家知ってるのかも気になるし、部活はどうしたのかも気になる。


「あ、お母さんにはやんわりと止められたんだけど、どうしても会いたいって言って上げてもらったの。迷惑だと思うけど、本当に心配で」

「熱の1つくらい誰にでもあるよ。大分調子も良くなったし、明日には登校出来ると思う」

「良かったー、重いやつかと思った」

「重いやつなら尚更入ったらダメでしょ」


それくらい心配してくれているというのは伝わった。

配布物などを渡した後に、心配そうに俺の様子をずっと確認する莉里。

普段なら止まらないぐらいの勢いで話しかけてくるのだが、今日は俺が風邪だから気を遣っているのかもな。


「学校、どんな感じだった?」

「みんな心配してたよ。メッセージめっちゃ来てたでしょ?」

「本当に驚いた。まさかあんなにメッセージが来るとは」

「それくらい人気者ってことだよ!」


そうだと嬉しいけど、上には上がいる。

同じクラスでももっと人気のあるバスケ部の奴とかいるし。

心配してくれたのは殆ど同じ部活の奴らだ。

嬉しいけど、狭く深くって感じだな。


その後は今日会ったことを一通り話してくれた。


「これ以上長居するとゆっくり休めないだろうから帰るね」

「ありがとう。元気貰えた」

「ずるいよ、アタシのワガママで来たのに感謝するなんて。明日元気になったら沢山喋ろうね!バイバイ!」


朝と変わらない部屋の中なのに、目覚まし時計の針の音が良く響いていた。

明日からは普通に登校出来る。

今日1日練習出来なかった分は、明日以降で少しずつ取り返さないといけない。


寝てばかりいたので身体が重い。

体調も良いので、身体を起こしてトイレへ行く。

少しくらいは動いても問題ないだろ。


1階にしかないトイレを目指して歩き出すと、母と遭遇する。


「お友達沢山いるみたいね。あの子から聞いたわ。」

「うん、良い奴らばかりだよ」

「本当に安心した。学校が楽しそうで」

「まさか色々学校の話聞いた?」

「沢山聞いちゃったわー。あの子との関係もね」


おっと、これ以上は詮索されたら面倒だ。

俺はとりあえず何も言わずにトイレへと逃げ込む。

まだ病み上がりの状態で母のいじりを聞くのは耐えられない。


トイレを終えてから母に捕まらない様に2階へ。

そして、ベッドに入ると何もない時間を過ごす。

熱も下がって来たし、する事もない。

かと言って今日は練習する訳にもいかない。


どうしようかと迷っていると携帯で1つの情報が目に止まった。


「まじかよ、嘘だろ」


これが本当なら大ニュースだ。

いや、本当だからこんなにも大々的にネットニュースになっているのか。


村本(むらもと)忠嗣(ただつぐ)、現役引退!?原因はデビルス戦での腕の故障か?今後の動向に注目]


SNSでは日本だけでなく海外でも引退を惜しむ声が挙げられている。

あまりにも早い引退に俺も驚いているが、怪我の具合によっては仕方ない。

前に日本に帰って来たのも何か関係があったのか?

明日はこの話題で持ちきりだろうな。


携帯をそっと閉じた。

ネットニュースで感情が大きく揺れ動かされて体調が再度悪化してはいけない。

そのまま目も閉じて何度目かの眠りについた。

ご覧いただきありがとうございました。

よければ評価、ブックマーク、いいねお願いいたします。めっちゃモチベーションに繋がりますのでどうか、どうか!!!

あ、毎日21時投稿予定です。

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