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第083話 私、女優だもの

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

俺は今、出来る限りのオシャレと背伸びをしてお金を下ろした財布を持って集合場所で待っている。

時刻は11時30分丁度。

待ち合わせの11時から30分も過ぎている。

このまま帰ってしまおうか。

そう思ってしまうぐらいには待っているな。


そもそも相談して来た本人が来ないって何事だ?

遅刻するなら一報くれたって良いだろ。


「悪いわね。少し仕事が長引いて」

「仕事あったなら、無理に今日じゃなくても」

「良いのよ、軽い打ち合わせだから」


どうやら仕事終わりだったらしい。

格好も心なしか大人っぽく見える。

しかし、宇佐美とは分からない様に変装も忘れていなかった。

だから、余計にいつもとは違う印象を受ける。


ここから1日だけ付き合っている演技をすれば、良いらしいけどプランとかは一切立てていない。

宇佐美(うさみ)本人が任せてと言っていたからだ。


「それで、その新人俳優ってのはどこに?」

「あんまりジロジロ見ると怪しまれるけど、あそこに隠れてるわ」


視線だけで居場所を教える宇佐美。

確かにその視線の先には、一般人とは違うオーラを放つ男が1人物影からこちらを監視していた。


「あれが言ってた奴か。本当に納得してくれると良いんだけど」

「そんなの大丈夫に決まってるじゃない」

「その自信はどこから来るのか気になるよ」

「だって私、女優だもの」


根拠にならない自信と共にデートをするという演技が始まった。

宇佐美は携帯を取り出してメモ機能を確認している。

今日のプランをしっかり考えて来ているのだろう。

演技とはいえ、そこまでしてくれると少し嬉しい気持ちになる。


「色々考えてるんだね」

「当たり前じゃない。折角の休みなんだから、楽しまないと損じゃない」

「まぁ、そうだよね。俺も最近練習ばっかだったし、オフを満喫するか」

「ちょっと。今日は私の行きたい場所に付き合ってもらうんだから」

「分かってるよ」


そこまで念を押さなくて俺には何もプランはない。

街の中を何も迷う事なく淡々と進んでいく。

道中は会話が無いのも不自然かと思い、色々と世間話を試みる。

結局、1番の盛り上がりを見せたのはパペモンの話題だったけど。


パペモンの話になると人が変わったかの様に饒舌になるんだよな。

その時だけはいつもの大人っぽい宇佐美とは違って、年相応の女の子って感じがする。

いつもは冷たい表情ばかりの宇佐美が目を輝かせているのを見ると良い意味でギャップを感じてしまう。


「あったわ、ここよ」


最初に着いたのはパペモンコラボカフェ。

メニューや内装がパペモンで溢れていて、メニューの一部には頼むとグッズが付いて来る物もある。

デートというより、プライベートに付き合う友達感が強いのではないかと思ったが本人は楽しそうだし良いか。


飾られたパペモンの置き物と写真を撮る。

宇佐美1人で写って、俺が撮っている構図だ。

それを見た店員がフラフラとやって来た。


「彼氏さんも一緒にどうぞ!私がお撮りいたしますので!」


店員さんがグイグイと宇佐美の方へと俺を押し付ける。

ここに来て急接近する距離。


「貴方、意外とウブなのね。今は彼氏役なんだから、もっと近くに来なさいよ」


意外と積極的になる宇佐美。

俺の腕に抱きついて来る。

女優になるとこれぐらいでは動じないようだ。

俺だけの鼓動が早くなっただけ。


店員から携帯を返してもらうと、早速撮ってもらった写真を確認する。


「悪くないわね」

「可愛いもんな、パペモン」

「あら、そこは私も褒めるべきじゃない?」

「はいはい、宇佐美も」

「知ってる」


非常に腹が立つけど、可愛いと思ってしまう自分も悔しい。

そんなやり取りをして席に座ると俺なんて眼中にも入らず、メニュー表を取り憑かれたように見ていた。

その間、俺はメニュー表が見れていないので宇佐美と同じ物を頼むことにする。


「私、バラードバードのオムライスとNOウサギのイチゴジュースにするわ」

「俺も同じので」

「いいえ、貴方はピクニックピッグのハンバーグと寝転び猫のオレンジジュースよ」

「え?俺のまで決めたの?」

「食べられない料理ではないでしょ?」

「まぁ、そうだけど」


店員を呼んで、俺が注文をした。

声を聞かれると店員にバレる可能性があるので仕方ない。


料理を待ってる間も楽しみなのが伝わってくる。

本来の目的なんてとっくに忘れているだろうな。

いつもは仕事で忙しいだろうから、偶にはこんな日も必要か。


「お待たせいたしました」


10分くらい経過した所で料理が運ばれる。

見た目だけでなく、匂いからも楽しませてくれるほど美味しそうだ。

結構、お腹が空いていたので早く食べたいが止まらない宇佐美の写真撮影。

勝手に1人で食べ始めるのは違うし、待つしかない。


「グッズも開けたいけど、まずは食べましょうか」


ようやく食べることになった。

可愛い見た目のハンバーグを食べるのは心苦しいけれど、本当に美味しかった。


「さて、グッズでも開けてと」


待ちきれなくなった宇佐美がグッズの開封を始める。

俺も合わせて開封した。

どちらもキーホルダーが出るタイプのやつらしい。

コレクションの趣味がある訳ではないけど、こう言ったのを開ける瞬間はワクワクする。


「私はペアベアーね」

「俺はひよっこヒヨコだ」


ひよっこヒヨコの名前を聞いた瞬間、宇佐美の耳がピクリと動く。

成程、きっと宇佐美の推しはひよっこヒヨコなのかも知れない。

まぁ、見た目が可愛いし気持ちは分かる。


「そういえば、貴方ペアベアーが好きって言っていたわね」

「よく覚えてるね」

「当たり前じゃない。私、パペモンの話は忘れないもの。それで良ければ、交換しない?」

「良いけど」

「本当!?良かったー」


いつもより素直な反応の宇佐美。

完全にプライベートだとこうなるのだろうか。

支払いを済ませて、店を出る。

しかし、まだパペモンに心奪われているらしくひよっこヒヨコのキーホルダーを眺めている。


「次、どこいく?」

「コホン、勿論次の場所も決まっているわ。行ってみたかった場所があるの」


そう言いながら連れて来られたのはゲームセンターだった。

まさか、宇佐美がゲーセンに興味があるとは思ってもいなかったな。


「ここがゲームセンターね。普通、みんなは何をするの?」

「クレーンゲームとかアーケードゲームだよ。って。もう話聞いてない」


クレーンゲームの方へと一直線の宇佐美。

元から話を聞くつもりなんてないようだ。

パペモンの巨大なぬいぐるみを食い入るように見ている。


「これクレーンゲームよね。あれって、自分で取らないといけないってこと?」

「そうだよ。お金払って店員から買い取るとかは出来ないからね」

「分かってるわよ、そのくらい。でも、私やったことないから取って」

「俺?俺もそんな上手くないぞ」

「今は彼氏役なんだから、スマートに取りなさいよ」


そんな無茶苦茶言われても困る。

お金だってそんなに持って来た訳じゃないのに。

でも、確かに取ってやった方がカップルみたいに見えるか。

こうして、俺とクレーンゲームの熱い攻防が始まった。

ご覧いただきありがとうございました。

よければ評価、ブックマーク、いいねお願いいたします。めっちゃモチベーションに繋がりますのでどうか、どうか!!!

あ、毎日21時投稿予定です。

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