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winner or loser〜恋愛野球ゲームに転生したけど、モブだったので野球に集中します〜 リメイク前  作者: 風野唄


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第082話 自信に満ち溢れた交渉

誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。

面白いと思っていただけたら評価やコメントお待ちしております!

試合の終わった次の日も普通に授業はある。

疲れの残った俺達は眠気と戦いながら授業を受けていた。

最初にだけは脱落するものかという意地で起きている。


「ねぇねぇ、あれ見てよ」


わざわざ後ろを向いてまで俺に報告する小城(こじょう)

でも、その指を指した先では意外にも竜田(たつた)が眠っていた。

1番最初に寝るのは誰か気にはなっていたが、まさか竜田とはな。


「まぁ、仕方ないよな。アイツも昨日の試合頑張ってたし」

「そうだよねー。もしも、アタシだったら9回まで打って守って走るなんて出来ないよ」

「意外と体力ありそうだけど」

「全然だって」


そんな話をしていると俺と小城の間に授業をしていた教師が立っている。

それに気付いた俺は気まずいので苦笑いするしかなかった。

でも、そんな誤魔化しが聞くはずもなく普通に注意されてしまった。

相手が優しめの先生だったから良かったけど、厳しい先生だったら殺されていたな。

寝ていないからと言って油断してはならない。


チャイムが鳴ると同時に竜田も起きる。

普段なら寝ていたことを茶化しに行くのだが、そんな余裕は無かった。

少しでも睡眠の時間を稼ぐべく、自分の腕を枕にして眠りについた。


「ねぇ、ちょっと起きて」


しかし、このタイミングで珍しく話しかけて来る宇佐美(うさみ)

無視しようかとも思ったが、珍しく話しかけて来たこともあって内容が少し気になる。


「起きてるけど?どうしたの宇佐美」

「いや、その、・・・貴方にお願いがあるのよ」

「お願い?ハンカチなら全然探すけど?」

「もう無くさないわ。大事なハンカチなんだから。って、そうじゃなくて違うお願いよ」


このパターンは面倒事になるパターンとしか考えられない。

でも、足を踏み入れてしまったからには聞かないという選択肢はどこにもない。


「で、その内容は?」

「ここでは話しにくいの。ちょっとついてきて」


教室で話せないとなると怪しさが増す。

宇佐美の後を渋々ついていくと、屋上へと繋がる階段まで連れて来られた。

人に聞かれたくないとは思うがここまで徹底するとは。


誰も周りにいない事を確認した宇佐美。

だけど、話し始めるまでには時間が掛かる。

まだ次の授業もあるので手短に済ませたいのに。


「私ってよくモテるのよ」


なんだこの始まり方は。

俺はお願いがあると言われたから来たのに、自慢から入ったぞ。

しかも、モテると言われても反応に困る。

そうだろうなとしか思わないだろ。


「それは学校だけじゃないわ。業界の人もそう。全員、私を見ると欲に塗れた汚い視線を送ってくるの」

「で?話の内容は?」

「もうちょっと待ちなさいよ。それでとある新人の俳優から執拗以上に言い寄られてるの」

「だったら、マネージャーに相談すれば?」

「その新人が結構バックが大きいのよ。下手には注意出来ないわ。だから、私を諦めてもらうしかない訳」


ここまでは話の流れを理解した。

だけど、純粋な疑問がある。

諦めてもらう為に俺が必要な事があるか?

全く持って思い付かないけど。


「それで貴方の力を借りたいの」

「俺にどうしろと」

「私と付き合いなさい」


・・・はい?

俺の耳がおかしかったのだろうか。

あぁー、分かった。

どこか必要な物の買い出しに付き合えという事か。

驚かせてくれるな宇佐美も。


「言っておくけど、あくまでもフリよ、フリ」

「そんなのは分かってるけど、出来る訳ないだろ!」

「あら?なんで?私は演技得意よ?」

「宇佐美は得意でも俺は違う。すぐにボロが出て終わりだ」

「試してみないと分からないでしょ?それに貴方にしか頼めないのよ」

「なんで?」

「私、男の友達が貴方しかいないもの」


友達として認定されたのを喜ぶべきか。

面倒な相談が舞い込んで来たことを悲しむべきか。


「俺、練習とかあって忙しいんだけど」

「私だって忙しいわよ。だけど、彼がしつこいから仕方無くよ。彼氏を見せてくれたら納得してくれるって。そこは変に律儀なのよね」


確かに宇佐美自身がそもそも忙しいか。

そこを引き合いに出すのは難しいと判断した俺は別の切り口を探す。

絶対に回避しないといけないと俺の第六感が叫んでいるから。


「そもそも、俺にメリットがないだろ」

「あら?私と役でも付き合えるのがメリットでしょ?」


コイツ、憎たらしいな。

まぁ、強ち間違いではないのが余計に。


「バレたらどうする。ぎこちなくてバレる可能性はあるだろ」

「確かにそうね」


ここでようやく認めてくれたか。


「貴方、私と違って演技下手そうだもの」

「おい。否定はしないけど」

「まぁ、その辺は安心して。普通に遊んでいれば勘違いするわ。あっちはそういう関係だと思って見て来るんだから」


悲報、逃げ場をどんどん失う。

これ俺が何か言うだけで不利になっているような気がする。


「降参。やれば良いんでしょ、やれば」

「てっきりやらせてくださいと懇願してくるのかと思ったんだけど」

「そんな訳ないだろ。今から考えただけでも気苦労する」

「ふふっ、冗談よ」


冗談に聞こえないっての。


「話はそれだけよ。後は、こっちからメールで細かく指定しておくから部活の日だけメールで送って来なさい」


俺だけをこの場に残して先に教室へ戻っていく。

部活の日を避ける配慮はしてくれるのに俺の気持ちは汲み取ってくれないのかよ。


そろそろ授業が始まるので、俺も教室へ戻ることに。

後数分しかないけど、ゆっくり休むか。

そう思っていると目の前の席の小城がぐいっと体を寄せて来た。

何を言い出すかは大体分かる。


「ねぇー、さっき何の話してたの?教えてよー!」

「まぁ、そんな大した事じゃないよ」

「えぇー、それなら尚更教えてよ」

「プライベートな事だからダメだって」

「けちー!気になるじゃーん!」


駄々をこねられても勝手に喋る訳にはいかない。

授業が始まるまでこの押し問答を繰り返す羽目になった。

チャイムが鳴るとようやく諦めて前を向いてくれる。


授業は始まってしまったが、これでようやく色々な考え事から解放される。


「ん?なんだ?」


俺の机に投げ込まれた丸め込まれた付箋。

その中を開くととても綺麗な字で、


あの事誰かにバラしたら、生きて帰れると思わないでね?


と書かれていた。

背中からは凄まじいプレッシャー。

全く話さなかったのに何故か釘を刺されている。


こんなイベントは知らないので、不安要素が多い。

せめてステータスに直結するなら喜んだけど、恐らくそうではないだろう。

多分だけど、俺にとってのメリットは少ない。


巡り巡って、宇佐美を口説こうとしている新人俳優が憎い。

1度会って直接文句を言ってやろうか。

いや、待てよ。

それだと彼女にちょっかい掛けられて怒りに行く彼氏みたいなムーブじゃねーか。

余計話がややこしくなりそうだから一旦無しで。


変な事を考えていたお陰で、眠気はさっぱりと消えていた。

授業には一切集中出来ていなかったので、寝ているのと変わりなかったけど。

ご覧いただきありがとうございました。

よければ評価、ブックマーク、いいねお願いいたします。めっちゃモチベーションに繋がりますのでどうか、どうか!!!

あ、毎日21時投稿予定です。

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