第061話 旅立つその日まで
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「これどう使えば良いんだ?」
俺は今、非常に困っていた。
前回、金狼から買った黒水晶。
これの使い方が全く分からないのだ。
360度回転させて見るが、どうやっても俺の経験値がどのくらいなのか確認出来ない。
かれこれ10分くらいはこの作業で止まっている。
「どうしたもんかな。って、やべっ!」
くるくると回転さてみたりしていたら、思わず手から滑り落ちてしまった。
大事な黒水晶が割れてしまったら大変だ。
必死に割れてしまうのを防ごうとするが時既に遅し。
地面に落ちる方が早かった。
割れてしまった水晶球を見て、片付けるが大変だなという印象しか出てこない。
そんな時、いきなり眩い光を放つ破片達。
俺は何事か一瞬分からなかったが、まさかこれから始まるのか?
【黒水晶を使用しました。経験値の開示をします。】
球速:130キロ 120/390
制球:37 269/370
持久:36 280/360
変化球:ツーシーム 2 42/200 、チェンジアップ 1
84/100 、フォーク3 257/300 、メテオフォール 3 140/300
後ろについている分数が経験値だ。
全体的には俺の計算よりも多少経験値の溜まりは良いみたいだ。
後少しで能力値が上がりそうな物もちらほら。
しかし、残念な事に決め球であるメテオフォールはまだまだ時間が掛かりそうだな。
ここから波王山戦に向けての育成方法を考える必要がある。
球速か変化球、どちらかに的を絞って育成に移った方が良い。
悩みに悩んでいると1本の電話が入る。
相手は誰からだろうと思ったら、小鳥遊からだ。
今は既に日が落ちた夜の時間。
こんな時間に電話が来ることは今までに1度も無かったので慌てて電話を取った。
「もしもし」
『もしもし!ごめんねこんな夜中に電話掛けちゃって』
「いや、俺は全然問題ないよ」
『そろそろアタシの声が聴きたくなったかなーっと思って電話したんだー!学校ではそんなに話す機会ないし』
本当かどうか分からないような冗談を言う小鳥遊。
嘘だったにしても心臓に悪いからやめてほしい。
『そういえば噂で流れて来たんだだけど、舞葉ちゃんと小城ちゃん。どっちと付き合ってるの?』
「付き合ってないから!誰とも」
『やっぱり嘘だったんだ。なんか信じられないと思ってたんだよね』
「それって俺に彼女が出来る訳ないみたいに聞こえるんだけど」
『あはは!そうじゃないよ!彼女はいないよねって直感的に思っただけ。まぁ、少しだけいないで欲しいって思ったアタシもいたかも』
どっちの意味だろうか。
いや、それよりも気になるのは噂の方だ。
誰が流しているのかは知らないが、他のクラスに流れてしまっているのか。
対策しようにも手段がないので、今後もそういう噂は流れることになるだろうな。
厄介な事にならなければ良いんだけど。
『そうだ。今日電話したのはさ、直接会って話したい事があったからなんだよね』
「直接会って話したいこと?」
『そう!いつもの場所で待ってるから』
「いつもの場所って・・・切れた」
いつもの場所というのは心当たりがある。
だけど、もっとちゃんと言ってくれても良かったのに。
それに直接会って話したい事とは何だろうか。
心当たりが全く無いので少し怖い。
しかし、待たせる訳にもいかないので、軽く着替えて外に出た。
そして、いつもの場所と言っていた公園へ向かった。
俺と小鳥遊がよく会っていた場所だ。
だから、恐らくあそこにいるのではないかと思う。
いなかったら、また電話掛かる事になるけど多分大丈夫だよな。
「あっ!やっと来たよ!」
「早いな。まさか待ってた訳じゃないよね?」
「うーん?そのまさかぁー。ここから電話してたんだよね」
「夜中に女の子1人は危ないって」
「大丈夫、大丈夫!自主練してたついでだから」
大丈夫という理由になっていない気がするのは気のせいだろうか。
いつも真夜中に練習をしていたのは知っていたが、普段も大丈夫なのか心配になって来た。
小鳥遊は自分が思っている以上に人気がある。
こんな夜中に1人でいれば、変な奴も寄ってくる可能性も。
「それで?直接会わないといけない用って何?」
「そんなに急かさないでよ。折角、久しぶりに話せてるんだしゆっくり話そうよ」
「小鳥遊がそう言うなら」
「それで勉強の方はどんな感じなのかな?」
ニヤニヤとしながら小鳥遊は聞いてくる。
どうせ、俺の事を甘く見て赤点ギリギリラインだと思ってんだろ。
残念ながらそんな事はない。
絶対に高い点数を取れるとまでは言わないが、必要最低限の点数は確実に取れるはずだ。
「どうって言われてもそれなりにって感じだよ。そっちこそどうなの?」
「アタシは微妙かなー。気を抜いたら赤点かも」
「なんか想像出来る」
「ちょっとー!酷いよー!」
小鳥遊は笑っていた。
本当にこの会話を楽しんでいるみたいだ。
でも、俺は本題が気になって気になって仕方ない。
わざわざこんな時間に呼び出すくらいだ。
よっぽどな話なのではないだろうか。
会話はまだまだ続いた。
勉強の事に始まり、学校の事を中心的に。
そして、最後にようやく本題に入る。
「さて、そろそろ本題が気になって仕方ない君の為に話そうかな」
「正直、それを待っていた」
「本当に正直過ぎるよ。少しはアタシとの会話も楽しんでくれたって良いじゃん」
「いつもは楽しいけど、状況が状況だからさ」
「安心してよ。そんなに重たい話じゃ無いから」
敢えてそんな前振りをされると余計に心配だ。
逆に何かあるのでは無いだろうか。
疑いたくもなる。
「ちょっとした話なんだけど、誰かに話したくなって」
「俺で良かったのか?他に候補は色々いたと思うけど」
「ううん、二郎に聞いて欲しかった」
音が止まった。
少しだけ躊躇いが見える。
最初は何でもないように見せていたが、やはり重たい話なのだろうか。
「アタシ、2年生になったら留学することにしたの。アメリカの学校。アタシ英語とか苦手だから不安だよ」
「留学ってそれ本当なのか?」
「まだ当分先だけどね。誰かには言いたくなって、二郎には言っておいたの」
どうやら俺が最初に聞いたらしい。
話の内容は俺にとって重要な話題だった。
ずっといると思っていたヒロインの脱落。
それはあまりにも衝撃的だ。
「俺が止めることは出来ない。・・・だけど、寂しくなるな」
「あははは、寂しいなら毎日電話でもしてあげようか?」
「そんな冗談が言えるくらいならそっちは大丈夫そうか」
もっと重たい空気になるかと思ったが、意外に本人はケロッとしている。
それくらい留学することに対して覚悟が決まっているのだろう。
でも、俺としては寂しくなる。
彼女とはそれなりに交友関係を築いて来たつもりだ。
当分先とは言っているが2年生なんてあっという間。
気付けば、時は過ぎている。
「頑張れよ。俺、応援してるから」
それが今掛けられる精一杯の言葉だった。
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