第059話 大き過ぎる後ろ盾
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夜中に街を出歩くのは控えたい。
しかし、今回は仕方なく街へと向かっていた。
理由はたった1つ。
金狼から買いたい物があるからだ。
街の外れにある細くて薄暗い路地裏を進む。
その奥には裏市場と呼ばれる市場がある。
いつも金狼が商売をしている場所だ。
ほとんどが非合法な物ばかりで警察が来れば、即逮捕だろう。
だけど、警察は来ない。
ここの裏市場には強力なバックがいるからだ。
闇を恐れる正義とは何とも情けない話だが、相手が相手だからな。
俺もそんな場所の物を買おうとしているなんて犯罪者なのではと思うかも知れないが、金狼は法に触れた物を売らない。
奇妙な物ばかりなのは間違いないんだけど。
裏市場の商人達は明らかに裏の者ではない俺を怪しんでいた。
警察の調査か、迷い込んだ一般人か。
その判断は慎重に行わなければならない。
「何をしているお前」
俺の名前を呼ばない様にしている。
その辺はここが表の世界とは違うのだと感じさせる。
本人も金狼と名乗ってるくらいだしな。
「何って貴方を探しに来たんですよ。買いたい物があったので」
「あの女から連絡すれば良かっただろ。わざわざここに足を踏み入れるなんて。それにここの場所も当然の様に知っていたんだな」
「えぇ、それよりどうでしたか。万年・・・」
「馬鹿野郎、その話はここでするな」
すぐに拳銃を取り出して俺に突きつける金狼。
ただの世間話程度のつもりだったのに、ここまで怒られるとは。
どこで誰が話を聞いているか分からない状況であの話をするのは迂闊だったとは思うけど。
脅しの為のエアガンとはいえ、目の前で突きつけられると怖いな。
「言っとくがこれはオモチャではないからな」
そう言いながら拳銃を下ろした。
・・・では、何故俺に向けたのですか?
引き金引かれたら終わりだったんですけど。
そういう事が当たり前に行われているとかでは無いですよね?
「それで?買いたい物はなんだ。さっさと買って街へ戻れ」
「そんな冷たい言い方しなくても。えっーと、欲しいのは黒水晶ですけど、ありますか?」
「占いでも始めたのか?あるけど、在庫捌けなくて困ってたんだ。欲しければ安くで売るけど」
「2個で良いですよ。そんなに今はいらないので」
黒水晶は便利ではあるんだけど、何回も何回も使う様なアイテムではない。
本来は見えないステータスの経験値が使用した時点でどのくらい溜まっているかを1回だけ見える様にしてくれるアイテムだ。
次のステータスアップまでの必要経験値が分かる他に、2個買う事でその時行っている練習でどれだけの経験値を得られているか数値化して確認出来るメリットがある。
1つが5000円くらいなので、沢山買えるけれど数が必要な訳ではないので2つぐらいにしておく。
「用件はそれだけか?それならさっさと帰った方が良い。情報では今日は」
「ねぇねぇ、おにぃさん。ここの人にしては若いね」
ん?かなり低い位置から声が聞こえる。
何事かと思い、下を見てみると小さな女の子が立っていた。
ぱっと見た感じは小学生でも無いような感じがする。
こんなが夜に外をうろついているなんて危険だな。
ましてや、ここは裏市場だぞ。
「どうしたの君。親御さんとかはどこかな」
「おい、そのお嬢さんは」
「えっーとね、じぃじと一緒に来たんだけど、はぐれちゃった」
「そうかそうか。じゃあ、一緒に探そうか」
「うん!」
金狼は何か言いたそうだったけど、こんな幼い子を1人で放置しておく訳にもいかないだろ。
早く保護者の下へと連れて行ってあげないと。
「おい、若僧。人の孫連れてどこ行く気だ」
声に釣られて、後ろを振り向くと1人の大男が立っていた。
身長は下駄も合わせて2メートルぐらい。
和服に白い髭が特徴的だ。
まさかこの人は。
名前や特徴だけはゲームに出てくるキャラ。
そして、誰もが恐れ慄いていたキャラ。
「その子がこの俺、土方範海の孫だと分かって誘拐しようとしてんのかって聞いてんだ」
「じぃじ、なんで怒ってるの?」
「おぉー、俺の天使。こいつがな華の事を連れ去ろうとしていたからだな」
土方は怒りながらも孫の華を抱きかかえた。
俺の時とは違って声のトーンも高い。
孫には甘々なのが伝わってくる。
「めっ!おにぃさんは華のこと助けてくれただけなの!」
「何ぃー、助けた?そいつは本当か?」
鋭い眼差しで俺を見る。
少し怖いが悪い事はしていないので本当の事だけを答えよう。
「助けたというつもりはありません。子供が1人でいたので当たり前の様に保護者の方を探そうと思っただけです」
「おい!今は、助けようと思ったと言えば良いんだ」
焦った金狼が止めに入るが、生憎嘘は付けない。
あれはごく自然に行おうとしたまでのこと。
助ける部類には入らない。
「かぁー、こんな綺麗な心の奴がここにいるとはな。おもしれぇー。さっきの非礼、ここに詫びる」
深く頭を下げる土方に俺もどうすれば良いか分からず戸惑う。
「それでコイツは金狼の連れか?」
「一応、顔見知りという仲ではございます」
「そうか。金狼、これを貰っていけ」
土方が金狼に手渡したのは家紋の入ったペンダント。
あれを渡したという事は土方家の直接の後ろ盾があるという事を意味する。
今後、ここで商売をする上でそれがどれだけの効果があるのかは言うまでも無い。
「それで、お前さんは何が欲しい。欲しい物を何でもとは言わないがやるぞ」
うーん、欲しい物は沢山あるが、この人が出せる物は少ない。
だからと言って直接金を強請るのもな。
「欲しい物は声援ですかね。俺、野球してるので声援があれば嬉しいかも知れないです」
「わぁー!華、ぜっーたいおにぃさん応援する!」
「カッカッカ!面白いぞ、面白い!名前は?」
「ここで名乗るのは・・・」
「安心せい。良からぬ輩がいたら俺がどうにでもしてやる」
「大杉二郎、環成東の投手です」
そうかそうかと頷く土方さん。
表立って応援する様な事はないと思うけど、きっと陰ながら応援してくれるだろう。
「ねぇー、二郎おにぃちゃん。今度会ったら華と遊んでくれる」
土方さんから降りて来て、俺の方へと近付いてそう質問する華ちゃん。
今度というのがいつになるか分からないけど、また会った時には是非とも遊んであげたい。
だから、俺は屈んで華ちゃんの身長に合わせてあげてから、頭を撫でてあげながら答える。
「また会ったら絶対にね」
「えへへ、約束だよ!」
ニッコリと笑顔を浮かべる華ちゃん。
俺は決してロリコンとかでは無いんだけど、これには流石に癒しを感じる。
「孫と仲良くすんのは良いけど、変な気だけは起こすなよ」
華ちゃんの後ろで威圧感を放っている土方さん。
頭を撫でていた手をスッと引っ込める。
これ以上は殺されかねないからな。
その後は少しだけ華ちゃんと会話をした後に解散となった。
精神的にも癒された事だし、明日からの練習も頑張るとするか。
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