第056話 ご迷惑をお掛けいたしました
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ゴールデンウィークも終わり、今日からまた学校が始まる。
1週間という短い期間だったにも関わらず、色々とあったせいかガラリと教室の雰囲気が変わって見える。
特に色恋沙汰は。
みんなには黙っているつもりかも知れないが橋渡に彼女がいたり、御手洗を好きな人ってどんな子なのだろうとか。
かく言う俺も大きな変化があった。
「おはよう、舞葉。今日は朝から勉強?」
「おはようございます二郎くん!今日はゴールデンウィーク明けなので小テストがあるので」
「うわー、完全に忘れてた」
舞葉との仲が深まったのは言うまでも無い。
今では互いに下の名前で呼び合っている。
「あぁー、勉強してないんだ二郎。これで赤点取ったらやばいらしいよ」
「そういう莉里は勉強したのかよ」
「いや、してないけど」
莉里との仲も進展があった。
思い出すと顔が赤くなってしまうのでなるべく考えないようにしている。
他の人との進展は・・・
チラッと宇佐美の方を見るがいつも通り誰とも関わらずって感じだった。
あの時に見た笑顔は幻だったのではないだろうか。
「ここのクラスに大杉二郎はいるか?」
普段通りの学校生活はゴールデンウィーク明け1日目にして終わった。
まさか俺の事を生徒会長が探しているなんて。
教室の扉を開けたのは、春林先輩。
入学式の時に新入生に向けてスピーチをしていた人だ。
俺に何の用があるのか気になるが、あれだけ大声で探されているのに出ない訳にもいかない。
こんな大勢の視線を集めて出ていくのは嫌だが、渋々春林先輩の前へと行く。
「君が大杉二郎で間違いないか?」
「は、はい。そうですけど」
「少し話があるので生徒会室へ昼休み来るように。学校側から頼まれた話もあるから遅れる事がないよう頼む。それでは」
コソコソと噂話が聞こえてくる。
あんな人前で言う必要ないだろ。
そのせいで悪い事したと思われている。
学校からの話とかわざわざ言う必要がありましたかね。
俺の後ろから静かに御手洗が近付いて肩を叩く。
お前だけは味方をしてくれるのか。
そんな希望を胸に振り向くと、笑顔のサムズアップから一言。
「ざまぁみろ」
「お前、このヤロー!」
「ふははは!お前は最近美少女と良い思いしてただろ!その罰だ!」
そんな話が許されるはずがない。
俺だって良いのだろうかと思うこともある。
だけど、それだけの理由でこんな罰が下るなら神は理不尽だ。
「はぁっ!待てよ、お前生徒会長と2人きりで話するつもりじゃないだろうな」
「俺が知ったことではないって。もしかしたら、他にも人がいるかも知れないだろ」
「クソーー羨ましすぎる!」
人の話を聞けって習わなかったか。
そんなに羨ましいなら変わって欲しいくらいだ。
昼休みになると言われた通り生徒会室へ直行する。
正直、お腹が空いたので早く昼食にしたかったけれど、生徒会長の呼び出しを後からにする訳にもいかないので仕方ない。
部屋の前に着いた俺は、等間隔で3回ノックをする。
すると中には既に生徒会長がいるらしく返事が来た。
「入ってくれ」
その言葉を聞いて、入りたくはなかったが恐る恐る部屋へと入る。
部屋の中は春林ルートで何度も見掛けるので新鮮味はない。
教員室に置かれている机が綺麗に並べられていて、使わなくなったパソコン室に椅子が置いてある。
そこに1人で座り俺を待っていた生徒会長。
まだ一言しか発していないのに、威圧感がある。
如何にも怒っていますと言っているようだ。
「どうしてここに呼ばれたか分かるか?」
「いえ、全く」
「少しも心当たりはないか?」
「はぁー、心当たりというと?」
俺には話が全く見えなかった。
自分から話させたいからこういった質問をしたのだろうけど、言われないと分からない事もある。
だから、本題を話して欲しかった。
「ゴールデンウィーク中、校内に不審者が入った。服装や背丈、外見等から学生であることは分かったが、調べた所この学校の生徒ではないようだ。ここまでなら、厳重注意で済む。他校の生徒が勝手に入ってしまっただけの話だからな」
ここまでで雷郷の顔がチラつく。
まさかアイツじゃないよな。
そうだったとしても悪い事をしていなければ、生徒会長の言う通り注意で済む。
「女子生徒へのナンパ、校舎へ勝手に入り撮影、無許可で保健室へ侵入、・・・極め付けはこれだ」
机の上に携帯電話を置いて映像を再生する。
『天野宮で投げた駒場じゃない方の奴!出てこーい!てか、グラウンドの場所忘れたー!』
学校の敷地内で叫ぶ雷郷。
コイツ、やりたい放題だな。
会った時も軽い奴という印象を受けていたが、まさかここまでとは。
「調べてみれば、ゴールデンウィーク前に野球部は天野宮と練習試合をしたそうだな。そこで投手として出たのは、駒場、大杉の2名。となると必然的に彼が探しているのは君という事になる」
「お、俺、知り合いじゃないですよ!そもそもこの学生、俺の名前知らないじゃないですか」
「何も怒ろうという話ではない。最終的には相手方の学校に指導するよう呼び掛けたからな」
「では、何故呼ばれたのですか?」
「君も無関係ではない。だから、一応事情聴取みたいな事をしろと先生方がな」
形式上、話を聞こうとしただけか。
紛らわしいにも程がある。
あれだけの問題行動をした奴と知り合いだと思われて怒られるのかと思った。
「彼と話をしたのは確かです。でも、会ったのは本当にその日が初めてです」
「そうか。先生方には私の方から説明しておこう」
意外と軽い事情聴取で終わったな。
わざわざ個別に呼ぶから何事かと思った。
あの雰囲気で呼び出されたら怒られると思うのが普通だろ。
「さて、本題に入ろうか?」
「本題?」
えっ?今の雷郷の件で呼ばれたのではないか?
「最近、君に対する苦情が非常に多い。特に1年からな」
「は、はぁ」
「全部恋愛絡みの苦情だ。妬み嫉みが殆どなのは理解しているが、中には本当であれば看過出来ない内容もある」
うっ、そっちも身に覚えがあるような、ないような。
「恋愛をするなとは言わない。節度ある行動を」
「はい、大変申し訳ございませんでした」
「さぁ、君も貴重な昼休みだ。戻って良い」
申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、生徒会室の扉を開けると、そこに2人の生徒が様子を伺っていた。
「何やってんの。御手洗、莉里」
「ちょっとだけ話が気になってさ、あはは」
「そうそう。だけど、俺は小城ちゃんに誘われただけ」
「あ、ふざけんな御手洗!アタシのせいにすんなし!」
「お前らなー!」
「やべっ、怒り出したぞ!」
「逃げるしかないじゃん!」
呆れながらも一言言ってやろうと思ったら、2人揃ってバタバタと1年教室へ向かって走って逃げ出した。
馬鹿野郎、生徒会室の前でそんなに大きな音を出して走ったら・・・
振り返ると廊下の様子を見に来た生徒会長と目が合う。
2人の姿も勿論見えていたので俺が怒られる事はないよな。
「悪いが大杉、もう少しだけ話をしようか」
何故か走っていない俺が5分近く注意を受けた。
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