第020話 放課後の寄り道は思い切り楽しめ
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「面白そうな話をしていると思えば、こんなに可愛い子と遊びに行くの!?アタシ達も付いて行く!」
いきなり何を言い出すかと思ったら、どうやら放課後の話に混ざりたいらしい。
俺としては何人でも人が増えて構わないが、青屋が大丈夫か心配だ。
ただでさえ、俺達4人と話すのも苦労していたのに。
「俺、大杉を自主練に誘う為に・・・」
「しーっ!ここは涼花ちゃんの話に乗っておいた方が良いでしょ。練習なんて今後沢山できるけど、涼花ちゃんとオフの日程が合うのなんて今日ぐらいなんだからさ」
話は丸聞こえだった。
このクラスに3人がやって来たのも練習の誘いの為だったのか。
駒場は練習の予定がいきなり遊ぶことになってしまって困惑している様子。
だけど、堀枝と小鳥遊はノリノリなので断るに断れないのだろう。
「おぉー!良いね!やっぱり、人数は多い方が楽しいっしょ!」
御手洗が小鳥遊の提案に賛同する。
しかし、人数が多い方が楽しいのはあくまでも御手洗の意見だ。
今回の放課後の件は、あくまでも青屋と仲良くなるという目標がある。
そうなると青屋の意見が重要だ。
この場で本人に直接聞いてみるというのは配慮に欠けているので、メッセージを送っておく。
気付いたタイミングで返信してくれたら良い。
そう思ったが、携帯をすぐに見る青屋。
そして、俺のメッセージに気付いたらしく、一生懸命返信を打っている。
『大丈夫です。ご心配ありがとうございます。こんなに賑やかなのは久しぶりなので緊張しますけど、楽しみです』
どこへ行くかで盛り上がっている横で2人だけのやりとりをする。
『何かあったら言ってよ』
『はい!頼りにしてます!』
頼られる程頼りになる男では無いけど、困っていたら全力で助けるつもりだ。
そうやってメッセージでやりとりをしていた間に色々と決まったらしい。
もうそろそろでホームルームが始まるので、3人は自分達の教室へと戻ることに。
「みんな放課後ぜっーたい遅れないでね!」
最後の最後に念を押しをして帰って行ったな。
元気が彼女の取り柄だけど、今回ばかりは台風の様な騒がしさだった。
そもそも決まった話の殆どを聞けていなかったので、後で竜田からこっそり聞いておこう。
放課後になると、俺達は教室を出て玄関へ向かう。
授業中はあんなに眠たそうにしていた御手洗も、この時ばかりは軽そうな足取りだった。
それにしても、この世界に来てからは野球の練習ばかりしていたので、娯楽に興じるのは不思議な感覚だ。
別に悪いことをしている訳ではないけれど、多少の罪悪感もある。
しかし、交友関係を深めるという意味では重要なイベント。
野球は1人で出来る競技ではない。
チームでの連携を深める為に互いをよく知るのは大切だからな。
「はい、みんな30秒遅刻ね」
「鬼かよ、涼花ちゃん」
「冗談だよ、冗談!ほら、さっさと行くよ!」
今日はカラオケに行く予定だ。
人数が人数だったので、全員が楽しめるのはカラオケぐらいだろうという結論に至ったらしい。
青屋が仮にカラオケが苦手でも、この人数ならトークをメインに楽しむことも出来る。
駅前のカラオケ屋だけど、平日の夕方と言うこともあって部屋は空いていた。
休日だと大体こういう所は満席になる場合が多いので、こればかり学生の特権だと思う。
受け付けを済ませて、今から部屋に向かうタイミングで青屋が口を開いた。
「私、カラオケ来るの初めてです」
「えっ、ホント!?めっちゃ楽しいよカラオケ!」
この話題に小鳥遊が食い付いた。
確かにこの歳でカラオケを一度もした事がないのは珍しい。
興味が湧いて来る理由も分かる。
青屋と小鳥遊は手を繋いで部屋へと入っていく。
それを見た堀枝と御手洗が一言。
「「癒されるー」」
互いにハモったのに気付き、熱い握手を交わしている。
どれだけ似た者同士なんだよ。
「アイツらは野放しにして大丈夫なのか」
ツッコミなのか、本気で心配しているのか分からない橋渡の一言。
俺もハッキリと大丈夫とは言えなかった。
唯一否定してくれそうな竜田でさえ苦笑いである。
部屋に入ると席順をどうするかを探り合う。
みんな口ではどこでも良いと言っているが、カラオケの席選びは意外と重要だったりする。
歌が苦手だったり、飲み物をよく飲む人は端に行くことを勧める。
いつでも逃げられるようにする為だ。
青屋にも端を勧めようと思ったが、小鳥遊に連れられて1番奥の席へと連行されていった。
助けてやりたいのは山々だが、青屋と小鳥遊を挟むように堀枝と御手洗が入ったので俺の立ち入る隙はない。
でも、小鳥遊と一緒なので雰囲気を読んで助け舟を出してくれると信じたい所だ。
竜田と橋渡が同じソファーに座ったので、必然的に俺と駒場が同じソファーになる。
昨日の今日で少し気まずい気持ちもあるが、話し掛けて見ることにした。
「それ何やってるの?」
駒場はずっと野球の硬式球を触っていた。
トレーニングだろうとは思うけど、どんな効果があるのかはさっぱり分からない。
「これか?これは球を握る感覚を常に体に覚えさせてる。毎回投球の時に球が早く体に馴染む様になるぜ」
これが本当なら試してみたい所だけど、三日坊主になる未来が見える。
「なんなら、試してみるか?予備の球もあるからトレーニングになるぞ」
鞄からゴソゴソと硬式球を取り出そうとする駒場。
その動きが御手洗に見つかってしまう。
「こらー、そこ!カラオケでトレーニングしようとするな!」
「えぇー、良いじゃんかよー」
「まあまあ、今日は野球の事忘れてゆっくりしようぜ」
注意を受けた事もあり、球を鞄にしまう。
でも、野球をしない時間がソワソワしてしまうのが、隣にいて伝わってくる。
「さてさて、飲み物を注文しながら早速1曲目歌うぞー!」
「「「おぉーー!!!」」」
1番最初に歌うのは小鳥遊。
慣れた手付きでデンモクを操作する様子から、何度もカラオケを利用しているのが分かる。
数秒もしない内に1曲目を入れると他に予約も無いので、入れた側から曲が始まった。
〜〜♪
小鳥遊が歌っているのは甘く爽やかな青春模様を描いたラブソングだった。
本人のイメージにあっている事もあってか、カラオケ内は盛り上がる。
チラッと青屋の方を見てみたが、彼女も楽しそうにしているので安心した。
その後も順番に曲を入れていく。
青屋は歌が上手いという事実が発覚したと同時に、橋渡は音痴だということも発覚した。
少し揶揄って御手洗がもう1曲歌わせようとしたが、拗ねてしまったのでこれ以上マイクを向けるのはやめておいた方が良い。
ちなみに俺の点数は86点。
あまりにも平凡過ぎる点数だというのは、自分でも把握しているのでお控え願いたい。
途中でトイレに行きたくなった俺は席を立つ。
一瞬、視線を集めたが俺がトイレに行くと察して、すぐカラオケに意識が戻る。
そう言えば、『ダイヤモンドベースボール』のカラオケではあのイベントが起こるんだよな。
ちょっとだけ面倒なイベントを思い出してしまう。
だけど、今回は大丈夫だろうと高を括ってトイレへと向かった。
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