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それぞれの世界

目を開けるとそこは薄暗い地下のようなところだった。

なんでこんなところに、そう思った僕は立ちあがろうと椅子から動こうとした。すると

『ジャラ』

重々しい鎖の音が聞こえ僕は戦慄した。

「なんでこんなものが」

その鎖は僕の腕を厳重に床の突起物と繋ぎ逃げることが出来ないようになっていた。

「もう…起きたんだ」

背後から聞き馴染みのある声が聞こえてきた。

「なんで、なんで君がここにいるの…教えてよ」

















「白石さん」

「…」

「君は警察に捕まったって」

「それは誰から聞いたの」

「坂口先生だよ、坂口先生が君が警察に捕まったって」

「そうなんだ…君には知られたくなかったんだけどな…」

「ここはどこなの、ここから出してよ」

「答え合わせは彼女から聞いて」

そして僕の視界に先ほどまでパフェを食べていた少女が映る

「さっきぶりだね、山田君。いや、ゆう君」

何がどうなってるんだ…なんでこんなところに…これから僕はどうなるんだろう…

そんな不安を遮るように彼女は言葉を放った。

「答え合わせしよっか」

「答え合わせ?」

「そう、答え合わせ。でもまずは邪魔者は排除しないと ね」

そう言いながら笹原さんは白石さん前に立つ。その時今まで見えなかった左手に刃物があるのが見えた。

「白石さん逃げ…」

言い終わる前にナイフは白石さんの腹部に突き立てられた。そこからは真っ赤な鮮血が滴り落ちた。

グチャという音を立てながらナイフが引き抜かれる。白石さんは力無くその場に倒れた。

「白…石さ…ん」

これで準備万端だね。

「準備万端?何を言ってんだお前」

「怖いよゆう君、こいつは殺人犯なんだから仕方ないじゃん」

「その理論だとお前も…というかお前、今まで何人やった?そんな躊躇なく人を殺せるはずない」

「じゃあ聞くけど、ゆう君は今まで何人やった?」

「は?、そんなの0に決まって」

「嘘だね」


「何言って」

「小学4年生の時なんであなたは転校したの、なんであなたの小さい頃の写真がないの、なんであなたは記憶がないの」

「それは交通自己に会って記憶を失って」

「ううん、違う。あなたはそう自分に言い聞かせているだけ。思い出して、本当のあなたを、かっこよかったあの頃のゆう君を」

「本当の僕?」



「小学4年生の時、ゆう君は私と同じ学校に通っていた。その頃のあなたは他の子達と同じ平凡な生活を送っていた、でも、11月30日、ハロウィンの日に事件が起こった。学校に不審者が現れた、その不審者はナイフを持っていて止めに入ろうとした教師たちを切りつけた。私たち子供はその日ハロウィンだったこともあり何かのイベントだと思っていた、バカだよね、そんなわけないのに」

「そんなことが…」

「話はまだここからだよ?その不審者は私たちのクラスにも来て生徒教師構わず殺していった。そこにゆう君が立ち向かった」

「俺が?」

「ゆう君は不審者に動じずにそのナイフを奪い返り討ちにした。何度も何度も、刃を突き立てて、やがて不審者は動かなくなった」

「…」

「その光景を見て私は思ったの」



「やめろ」

「ゆう君は私たちのために体を張ってくれたんだって」


「やめろ」

「不審者を殺して守ってくれたんだって」

「やめろ!」

「大丈夫だよ、私は味方だから。あなたのことはなんでも知ってるし、なんでも理解できる」

「じゃあやめてくれないか」

「やめないよ、思い出してもらうまでは。それとももう思い出した?」


「…」

薄暗い地下で俺は天井を見上げた。

ここはまるで地獄だ、全てが闇に包まれた地獄。しかしその中で真実が光輝く。

「全部…思い出した」

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