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運命の相手

僕の名前は山田 勇気。どこにでもいる高校生だ。

現在遅刻しそうなので走っている最中である。

その時

「わ!」

そんな声と同時に彼女は尻餅をついた。

ここは曲がり道なためギリギリまで先が見えないのである。気づいた時には時すでに遅し、彼女とぶつかってしまっていた。

「すみません」

僕は彼女に謝罪の言葉をかけた、何か返事が返ってくるだろうと思っていた。遅刻寸前の曲がり角でぶつかるなんてこれは運命か!。しかし、彼女は何も言わずにその場を去ってしまった。

正直そりゃそうか、と思った。何も返事がなかったことには少し腑に落ちないが仕方がない。そう思い僕は学校へ走った。

「ギリギリセーフ」

「アウトだよ」

そんなことを言うのは僕の担任の坂口 美里先生。先生はとっつきやすい人でクラスのみんなと仲が良かった。もちろん僕も例外ではない。

「僕がセーフと言ったらセーフなんですよ」

「どこにそんなルールが存在するんだ」

「僕がルールです」

「そんなわがまま言っても遅刻には変わりはないからな」

「僕がセーフと言ったらセーフなんですよ」

「話がループしてるぞ」

教室から笑いが起きる。中には呆れてる人もいる。

少しへこみながら僕は自分の席に座った。こんな会話もなんだかんだ言って楽しい。

「ホームルームを始める。今日はみんなにとってビックニュースがあるぞ」

「ビックニュース?」

先生が言ったその言葉に僕は食いついた、先程まで落ち込んでたのが嘘のように。我ながら単純なやつである。

「今日、このクラスに転校生が来るぞ」

教室からはざわめきが起こった。ざわめきが起こるのも無理はない、何せこの学校は転校生が来るような学校ではないからだ。クラスの数も少なく、隣のクラス全員と顔見知りになるぐらいだ。

「転校生って誰なんだろうね」

話しかけてきたのは隣の席の白石さん。僕の絶賛片想い中の相手だ。

「今日朝来る時にぶつかった人かも」

「えー、その人だったら運命じゃん」

「どうだろうね」

運命か。まあ僕の運命の相手は目の前にいるんだけど…

そうこう話しているうちに転校生が教室に入ってきた。

「初めまして、笹原 桃香と言います。◯◯高校から来ました。仲良くしてくれると嬉しいです」

僕は驚いた、その姿は朝に見た彼女と同じだった。

自己紹介をした後の彼女の屈託のない笑みにクラスの男子は釘付けだった。

「その様子だと、朝に会った子なんだね。それにしても運命かー、ちょっと嫉妬しちゃうな」

「へ、なんで」

「うーん、なんでだろうね」

僕は白石さんが言った言葉に少しドキドキしていた。

そんなこんなで朝のホームルームが終わった。

笹原さんの人気は凄まじく隣のクラスからも男子が一目見ようとゾロゾロ廊下に集まっていた。

正直邪魔である。こいつらのせいで廊下に出るのも精一杯だ、パン買わないとなのに…

お昼になりご飯の時間となった。僕が学校に来ている理由は白石さんに会うのと売店に売っているメロンパンを食べるためなのだ、だから人とはあまりつるまず屋上でいつも1人で食べていた。今日も屋上で食べていたのだがいつもはならないドアの音がしたので僕は驚いた。

見るとそこには笹原さんがいた。笹原さんもご飯を食べに来ただけかと思い僕は何も言わなかった。しかし笹原さんは違うようで、

「いつもここで食べてるの?」

と、話しかけてきた。

「いつもここで食べてるよ、笹原さんはなんでここに?」

僕は心の中で思っていた疑問を聞いてみた。

「1人になりたかったからかな」

「ごめん」

「いいよ謝らないで、先にいたのは山田君なんだから」

「僕の名前知ってるの!」

「一応クラスメイトだから」

僕はすぐに人の名前が覚えられないので笹原さんは純粋にすごいと思った。

その後は何事もなく放課後になった。

特に部活などには入っていなかったのでそそくさと帰ろうとしていたが、そうもいかないようだ。なぜなら下駄箱の中に手紙が入っていたからだ。宛先は不明、ただ(屋上で待ってます)とだけ書かれていた。

その言葉に僕は驚くのだった。


私、白石には好きな人がいる。それは紛れもない山田君だ。いつも隣で面白い話をしてくれる、そんな彼に私は惹かれていた。私が山田君と会ってもう2年が経つ。そんな長い時が経っても私は彼のことが好きだった。そして今日は勇気を振り絞って告白をしようとしている。そう思い私は彼の下駄箱に手紙を置いた宛先不明の手紙を。

『ガチャリ』

扉の開いた音がした。そして私は決意を決めるのだった…


僕は身支度をし髪を整え屋上へむかった。

「誰が置いたんだろう」

宛先のない手紙を見て誰が書いたのかが僕は気になっていた。

こんな自分に好意を抱いてくれてる人は誰なのか、とても気になっていた。

そして僕は屋上の扉を開けた。

扉を開けるとそこには鮮やかな夕暮れ空と一つの影があった。

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