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第四話 -城の王-

「大丈夫か!ワシじゃよ。気がついたか。そういえばまだ名乗ってなかったな、ワシはジャンクじゃ。それにしてもなぜこんなにもアンデットが居るのじゃ!?」

 目を開けると、大箱の中に入っていた。隠窟の出口が大箱に繋がっていたのだろう。辺りには老婆の他にアンデットが十数体、まるで待ち構えていたかのようだ。よく考えて見れば、豪華な城に似合わないアンデットがなんでこんなにいるんだ?

「とにかく戦わなければ犬死にするだけじゃ。かといえオヌシは戦えなさそうじゃな、ワシの後ろを離れるな!よく見ておれッこれが泥じゃ」

緑泥(りょくでい)!ワシに力を貸せッ」

 そう唱えると、ジャンクの肩から腕にかけて緑色の泥が覆った。泥は杖も侵食し、杖は応えるように光り輝いた。

「アジャンション・ブルーム」

 ジャンクがそう唱えると床から夥しい数の泥が湧き出た。健太郎が息を呑む暇もなく泥は花の形へと変形し、辺りは花畑と化した。花は、十数体のアンデットを次々と襲い始め、気が付けばアンデットは見る影なく食い尽くされていた。

「す、すげぇ…。ジャンクさんは魔法使いなんだな。」

「魔法使いとはなんなのかワシは知らんが、そんな大層な響きの者ではない。ワシはただ泥に、マドに力を借りているだけにすぎん。」

 じゃあこの世界ではジャンクさんみたいな人のことをなんと呼ぶのだろうか。それにしても初めてのパーティメンバーが老婆なんてツイてないな。

「城の玄関まで急ぐぞ。ついてきな、ケンタロー。」

 心強い味方ではあるが。


 床は何の前触れもなく崩れ落ちた。

 気づけば広い空間に倒れていた。城の広間だろうか。起きあがろうとするが体がそれを拒んでいる。起き上がると死ぬ。そんな気がするようだ。それにしても瘴気がさっきの廊下とは比べ物にならないほど濃い。ここは一体…

「目覚めたか、下賤の者。我を見上げるとは礼儀を知っておるな。」

 声の主は玉座と言わんばかりの椅子に腰掛け俺を見下していた。周りはアンデットが囲んでいたが、アンデットは声の主に片膝を突いていた。

「お前のことは知っておる。()()。」

 同類だと?まさかこいつも転生者ということなのか?

「我は()()()()()()()()()1()0()()()()()()、名をドールレスという。この城の現の王だ、覚えておけ。」

 ガラの10億人目の客だと!?お前歳幾つだよ?

「同類に提案がある。同類として我と手を組まんか?我の手を取り世界を手中に収めようぞッ」

 何を言っているコイツは。俺はこの世界を収めることになんて興味はない。俺はこの世界で土にリベンジすると決めたんだ。

「その提案、断る」

 俺がそう言い放つと奴の顔からは光が消え、声が重くなった。

「その返事とても残念だ。お前とは手を組みたかったがもう用はなくなった。」

 辺りの瘴気が濃くなり、名実共に空気が重くなった。

今日は3話分投稿でした。

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