かわいい僕のつがい 2
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「この学校設立についてだけど」
僕は兄が用意した書類の束をテーブルの上に置きながら口を開いた。
「周辺諸国にとって、我が国の竜化現象は、注目をせずにはいられないと思う。自国の勢力を拡大するための破壊兵器みたいな物だと思うからね」
戦争に竜を使えば戦を有利に運ぶ事が出来るため、子供のうちに誘拐をして洗脳し、自国のための兵器として育てようと考える国が出てくるのは間違いない。
「兄上たちが、竜化に成功した子供達の保護に乗り出したのは良い手だったと思う。後はその家族も他国に利用されないように保護する必要があると思う。今度は竜化保護法案なる物でも作りだして、竜化に成功した者とその家族は王家の庇護下に置くとして、国中に宣言する必要があるだろう。王都に家族ごと集めてしまった方が良いと思うし、竜化した子供達の学校は安全を考えて、まずは王城内に作った方が良いだろう。地方からの移住者には、まずはその学校で働いてもらうのもありだと思う」
「壊された宮殿を更地にして学校を建てる案が出ているんだが、その予算について困っているんだけどね?」
「その予算はラディカーティ公爵家から出させるといいよ」
「あの爵位を剥奪した公爵家から?」
「ラディカーティー家の次男ハヴェルは優秀な男で、公爵家の資産を海外に移動させていたんだよね。今の所は何処の国に移住しようか考えているみたいだけど、爵位をちらつかせて金を吐き出させればいいと思う。優秀な男だから、海外に行かせず自国で使った方が有用だよ。私の部下として使いたい」
公爵家の当主と長男は夢見がちなお花畑だったが、次男のハヴェルは現実的な男だった。チェレスティーナの兄であり、物凄いシスコンなので、爵位と王宮への出仕をちらつかせれば、即座に応じてくるだろう。
「最近の私へ回されてくる仕事量から察するに、母上は私を宰相職にでも就けようと考えているのだろうか?だとしたらこちらの人員が少なすぎる、優秀な手足が欲しい」
「そろそろルッツィを外に出しても良いんじゃないかという意見も出ているんだけどね?」
兄がこんな事を言い出すのは、私の行いを許したとか、慈悲の心とか、そういう事では決してない。アンジェラ妃との時間を増やしたいが為に、私を巻き込もうとしているだけなのだ。
「私は罪を償わなければならないから、離宮からは出ないよ」
ここから出たら、もっと仕事を押し付けられる。
「それに、今のチェレスティーナから離れる事は出来ない」
妃の事を引き合いに出すと、兄は形の良い眉をハの字に下げた。
度重なるショックと火傷の傷から、我が妃はまだまともに生活が出来ないのだ。
「チェレスティーナとハヴェルは仲が良い兄妹だったから、彼が来る事で妃の症状も良くなるかもしれないしね」
「そっちの方は僕から声をかけてみるよ」
立ち上がった兄を見上げて、
「ああ、それから」
僕は兄に向かって声をかけた。
「爵位をちらつかせれば、金を吐き出す奴らは他にもいると思う。後でリストを出して渡すけど、その金で庶民向けの学校とか病院、後は保護施設とかも作って欲しい」
異界の雌龍は、自分の鱗を水で溶いて平民に配って人気を集めた。万病に効くと言われた水を摂取した大人には少なかったが、子供の中には、頭痛や吐き気などの後遺症に悩まされている者も多い。
「徹底的に異界の雌を悪者にして、慈悲を与える王家は素晴らしいって事にしちゃってよ」
兄は私の方を見ると朗らかに笑い、
「そうだな、やってみるよ」
私の尻拭いをするために、離宮を後にしたのだった。
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