夢のその先 6
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私は不思議な夢を見続けていた。
どこかの知らない世界に転生をした両親は、子供が生まれた後も、楽しそうに、時には喧嘩をしながら生活を送っているんだけど、
「お父様、僕はもう失敗しないって言いながら、失敗しすぎじゃない?」
目を覚ました私が開口一番でそんな事を言い出すと、エリアさんが私を引き寄せて抱きしめながら言いました。
「また夢?」
「そう、夢なんです」
夢なんだけど、生々しい。
「それで、今日の夢ではどうなったの?」
「それがですね・・・」
『本日の夢の中のお話』
子供が生まれた母は、産休、育休をとって赤ちゃんの面倒を見ていましたが、休暇制度も終わり、子供を保育園に預けて仕事に復帰する事になりました。
育児と仕事の両立は本当に大変で、母はどんどんと疲弊していくのですが、父もそれは一生懸命手伝っていたのです。
そんな中、ついに、父が母に対して言ってしまったのです。
「僕も一生懸命手伝っているでしょ?ねえ、アヤちゃん、僕も手伝っているよね?仕事も頑張っているし、僕だって、必死に育児をしようとしているよね?なのに、なんで僕を見てくれないの?アヤちゃん、アンジュもいいけど僕の方も見てよ!ねえ!ねえ!ねえ!」
夜泣きが続いて満足に睡眠が取れていない母は遂にブチギレました。
「やっぱり雄の愛が重すぎるのが問題だと思うんですよね?こっちみたいに乳母がいるわけでもなく、侍女もメイドもいない状態で、仕事もして、子供の面倒を見て、なおかつ夫の面倒まで見ろだなんて、無理ですよ!無理!」
「えええー?だったとしても、妻の視界に自分が入らないだなんて到底耐えられないのが雄の番の習性なんだから仕方ないんじゃないのかな!」
「雄の番の愛の重さを仕方がないで片付けないでくださいよ!愛が重すぎるのに、番だから仕方がないで片付ける風潮、私はどうかと思うなあ!」
実際問題、雄の番の愛の重さ、束縛の強さは異常とも言えるものであり、拉致監禁なんて当たり前。中には逃げ出さないように番の足を切ってしまった〜なんて話まであるそうで、愛の重さに耐えられず、雌の番が自害するなんて事も昔は多かったそうなんですよ。
番同士は魂の伴侶と言われているだけあって、たとえばどちらかが生を全うせずに自害を選んでしまったとすると、二人の魂は分断されて、番同士ではなくなるんですって。
番は竜人の持つ特性のようなものですが、無茶苦茶長い寿命の時には、気長に番を探す時間があったから問題ないシステムだったんですけど、人間との混血が進んだ為に今代のように寿命が短くなっていると、婚期が短いがゆえに番を探し出せず、結果的に番以外と結婚せざるを得なくって、そうしていくうちの、魂と魂の絆が薄れていき、最終的には番としての関係性が消失するそうなんです。
王国の貴族に番の伴侶を持つ者がほとんどいないのは、貴族は血筋を残すために早く結婚しなければならないし、貴族の責務もあるから呑気に番探しをしている暇がないから。平民の方がお金はなくても結婚については自由なので、番を探しやすいというメリットがあるみたいですね。
元々、優秀な子孫を残し続けるために『番』というものが発生したんだけど、時間をかけて探している余裕がない今の子孫には難しい。番を探し出すのは運が必要で、長龍復活を前に先祖返りが多くなっている今だからこそ番の伴侶を探し出した雄竜が多いけれど、すぐにその数は減らしていく事になるんでしょうね。
「愛がある事はいい事でしょう!」
エリアさんが私を押し倒しながら言いました、番の愛が重いのが悪いみたいな事を言うと、余計に執着するような行動に出るのは何なんですかね?
「だって愛しているんだもん、しょうがなくない?」
「しょうがなくない?じゃないんですよ!」
相変わらずエリアさんは男前なのよ、金環の浮かぶ琥珀色の瞳で見つめられるとゾクゾクしちゃうのよね。
「僕の番、何を言ったって離さない。愛してる、本当の本当に愛してる」
「私だって愛してますよ、エリアさん」
深い口付けをしながら、エリアさんの首に腕をかけて抱きしめる。
お互い、愛し合っているのはわかっているんだけど、これはどうにかしなきゃいけない問題なんじゃないのかなぁ。
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