夢のその先 5
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バジリオ、あんたの不安を私は十分過ぎるくらい理解しているよ。
帝国との戦争の時に北に向かったから、全く知らない土地ってわけじゃないんだろうけど、いきなりそこのトップになれって言われても、そりゃ困っちゃうわよね!
「レアさん、バジリオさんの叙爵は絶対に行われる事になるんだけど、例えばそれが男爵位であっても、子爵位であったとしても、王都での社交はついてまわる事になってしまうのよ」
王太子妃となったアンジェラ妃に呼び出された私は、王宮の庭園でお菓子やらお茶やらを出されて接待されながら、真剣な表情を浮かべて言われる事になったわけ。
「社交といえばマナー、完璧なマナーを求められるの。あなたにそれが出来る?」
「出来るわけがないですよ・・・」
私は王宮の厨房で下働きとして働いていた所を、バジリオに身染められて結婚したという、平民オブ平民と言っても間違いのない身分よ!
「王都にも来なくて良い、王都での社交なんていうのは、本当の本当に最低限、最低限中の最低限で良いという場所があるのをご存知?」
「えっと・・・バジリオの場合は爵位と一緒に領地まで貰っちゃう感じになるんですか?」
「もちろんそうよ!」
ええーっと、王宮内でブイブイ言わせていた、下働きの人間は人とも思わないような高慢ちきな貴族たちが大方いなくなってしまったという事で、爵位も領地も結構あまっているなんて話は聞いていたのよね。
「私・・社交・・したくないです・・・」
「それだったら辺境伯領はおすすめよ!」
田舎すぎるけど空気は良いし、子育てするには良い場所なのだとアンジェラ様は教えてくれた。遠すぎる場所にあるから、王都での社交は免除となっているらしい。
「王宮の厨房で働いていた時の話を聞いたのよ?レアさん、多くの人が死んで怨念が溜まっているという『開かずの間』の近くでいっつも野菜を切っていたのでしょう?」
「そんな事まで知っているんですか?」
王宮の中にはオカルトめいた話が多く語られているんだけど、その中の一つが厨房の開かずの間という奴で、王宮に忍び込んだ敵国の間諜が、厨房の人間を騒ぎださないように閉じ込めて、皆殺しにしたという逸話が残されている部屋があるんです。
その開かずの間の前は、野菜の下処理をする場所となっているんだけど、吐き気がするとか頭痛がするとか言い出す人間が多すぎて、最後に残ったのは私だけ。
そんな訳で、一人ぼっちで大量の野菜の処理をする私を哀れに思ったのか、バジリオが見初めてくれた訳だけど、
「やっぱり番認定を受けた人は強いのよね」
アンジェラ様はそう言って微笑むと、
「だから、あなたなら大丈夫」
と、何故だか太鼓判を押してくれたのでした。
無事に竜化に成功したバジリオは涙を流しながら嫌がっていたけれど、だけど私は、彼なら何処に行ってもやっていけると思うのよね。
それに私がお貴族様らしく社交をやっていくなんて無理なのよ!
私のためと思うのなら!辺境にして!お願い!
本当に嫌になったら帰ってきていいってアンジェラ様が言っていたし、エリアルディオ殿下はアンジェラ様の言う事には絶対にとやかく言わないって言っているし、私的には何とかなるのかなって思っているのよ!
「俺の番、助けて」
部下に取り囲まれたバジリオが私を抱きしめなが頬ずりを始める。
「バジリオ、あんたいつだって言っていたじゃない?番がいれば何でも出来るって、番のためなら何でも出来るって!」
「まあ・・それはそうなんだけど・・・」
「私たち一緒にいれば、大概の事は何とかなるわよ」
私は悲嘆にくれる夫をギュッと抱きしめる事にした。
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